◇「2022国際ロボット展(iREX2022)」視察_2022.03.09

Focus 1  ◇「2022国際ロボット展(iREX2022)」視察_2022.03.09

会場: 東京ビッグサイト 東展示棟1~8ホール
主催: 一般社団法人 日本ロボット工業会、日刊工業新聞社
開催規模: 615社・団体3227小間で、過去最大規模で開催
来場者数: 62,388名 (4日間 速報値)
リアル展開催期間:2022年3月9日(水)~ 12日(土)4日間
オンライン展開催期間:2022年3月1日(火)~ 18日(金)18日間
開催テーマ:「ロボットがつなぐ人に優しい社会」

◇「2022国際ロボット展(iREX2022)」視察_2022.03.09
東京ビッグサイト展示棟前

◇視察目的:
 三品産業向けに活用が可能な最新ロボット技術、事例などを展示ブースで直接確認し、導入提案検討に参考となる情報を収集する。また併催企画展示「部品供給装置ゾーン」「マテハン・ロボットゾーン」などを主に視察する。

◇全般的な展示内容:
 国際ロボット展は、2年に一度の開催で、今回で24回目となり“世界最大規模のロボット専門展” として国内外から高く評価を受けているロボット展である。
 本展は、「ロボットがつなぐ人に優しい社会」をテーマに、人とロボットが共存・協働する社会を目指ことに主眼が置かれている。会期中は、国内外より最先端のロボットが展示されるほか、AI、ICT、要素技術などロボットに関わる高度な技術が一堂に展示されていた。

◇注目したメーカーの製品・システムについて紹介する。
「東1~3」、「東4~6」及び「東7~8」の各ホールでリアル視察した展示ブースを中心にまとめ、それぞれをFocus 1 ~ Focus 3としてホールごとにまとめる。

【東1~3ホール】

1. THK株式会社
https://www.thk.com/
注目:「ロボット走行軸用モジュールMRT形」、「自律移動制御システムSIGNAS」、「製造業向けIoT サービスOMNI edge」
 「OMNI edge」は、センサを後付けして機械要素部品の状態を見える化し、「現場ですぐに使えるIoT」として、簡単、安全、初期投資ゼロで始められる製造業向けIoTサービスとして紹介していた。「MRT」は、多関節ロボットの作業範囲を拡張する走行軸をモジュール化し、各種工数の削減を実現可能にしたロボット走行軸モジュールのデモ展示がされていた。多種形状のワークに対応する「ならいハンドTNH形」で製造ラインをサポートする。搬送ロボット「SIGNAS」は、”ルートテープレス”で今までにない新しい誘導方式を実現し、内蔵カメラで目印となるサインポストを認識しながら自律移動する搬送ロボット。ブースでは、磁気テープやコース設定が不要のサインポストを目印とした独自の誘導方式のデモを行っていた。ピッキングロボットハンドシステム「PRS」は、「見る・取る・移す」をオールインワンとしていて、多自由度ロボットハンドで様々な形状や大きさの対象物をピックし、ブースでは、物流センターのピッキング工程をイメージした、平棚やフローラックから商品をピックする実機デモと、異なる形状3種類のワーク形状に沿って保持や吸着する搬送デモを実施し、ロボットの走行軸としてモジュール化された現品にロボットを載せ、往復動作のデモを実施紹介していた。

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写真1. 「ロボット走行軸用モジューMRT形」と「ピッキングロボットハンドシステムPRS」

2. ナブテスコ株式会社
http://www.nabtesco.com/
注目:「精密減速機RVのラインナップ」、「AGV用駆動ユニットRVW Series」
 産業用ロボットの関節に使われる精密減速機 RVのアプリケーション製品や最新のラインナップである精密減速機 RV「Z(ゼータ)シリーズ」を展示していた。精密減速機をインホイール構造として組み込まれた「AGV用駆動ユニットRVW Series」のデモ走行を行っていた。

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写真2. 「精密減速機RV™のラインナップ」と「AGV用駆動ユニットRVW Series」

3. 株式会社安川電機
https://www.yaskawa.co.jp/
注目:「i3-Mechatronicsスマートソリューション」、「人協調ロボットMOTOMAN-HCシリーズ」、「AI技術Alliom (アリオム)」、「HP100TFP 食品用人協調パッケージ」
 展示ブースでは、「i3-Mechatronicsによるスマートなものづくりの実現」をテーマに、変種変量・工程変化などに対応する最新の自動化ソリューションの展示提案がされていた。多様化する生産形態に柔軟に対応できることをアピールする自動化提案を、実機工場を想定した展示デモで行っていた。
 食品製造向けに注目したものとしてAI技術「Alliom (アリオム)」を活用したものづくり現場の自動化紹介(写真3.)がされていた。人の感性や感覚をデジタル化し、あいまいな判断へのAI適用で自動化領域を拡大するデジタルと画像処理を利用しAI技術を組み込んだデモ展示である。食材などの検品や検査の工程での活用が見込める。また、塗装処理レスされた人協調ロボット「MOTOMAN-HCシリーズ」では食品向けのショートアームタイプのロボット(写真3.右上)が展示もされていた。  さらに、衛生的・簡単設置・簡単操作~工程が頻繁に変わる食品製造に最適~を謳った「HP100TFP 食品用人協調パッケージ」のアプリケーション(写真4.)紹介がされていた。レイアウト変更を頻繁に行う食品製造ラインでの活用が見込まれる。

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写真3.「Alliom (アリオム)」を活用した自動化ラインとMOTOMAN-HC (食品用)
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写真4.「HP100TFP 食品用人協調パッケージ」のアプリケーション

