◇「JAPAN PACK 2022(日本包装産業展)」視察_2022.02.16

◇「JAPAN PACK 2022(日本包装産業展)」視察_2022.02.16

会場: 東京ビッグサイト西・南展示棟
主催: 一般社団法人日本包装機械工業会
開催規模: 出展者数はリアル展271、オンライン展35の合計306社・団体
開催期間: 2022年2月15日(火)~18日(金) 4日間
開催テーマ: 「ともにつくる 未来の包程式」

東京ビッグサイト展示棟正面前
東京ビッグサイト展示棟正面前

◇視察目的:
 食品工場向けの自動化の関連技術として、南展示場では「脱プラ」に伴う包装資材の動向とそれらに対応した包装機械など一次包装及び二次包装の「連続化・連動」をキーテーマに視察する。さらに西展示棟1階のアトリウムで、日本包装機械工業会の事業組織「IoT研究会」が構築した「クオリティAIチェッカー」のデモ展示を披露するという事前発表があったため、デモ展示も視察した。展示は、クッキーやあられの焼き具合の検品作業を想定し、AI(人工知能)と人の感性を融合させることをコンセプトとしていた。

◇全般的な展示内容:
 リアル展示会とオンライン展示会を併催する“ハイブリッド展示会”としての開催。製造加工から計量、充填、包装、印刷、印字、検査、梱包といった包装プロセス全体と関わるさまざまな分野の新製品や新技術、新システムなどが国内外から多数集結する総合展である