4. シュンク・ジャパン株式会社 http://www.schunkjapan.jp/
注目:「5本指電動グリッピングハンドSVH」、「協働ロボット用グリッパCo-act EGH」
 軽量・高把持力・高剛性を兼ね備えた空圧グリッパ、ホイールやリムなどの大型ワークの搬送に最適なロングストロークグリッパ、高度な自動化を実現するためのロボットバリ取り・研磨ユニット、力覚センサ、ツールチェンジャ等のロボットアクセサリなどが展示されていた。また、工作機械のワーク入替用途には、協働ロボットにプラグ&ワークで使用できるダブルハンドや、パレットチェンジシステムの実演をしていた。

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写真5. 「協働ロボット用グリッパCo-act EGH」と「5本指電動グリッピングハンドSVH」

5. CKD株式会社 https://www.ckd.co.jp/
注目:「3D吸着ハンドFSHシリーズ」「電動グリッパ2フィンガタイプFFLDシリーズ」
 『人と環境にやさしいGreen Technology』ロボットがつなぐ優しい社会に向けて、「カーボンニュートラルの実現」と「働く環境を改善」の視点からGreen Technologyが貢献をテーマに各機器が出展されていた。電動機器「ROBODEX」や「ABSODEX」は種類が多く選定が容易となっている。空圧機器「HPシリーズ」は、長寿命でカーボンニュートラルに貢献するものとして紹介されていた。
 今回注目した協働ロボット向けハンド(エンドエフェクタ)「3D吸着ハンドFSHシリーズ」「電動グリッパ2フィンガタイプFFLDシリーズ」の実演を行なっていた。

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写真6. 「3D吸着ハンドFSHシリーズ」(左)と「電動グリッパ」(右)の実演

 「3D吸着ハンドFSHシリーズ」は、受注生産品であるが段取り替えなしで異形ワークのハンドリングを可能にするものとしてアピールしていた。食品原材料や不定形のお惣菜などのピッキング用途に活用ができそうである。「電動グリッパ2フィンガタイプFFLDシリーズ」は、電動アクタュエータを用いた高把持力をコンパクトにロボットハンドとして使えるものとして紹介していた。

6. IDEC株式会社 https://jp.idec.com/
注目:「安全自律走行ホイールSafety Wheel Drive」、「電動アシストホイール」
人とロボットのコラボレーションを実現し、AGV・AMR の設計にかかるコストと時間削減の新提案として、特に注目したのは「電動アシストホイールによる重量物搬送の負荷を軽減」と題した現場安全に寄与する「食品業界向け電動アシスト」の事例提案である。人手不足、苦渋作業が多い現場カイゼンに活用が期待できる。

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写真7. 「安全自律走行ホイールSafety Wheel Drive」と「電動アシストホイール」の紹介

7. 株式会社アイエイアイ http://www.iai-robot.co.jp/
注目:「電動コンベアシステム」、「袋菓子気密搬送装置」、「バイアル瓶移載装置」
 電動シリンダ「エレシリンダ」物流現場を想定し、折り畳み式コンテナの組み立てや段ボールの収納、カゴ式台車への積み込みや荷降ろし、荷物の振り分けなどを、さまざまな電動アクチュエータを使って自動化を提案していた。省人化や自動化が求められる物流現場のさまざまな業務や作業を想定した「オール電動コンベアライン」、「ツールボックス組み立てライン」では、ねじ締めや接着剤の塗布、ロゴやシリアル番号の印字、検査などの工程を、エアシリンダを使わず電動アクチュエータだけで再現していた。電動式のエレシリンダと空圧式のエアシリンダを並べたデモでは、両機に同じ作業をさせてCO2の排出量の違いを実測表示するなど興味深い展示がされていた。

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写真8. 「電動コンベアシステム」、「袋菓子気密搬送装置」、「バイアル瓶移載装置」

8. 東京ロボティクス株式会社 https://robotics.tokyo/ja
注目:「モバイルグリッパ(自走式パレタイズロボット)」、「3次元カメラ SL40」
 小・中規模物流施設向けのロボットを開発 短距離配送・荷役作業を軽減する自走式パレタイズロボットがデモ展示されていた。小規模~中規模の物流施設ではスペースや予算の制約により大規模な設備投資ができないといった事業者向けとして紹介していた。
 食品製造業の小規模~中規模の物流施設での作業は、かがんで重い荷物を持ち上げて運搬し、荷物を下すといった重労働が多いので活用が見込め、比較的低コストであり、省人化を実現するための搬送ロボットとして好ましいことから注目した。
「モバイルグリッパ(自走式パレタイズロボット)」の4つの特長がある。
① 力制御技術による優しい把持
➁ 左右独立グリッパ
③ 低温度環境に強い新しい関節機構
④ 様々な姿勢に対応 である。

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写真9. 「モバイルグリッパ(自走式パレタイズロボット)」

 3次元カメラ「Torobo Eye SL40」は、ロボットによるばら積みピッキングを主な用途での実績がある。3次元カメラTorobo Eyeシリーズ化し、計測レンジを1,000mmまで拡張した「Torobo Eye SL80」を6月に新製品として販売される。

9. ビー・エル・オートテック株式会社 https://www.bl-autotec.co.jp
注目:「エアハンド」、「協働ロボット用クイックチェンジ」
 協働ロボットとツール(ロボットハンドなど)を組み替えるオートチェンジハンドツールのメーカーであるが、今回注目したのが「おしゃれに乾杯も出来るエアハンドGLASSWARE GRIPPER (ROPLUS社)」としてデモ紹介していたハンドでエア駆動式のグリッパである。

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写真10. エアハンド「GLASSWARE GRIPPER(ROPLUS社)」

10. 京セラ株式会社 https://www.kyocera.co.jp/robotics/
注目:「ばら積みピッキング・システム」
 小型ハンドカメラのみでバラ積みピッキングを行うデモ展示に注目した。ばら積みワークの表裏と向きを識別し、コンベア上にプレースするデモであった。AI技術を活用し、ワーク検出、表裏判定を同時に実施する。整列配膳やマシンテンディング適用可能、協働ロボットを省スペースで利用でき、移動も可能となっていた。「ティーチング」といわれるプログラミング作業を極小化し、シンプルかつスピーディーに活用できるAI協働ロボットシステムにより、多品種少量生産に対応できると強調していた。

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写真11. 「AI技術を活用したばら積みピッキング・システム」

11. Techman Robot https://www.tm-robot.com/ja/
注目:「TM ROBOTシリーズ」
 ロボットビジョンシステムが組み込まれた協調型ロボットである「TM Robotシリーズ」を使用して、製造ラインと組立ラインの全体的なパフォーマンスの向上させることをコンセプトにつくられている。この協働ロボットは、通常の荷重から重い荷重までのペイロードをサポートでき、スマート、シンプル、安全なロボットシリーズとして人間と機械が協力して優れた調和のとれた作業環境を確立するのに役立つと紹介していた。展示ブースでは、AIを活用したピッキングデモ機による実演をしていた。

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写真12. 「TM ROBOTシリーズ」とAI+TM ROBOT技術活用デモ

12. 株式会社不二越 https://www.nachi-fujikoshi.co.jp/
注目:「MZ Fシリーズ」
 「MZ Fシリーズ」は高速、小型、コンパクトなロボットとして評価が高いシリーズである。高精度でより大きな動作範囲が求められるモノづくり現場向けに軽量、スリム、ロングリーチの10kg可搬ロボットもラインナップしていた。高速・高精度で自動化ニーズに対応し、生産性と品質の向上に貢献することを紹介していた。

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写真13. 「MZ Fシリーズ」のデモ実演

13. 日本電産シンポ株式会社 https://www.nidec.com/jp/nidec-shimpo/
注目:「精密制御用減速機Smart-FLEXWAVE」

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写真14. 「Smart- FLEXWAVE」展示デモ紹介

 世界初!マルチセンサ(トルクセンサ、温度センサ、角度センサ)を内蔵した精密制御用減速機である「Smart-FLEXWAVE」を初出展していた。減速機の説明では、空間に3D画像を投影しての説明していた。また内蔵するセンサにはフィルムセンサが採用されており、協働ロボットの小型・軽量化や各種機械設備のIoT化に貢献できると紹介していた。また幅広い減速機ラインナップの展示や、協働自動搬送台車、トラクションドライブ、AGV駆動モジュールなど展示されていた。

14. コンバム株式会社(旧社名:株式会社妙徳) https://convum.co.jp/
注目:「ピッキングパッドSGCシリーズ」
 本ブースで展示デモされていたボトル容器の搬送ロボットに装着されていたピッキングパッド「SGCシリーズ」はボトル容器のピッキングを複数同時に把持できることから包装工程での活用が見込め生産効率の向上に有効である。ボトル容器のネック部分の形状に柔軟に対応できる構造になっている。
 特長としては、次の6つがあげられていた。
① ボトル容器の把持搬送、ケーシングに最適
➁ 風船方式の把持によりワークへ傷をつけない
③ 把持部(カップ)は耐久性、耐摩擦性に優れたTPUを使用
④ シンプルな構造のため、カップを交換可能
➄ 高さ方向の調節可能なバッファ式金具を用意
⑥ 「一升瓶、ワインボトル用を追加」「ペットボトル用小径タイプ追加」
などが紹介されていた。

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写真15. 「ピッキングパッドSGCシリーズ」

15. ベッコフオートメーション株式会社 https://www.beckhoff.com/ja-jp/
注目:ロボットシステム「磁気浮遊式の多自由度搬送装置XPlanar」、「マルチキャリアリニア搬送装置XTS」、「デルタ機構駆動サーボドライブAX8000」、「リアルタイム画像処理TwinCAT Vision」
 注目した製品群を組み合わせたロボットシステムがデモ展示されていた。「磁気浮遊式の多自由度搬送装置XPlanar」と「マルチキャリアリニア搬送装置XTS」を構成されていた。「デルタ機構駆動サーボドライブAX8000」、「リアルタイム画像処理TwinCAT Vision」も構成要素装置として活用が見込まれ搬送システムのロボット化が期待できる。

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写真16. 搬送装置を組み合わせた搬送システムのロボット化デモ機

16. 株式会社東和コーポレーション https://www.robo-glove.jp/
注目:「ROBO-Gloveシリーズ」
 工場などで使われる産業用ロボットのハンド部分を水や油から保護し、グリップ力を確保するロボット専用手袋「ROBO Glove(ロボグローブ)」シリーズを展示していた。ロボット(実機)に「ROBO Glove(ロボグローブ)」を着用し、油や水を扱う場でのピック&プレース(対象物を拾い上げ、特定の位置まで搬送する作業)のデモを行っていた。水や洗剤などを多く使用する食品対応用として食品衛生法に適合したロボットハンド・グリッパ用ROBO-Gloveとロボット全体を覆うROBO DRESSタイプなど各種のラインナップが展示紹介されていた。

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写真17. 「ROBO Glove(ロボグローブ)」着用デモ機とロボグローブラインナップ

17. カワダロボティクス株式会社 https://www.kawadarobot.co.jp/nextage/
注目:「NEXTAGE Fillie (ネクステージ フィリー)」、梱包箱組み立て・箱詰めシステム「Cobako」
 「NEXTAGEシリーズ」は、NEXTAGE(NXA)・NEXTAGE(NXA)OPENさらに2022年3月リリースの「Fillie」を新たなラインナップに加え3種類の双腕ロボットを提供する。「Fillie」は、「コンパクトサイズ」「コストパフォーマンス」「親和性の高いデザイン」の3つの開発コンセプトと「実用性」を追求したヒト型協働ロボットとして紹介していた。コンセプトは、『かっこよくて!かわいくて!頼りになる!』である。「Fillie」は、どんな業界でもだれとでも関係性を築ける柔軟性の高いロボットとしてデモ紹介していた。

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写真18. 「NEXTAGEシリーズ」デモ機の展示

18. OnRobot Japan株式会社 https://onrobot.com/ja
注目:「協働ロボット向けパレタイズ用グリッパ 2FGP20」、「Palletizer(パレタイザー)」、「ばら積みロボットピッキング」、「稼働監視ソフトWebLytics(ウェブリティック)」
 デンマークに本社があり、エンドエフェクタは現在14種類をラインアップしている。
エンドエフェクタの固定と配線接続を一度にできる専用マウント(取り付け機器)「クイック・オンロボット・チェンジャー」を使うと、国内外を問わず、主要メーカーほぼ全ての多関節ロボットに装着できるのが強みになっている。「稼働監視ソフトWebLytics(ウェブリティック)」は、複数のロボットの稼働をリアルタイムで監視し、収集したデータを分析して可視化するソフトである。「Palletizer(パレタイザー)」は、物流現場で段ボール箱を荷役台(パレット)に積み下ろしするパレタイジング作業に特化し、必要なハンドや昇降機「Lift(リフト)100」などの機器と制御ソフトを一式にまとめたデモ機が展示されていた。「ばら積みロボットピッキング」は、サイクルタイムが早く、各社のロボットと接続しやすく、システムの立ち上げや事前設定も簡単なため、生産ラインやワークの変更にも柔軟に対応できる」と強調していた。振動プレートに供給されたワークを、振動だけで自在にコントロールし、ランダムに供給されたワークを振動プレートの中央に集め、均等に離散させた後に位置を安定させる仕組みとなっていた。

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写真19. エンドエフェクタ各種のロボット装着実演

19. ユニバーサルロボット https://www.universal-robots.com/ja/
注目:「協働ロボットUR3e組合せシステム」、「協働ロボットUR5e組合せシステム」
 2台の協働ロボット「UR3e」を双腕構成にし、日東精工のねじ締めドライバーと組み合わせたねじ締めデモシステムで、一方のロボットがワークをつかみ、もう一方のロボットでねじ締めをする。安全柵なしで人と協働での作業、多品種少ロットの部品やユニットの組み立て作業などに対応できる。もう一つ注目した2台の「UR5e」を使い、SMC製のマグネットグリッパーとシナノケンシ製電動3爪ドライバーと組み合わせたコンベアトラッキング作業のデモ機システムである。このシステムは、2台のロボットが2台のコンベアにそれぞれ追従し、コンベアを流れる缶をマグネット式のグリッパで持ち上げ、別のコンベアに流す。流れてきた缶を電動の3爪ドライバーで持ち上げ、元のコンベアに戻す。物流現場でのコンベアの流れ作業を、簡単なドライバーとの組み合わせでの自動化を再現するというものである。

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写真20. 2台の協働ロボット「UR5e」のピックアップシステム

20. エプソン販売株式会社/セイコーエプソン株式会社 https://www.epson.jp/
注目:「分光ビジョンインライン色検査システム」、「複数工程における多能工作業の自動化」
 色の目視検査を自動化することを目的とした「分光ビジョンインライン色検査システム」を紹介していた。製造現場では、製品品質を確保するために色のバラツキや表面コーティングの確認などさまざまな検査を行っている。しかし、従来のカメラでは自動測定が難しい場合が多く、人の感覚による目視検査を行っている。熟練度が必要な検品・検査工程で製品品質を管理している重要な工程となる。現在、人手不足が深刻化する中でこれらの検査工程の自動化や効率化が求められていることから、色の少しずつ異なるブロックを分光ビジョンシステムで測定し、正しい色配列で並び替えるデモを行っていた。食品、医薬品、化粧品などの三品産業向け検査工程での効率化ニーズが高いことから活用が見込まれる。特に化粧品などの色検査に向いている。

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写真21. 「分光ビジョンインライン色検査システム」

パーツフィーティングシステムと力覚センサを用いた複数工程の多能工作業の自動化のデモ実演がされていた。工程間の搬送は、従来のコンベアや人力の台車が用いられていたが、ロボットを自動搬送車に搭載したAMRとの組み合わせの省人化生産ラインの提案がされていた。床がドライの状態だけでなく、ウエットな状態で床勾配があるような食品工場の工程間や冷蔵庫・冷凍庫内での活用提案などを期待する。

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写真22. 複数工程間における搬送の自動化デモ実演

21. 芝浦機械株式会社 https://www.shibaura-machine.co.jp/
注目:「自律移動型作業ロボットCONOID」(参考出展)
 芝浦機械は、工場内物流自動化ユニットに強みを持っているが、今回注目した工場内の工程間搬送のデモ機実演として「CONOID-Ⅰ 台車搬送AGV」と「CONOID-Ⅲ 双腕生産支援ロボット」を活用した作業の省人化提案をしていた。参考展示品(開発中)の製品化が期待できる。

◇「2022国際ロボット展(iREX2022)」視察_2022.03.09
写真23. 「ロジロボシリーズによる工場内物流デモ機」実演

 「CONOID-I」は、台車搬送をメインで行うAGV(無人搬送車)で所定の範囲に台車が置かれたことを見つけると、台車に接近して一体化連携をし、搬送を行う。平面寸法は600×400mmで、走行速度は秒速1m、搬送重量は200kgとなっている。無軌道型でマーカレスランドマーク誘導方式を採用している。外界センサにはLiDAR(Light Detection and Ranging)センサ2つを搭載しており、8時間の連続稼働が可能と紹介していた。
 「CONOID-III」は、双腕を持ち移動しながら作業を行える生産支援ロボットで双腕による作業で人が行う作業の一部を代替できることが特徴である。例えば、右手で扉を開け、設備の中にあるワーク搬送台車を左手で取り出すような作業を行える。また、双腕と走行全てを一体で制御し、手の動きを粗く教示するだけで台車を取り出す際にロボットがよけながら引き出すような動きなども円滑に行える。双腕と走行の一括制御の最適化についてはAI(人工知能)によって行うことも可能。搬送可能重量は150kgで、走行速度は秒速1m、無軌道型でマーカレスランドマーク誘導方式を採用している。外界センサはLiDARセンサ2つと3Dカメラ1つを搭載していた。

22. 株式会社ニコン https://www.nikon.co.jp/
注目:「ピッキング用双腕ロボットPROGRESS ONE」、「インテリジェントアクチュエータユニットC3 eMotion」
 ダブルエンコーダ構造を採用したインテリジェントアクチュエーターユニットと、認識用のスマートカメラ、治具としてピンセットを用いるハンドなどを組み合わせたロボットシステムを紹介していた。

◇「2022国際ロボット展(iREX2022)」視察_2022.03.09
写真24. 「アクチュエータユニットC3 eMotion」と「双腕ロボットPROGRESS ONE」

 「ピッキング用双腕ロボットPROGRESS ONE」は、ロボットハンドで精密部品を扱うことを想定し、ピンセットを使って、プラスチックレンズ、ゴムリング、薄さ0.1mmのシムリング、超小型のチップ抵抗などをピンセットでつかみ並べ替えるデモを行っていた。
 「インテリジェントアクチュエータユニットC3 eMotion」は、モータ、減速機、駆動回路、ブレーキ、ダブルエンコーダ構造を採用などロボット関節に必要なパーツをパッケージ化しており、さらに2つのエンコーダを組み込んだ「ダブルエンコーダ構造」により、高精度化とともに外力を感知してロボットを安全に停止させることや、人がロボットを直接動かして動作を記憶させるダイレクトティーチングなどの機能を容易に実現可能としている。

Focus 2  ◇「2022国際ロボット展(iREX2022)」
視察_2022.03.09

【東4~6ホール】

1.ヤマハ発動機機株式会社
https://www.yamaha-motor.co.jp/robot/event/2022irex/
注目:「TOUGHNESS ROBOT ARM」、「自律移動ロボットAFV」、「7軸協働ロボット」

◇「2022国際ロボット展(iREX2022)」視察_2022.03.09
写真1. 「TOUGHNESS ROBOT ARM」、「自律移動ロボットAFV」、「7軸協働ロボット」

  本ブースにおいて、最初に注目したのが炎天下や降雨などの厳しい環境下でも利用可能な耐環境/車載対応のロボットアーム「TOUGHNESS ROBOT ARM」である。耐環境/車載対応のロボットアームは、屋外で人間の代わりに働くことを想定して開発され参考出展されていた。炎天下でも動作を継続できるように、関節部に組み込んだモータと減速機の放熱性能を確保している。動作温度範囲は-10~55℃だ。降雨時でも利用を継続できるだけでなく、屋外での利用で汚れが付着した際の洗浄に用いる高圧洗車にも耐え得る防水性も実現したロボットアームと紹介されていた。
  自律的で柔軟な走行が可能な「自律移動ロボットAFV」のデモ走行も実演していた。参考出品であったが生産ライン間を繋ぐ搬送用ロボットで次世代自動化の活用が見込まれる。
  ラインの生産性を高度化する搬送プラットフォーム「7軸協働ロボット」は、台車ユニットと組み合わせた生産ラインのデモ展示実演を行っていた。3分段取りでフレキシブルな生産ラインを実現できる。1300mmの長いアームを、7軸制御を生かし、加工機への被加工材の投入などを実演。協働ロボットを手押し台車に搭載し、必要な時だけ機械前に設置する可動式の自動化システムとして紹介していた。

◇「2022国際ロボット展(iREX2022)」視察_2022.03.09
写真2. 「7軸協働ロボット+台車ユニットと組み合わせた生産ライン」のデモ展示

2. 川崎重工株式会社 https://www.khi.co.jp/
注目:「自動PCR検査ロボットシステム」、「hinotoriサージカルロボットシステム」、「Robust Humanoid Platform Kaleido」、「自走双腕ロボットNyokkey」
 「自動PCR検査ロボットシステム」
は、PCR検査の受付から検体採取、検査、結果通知までの一貫した検査サービスを可能とした自動化システムとして既に活用が始まっている

◇「2022国際ロボット展(iREX2022)」視察_2022.03.09
写真3. 「自動PCR検査ロボットシステム」

 株式会社メディカロイド社が開発した手術支援ロボット「hinotoriサージカルロボットシステム」(以下hinotoriとする)は、近年、外科手術の身体への負担を軽減する低侵襲手術が進展し、手術支援ロボットシステムは、医療従事者のより精緻な手術をサポートするために医療現場で活用されている。メディカロイドは、内視鏡下手術をサポートする手術支援ロボット「hinotor」の製造販売承認を 2020年 8 月に取得、同年 12 月より国内の施設にて臨床で導入実績があると紹介していた。アメリカのインテュイティヴ・サージカル社が開発した手術支援用ロボット「ダビンチ」のように認知されることを期待する。

◇「2022国際ロボット展(iREX2022)」視察_2022.03.09
写真4. 「手術支援ロボットhinotori」と「自走双腕ロボットNyokkey」

「Robust Humanoid Platform Kaleido」は、最新のロボットソリューションとして高所での作業を人に代わって行うデモを行っていた。現場活用への導入も近いと感じる。

◇「2022国際ロボット展(iREX2022)」視察_2022.03.09
写真5. 「Robust Humanoid Platform Kaleido」デモ実演

3. 三菱電機株式会社 https://www.mitsubishielectric.co.jp/fa/
注目:「ティーチングレスロボットシステム技術」

 ティーチングの負荷を大きく低減する複合技術として、「ティーチングレスロボットシステム技術」を紹介していた。さまざまなAI技術などを用い「プログラム生成・調整容易化」「ロボット動作の自動高速化」の2つを実現した技術である。3次元ビジョンセンサにより周辺環境やロボットの手元を簡単に認識し、3次元データでの環境認識を実現する技術や、「どこ」に「何個」というように選択するだけで「プログラム生成を簡単に行える技術」、「これらの指示を音声で行える技術」、「作業指示完了後にAR(拡張現実)上でロボットの動きの確認を行える技術」、「ロボット動作の始点と終点を示せば自動で最適経路を生成する技術」などを紹介していた。デモでは、お弁当のトレイに唐揚げを自動配膳する仕組みをデモ。認識の難しい唐揚げを、ばら積み状態からピックアップし、弁当トレイの最適な位置に配置できる仕組みを簡単に構築できることをアピールしていた。

◇「2022国際ロボット展(iREX2022)」視察_2022.03.09
写真6. 「ティーチングレスロボットシステム技術」(右図出所:三菱電機HP)

4. ファナック株式会社 https://www.fanuc.co.jp/
注目:「ゲンコツロボットDR – 3iB / 8L」

◇「2022国際ロボット展(iREX2022)」視察_2022.03.09
写真7. 「ゲンコツロボットDR – 3iB / 8L」の食材ピッキングデモ実演

 食品関連として注目したのは、ゲンコツロボットのアーム先端にソフトハンドを装着し食肉を搬送するデモを実施していた。ゲンコツロボット「DR – 3iB / 8L」は、生鮮食品も扱える洗浄可能なロボット(IP67k)に対応するものとなっていた。食品工場の場合、サニテーションの関係で機械装置そのものを直接洗浄するなど使用環境が非常に厳しいことから、食材加工工程でのロボットの使用が難しかったが今回の展示ロボットは洗浄が可能となったことで利用用途が拡大しそうである。

5. オムロン株式会社 https://www.fa.omron.co.jp/
注目:「i-Automation! ソリューション」
「i-Automation!」は、新たなオートメーションの考えとして「人と機械の高度協調」、「人を超える自働化」、「デジタルエンジニアリング革新」という3つの現場革新を進める方針を示している。「人と機械の協調」では、協働ロボットと人が相互に補完しそれぞれが得意な作業に集中できる協働ラインを紹介していた。作業状況は、工程ごとに、設備や機械から取る情報やワークの送り状況を記録。さらに、ライン上部に設置されたカメラから人の動きも抽出して同一のタイムライン上に記録できモニタリングできるシステムとなっていた。「人を超える自働化」では、ロボットが従来難しかった不定形物の組み立てや嵌合などのデモ行い、同じロボットを使い、力覚センサによるフィードバックを活用しながら固い基板の嵌合を行うデモなども実演されていた。

◇「2022国際ロボット展(iREX2022)」視察_2022.03.09
写真8.「人と機械の高度協調」、「人を超える自働化」テーマにしたデモ実演

6. シナノケンシ株式会社 https://jp.aspina-group.com
注目:「電動3爪ロボットハンド」、「3kg可搬コントローラ内蔵デルタロボット」
「電動3爪ロボットハンド ARH350A」
は、小型ながら把持力50N(約3kg)、最大開口径φ143mmで柔らかいものから固いものまで、ワークの形状を崩すことなく掴める。ハンドの中心に穴が空いた中空構造を採用し、対象物を掴んだ状態で様々な追加作業が可能である。新製品として把持力最大5N(約300g)、最大開口径φ143mmで「ちょうどよい力加減で“つかむ”を実現」をコンセプトに開発された「電動3爪ロボットハンド ARH350B」をラインナップ。「3kg可搬コントローラ内蔵デルタロボット」は、シンプルな機能・構造・動作が特徴の3kg可搬コントローラ内蔵デルタロボットである。パソコン・タブレット・ダイレクトティーチングで操作でき、作業内容にマッチすれば簡単導入・簡単設置・簡単操作を行えるロボットと紹介していた。

◇「2022国際ロボット展(iREX2022)」視察_2022.03.09
写真9. 「電動3爪ロボットハンド ARH350A」と「3kg可搬コントローラ内蔵デルタロボット」およびロボットハンド装着デモ機

7. アセントロボティクス株式会社 https://ascent.ai/jp/
注目:「ラバーアクチュエータ(ブリジストン製)」

◇「2022国際ロボット展(iREX2022)」視察_2022.03.09
写真10. 「ラバーアクチュエータ(ブリジストン製)」を活用したロボットハンド

「“いい感じ“にモノをつかむソフトロボティクス技術としてゴムの力で、すべての人の生活を支える」をコンセプトにタイヤや油圧ホースの技術を適用したゴムチューブとそれを囲む高強度繊維のスリーブから構成されるラバーアクチュエータ(ブリジストン製)が紹介されていた。「軽くて力持ち」、「やわらかい」、「衝撃に強い」といった特長を活かし、不揃いな形状の生鮮食品向けハンドとしての活用事例を紹介していた。

8. 日本精工株式会社 https://www.nsk.com/jp/
注目:「アクティブキャスタ」、「協働ロボット用アクチュエータ」、「食品機械用グリス封入軸受」
 東京理科大学(東京都新宿区) 和田研究室と共同で全方向への滑らかな移動が可能な「アクティブキャスタ」を開発し搬送ロボットとして紹介していた。特長は、「全方向への滑らかな移動とコンパクト化」、「低振動」、「優れた扱いやすさ」である。
 横浜国立大学 藤本研究室と共同で高精度な衝突検出を可能にする「協働ロボット用アクチュエータ」を開発カットモデルとデモ機を展示していた。高い逆作動効率を持つバイラテラル・ギアを搭載することにより、逆作動効率を20%(従来比)向上しました。これにより、ロボットアームが人と衝突した際の負荷トルクを高精度で検出し、モータ制御することで、人とロボットが衝突した際の衝突力緩和を実現していると紹介していた。
 食品向けの機械要素部品として、「食品機械用グリス封入軸受」が展示されていた。食品工場においては、異物混入などコンタミネーションが発生すると問題となることからNSF H1登録の食品機械用グリスが採用されている。

◇「2022国際ロボット展(iREX2022)」視察_2022.03.09
写真11. 「アクティブキャスタ」、「協働ロボット用アクチュエータ」、「食品機械用グリス封入軸受」

9. 株式会社オカムラ https://www.okamura.co.jp/solutions/factory/logistics/
注目:「ハイブリッド型の物流自動化ソリューションPROGRESS ONE」
AI(人工知能)を搭載したロボットと遠隔操作技術を組み合わせてピッキング作業の遠隔操作を実現する「PROGRESS ONE (プログレスワン)」を紹介していた。「PROGRESS ONE」は、オカムラが本年1月に事業化に着手しプレスリリースしたAI搭載ロボットを活用した遠隔操作ソリューションである。主に物流現場でのピッキング作業における導入を想定し、通常時は双腕ロボットによる自動ピッキングを行いつつ、ロボット単独では難しいモノをピッキングする際に人が遠隔操作を行ってフォローするというハイブリッド型での使い方を想定している。ピッキング作業をAI搭載ロボットと人の遠隔操作の両方で行うことで、物流現場の自動化と省力化を実現できると紹介していた。

◇「2022国際ロボット展(iREX2022)」視察_2022.03.09
写真12. 「PROGRESS ONE(プログレスワン)」のデモ展示

10. 中西金属工業株式会社https://www.nkc-j.co.jp/business/yusouki.html
注目:「無人走行フォークリフトROBO Fork15」

◇「2022国際ロボット展(iREX2022)」視察_2022.03.09
写真13. 「無人走行フォークリフトROBO Fork15」デモ走行

「ROBO Fork15」は、最大1.5トンまでの重量物の搬送ができる無人走行フォークリフトである。深刻な人手不足が大きな社会問題となる中、工場や物流倉庫内での作業オペレーター不足も増加しつつあることから、その問題解決として無人走行フォークリフトロボット「ROBO Fork15」は有効であり導入することにより、作業者不要、常時稼働監視が可能となり、近い将来に起こる機会損失を解消する一役を担える。基本的な機能として、「無人で走行、運搬」、「レーザーセンサで360°検知」、「パソコン1台で複数機体を一元管理」と紹介していた。

11. 株式会社ダイフクhttps://www.daifuku.com/jp/
注目:「ワイヤレス充電システム D – PAD」
展示ブースにおいてワイヤレス充電システム「D-PAD」をテーマに、従来製品30A充電タイプに加え、100A充電タイプを初展示していた。特長として、「より大型のAGVやモバイルマニピュレータに装着可能」、「100A充電対応で業界トップクラスの急速充電を実現」、「伝送距離は60mmまで、位置ズレは40mmまで許容」と紹介していた。

◇「2022国際ロボット展(iREX2022)」視察_2022.03.09
写真14. 「ワイヤレス充電システム D – PAD」のデモ走行

12. 伊東電機株式会社https://www.itohdenki.co.jp/
注目:「モジュールプラットフォームid-PAC」
MDR式モジュールを組み合わせたデモラインで、仕分け作業の自動化を提案。従来の水平方向仕分けだけでなく、垂直方向の空間を利用した仕分けを、最適な搬送制御をコンプリートしたMDR式モジュールと「id-PAC」のプラットフォームで構築した最適ラインと紹介していた。「直進」、「仕分け」、「合流」をそれぞれ機能別のモジュールとすることで、自由自在につなぎ合わせることを可能とし、製造現場の多様なニーズに対応するためのライン構築を簡単にできるところを強みとしている。ソフトとハードを上手く融合させたコンベアモジュールの搬送システムである。

◇「2022国際ロボット展(iREX2022)」視察_2022.03.09
写真15. 「モジュールプラットフォームid-PAC」

13.株式会社椿本チエイン https://www.tsubakimoto.jp/
注目:「高速自動仕分け機リニソートS – C」、「小型搬送AGV T – Carry system」
マテハン・ロボットゾーンでの展示ブースにおいて、「TSUBAKI Linked Automation」をテーマにマテハン商品を連携した自動化ラインやシステムを支える高性能パーツなどを展示していた。保管・出庫・移載・搬送・仕分けの作業を自動で行う製造工場に似せた物流現場の無人化を2つのパターンで提案をしていた。一つが「物流センター業務の効率化」、もう一つが「工場内物流の効率化」であった。さらに、現場作業を想定した、商品を仕分けるピースソータ「リニソートS – C」やピッキングAGV「T- Carry system」での実演を行っていた。

◇「2022国際ロボット展(iREX2022)」視察_2022.03.09
写真16. 「TSUBAKI Linked Automation」をテーマにマテハン商品を連携した自動化ラインやシステム

Focus 3  ◇「2022国際ロボット展(iREX2022)」視察_2022.03.09

【東7~8ホール】

1. 株式会社人機一体
http://www.jinki.jp/
注目:「零式人機(れいしきじんき)ver.2.0」
「零式人機ver.2.0」は、高所重作業という“苦役”を解消するために開発された汎用人型重機である。

◇「2022国際ロボット展(iREX2022)」視察_2022.03.09
写真1. 「零式人機ver.2.0」の公開デモ

 人機一体の独自技術である力制御技術「PBAC」により、トルクセンサを組み込んだ各関節の力を緻密に制御して、重く高出力のユニットでありながら人が軽く押して自由に動かすことができる。これにより、公開デモでは、従来の位置制御ロボットでは難しい両手協調作業が容易に行えることをアピールしていた。鉄道や建設分野での活用が期待できる。

2. NOK株式会社
https://www.nok.co.jp/
注目:「食品・衛生関連部品」
展示ブースでは、「ロボットへの提案」、「熱対策」、「食品・衛生」、「耐衝撃性」、「潤滑剤」の5つのテーマで多種多様なロボットへのニーズに対しての提案をしていた。

◇「2022国際ロボット展(iREX2022)」視察_2022.03.09
写真2. 食品衛生法適合製品(Oリング、オイルシールおよびガスケット)展示

 注目した「食品・衛生」テーマで出展されていたのは、「食品医薬品機械用シール HYGIENIC USIT RING」、「食品・飲料機械用 食品衛生法・水道法適合材」、「ビア樽・各種飲料用 飲用バルブ」、「耐蒸気性・耐着香性向上 食品・飲料機械用ヘルールガスケット」衛生安全に関連したOリング、オイルシールおよびガスケットなどの機械要素部品として紹介がされていた。食品製造業における異物混入対策やサニテーションなどにつながる要素技術である。

3. ロボットイノベーションwithかながわ 展示ブース内
(ダブル技研株式会社 https://www.j-d.co.jp/

注目:「多指・多関節ロボットハンドD-HAND」
 ダブル技研は、多指・多関節ロボットハンドに強みを持っていて、定型製品に止まらずカスタマイズや試作、評価、受託開発までを請け負うメーカーである。多指・多関節ロボットハンド「D-HAND」は、汎用性のあるロボットハンドで「耐久性」、「堅牢性」、「使いやすさ」、「拡張性」、「デザイン性」に特徴を持っている。そして独自のメカニズムにより、多様な対象物の把持か可能であると紹介していた。新製品であるアクチュエータ(外置き)タイプに注目した。

◇「2022国際ロボット展(iREX2022)」視察_2022.03.09
写真3. 「多指・多関節ロボットハンドD-HAND」

4. 新・エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO) https://www.nedo.go.jp/
注目:「変種変様な多能工作業を可能にするセンシング搭載エンドエフェクタ(パナソニック株式会社)」、「大玉トマト収穫ロボット(株式会社クボタ)」
 ロボットが創る新たな日常というテーマにおいて注目した「変種変様な多能工作業を可能にするセンシング搭載エンドエフェクタ」、「大玉トマト収穫ロボット」である。農業分野でのスマート化が進んでいる。果実や野菜の収穫作業の自動化が難しいとされている。展示ブースにおいて披露されていた大玉トマト収穫ロボットの特徴は「収穫するトマトの形状/姿勢認識」と「吸着切断ハンド」の2つで、「収穫するトマトの形状/姿勢認識」は、収穫対象となるトマトがどこにあるかの位置認識と、トマトの形状やそのトマトの実が付け根の果梗(かこう)から成っている状態を含めた姿勢の認識という2段階で行う。また「吸着切断ハンド」にとって、吸着しやすく、果梗を切断しやすいトマトの表面部位を検出できるものとなっていた。

◇「2022国際ロボット展(iREX2022)」視察_2022.03.09
写真4. 「変種変様な多能工作業を可能にするセンシング搭載エンドエフェクタ」と「大玉トマト収穫ロボット」の展示紹介

5. 農林水産省 展示ブース内
(パナソニックプロダクションエンジニアリング株式会社 https://www.panasonic.com/jp/company/ppe.html

注目:「トマト収穫ロボット」
 パナソニックのモノづくりで培った自動化・ロボット技術を基に開発された「トマト収穫ロボット」は、3つのメリットとして「収穫作業の自動化」、「果物にやさしく収穫」、「収穫情報のリアルタイム収集」をあげていた。(写真5. 中央下と右)

(株式会社ルートレック・ネットワークス https://www.routrek.co.jp/
注目:「AI潅水施肥ロボット ゼロアグリ」
 土耕栽培/養液栽培をスマート化「AI潅水施肥ロボット ゼロアグリ」は、生産者に代わってハウス内の潅水(水やり)と施肥(肥料やり)をAI技術で自動化し、「省人化」、「高収穫」、「高品質」を実現するロボットと紹介していた。簡単に言えば、人が行う水やりや肥料の追加を自動で行ってくれる画期的なシステムである。(写真5. 中央上)

(宇都宮大学 https://www.utsunomiya-u.ac.jp/
注目:「農業用搬送ロボットシステム」
 イチゴ収穫の課題解決を発端として農業ロボットの研究開発にチャレンジしている。「イチゴだけに特化するのではなく、さまざまな作物の収穫に転用できるように、自走モジュールに個別機能を追加することで、農家ごとに異なる多様なニーズに対応できる。こうして汎用性を高めることで、低コスト化を狙った取組みを強調していた。2019年に出展されていた「イチゴ収穫ロボット」の進化の具合を見たかったが、展示が無かったのは少し残念である。(写真5. 左下)

◇「2022国際ロボット展(iREX2022)」視察_2022.03.09
写真5. 農林水産省 展示ブース内スマートアグリ関連展示紹介

【所見】
 本展(iREX2022)の第一印象では、物流業務への提案が非常に目立つ展示会であった。
人の手に頼り、人海戦術と体力勝負でこなしてきた運送や倉庫などの物流業界でも、ついに自動化への扉が開いたと感じる。慢性的な人手不足から、自動化による省人化は急務であることは昨今の状況からも見受けられていた。食品や医薬品、化粧品などの『三品業界』を含むあらゆる現場で活躍するパレタイジングや、工作機械へのワークの投入、高トルクのねじ締め、TIG溶接など初披露のデモ機が多数展示されていたのも印象的であった。実際の現場でどう使えるのかであるが、さまざまな業界の物流業務や、物流業務の本丸とも言える倉庫や運送などの物流業界へのアプローチが本格化、“搬送なくして自動化なし”である。
 ロボットはロボットハンドなどの周辺機器と組み合わせて、初めて具体的な用途に使える。そのためロボットの扱いやすさは、周辺機器によって左右されるといってよい。ロボットもハンドもほぼ出そろった感はある。6月に開催される国際食品工業展(FOOM JAPAN 2022)において食品製造業が抱えている多くの問題を解決するようなロボット組み込みの自動化システムが数多く披露されることを期待する。

以上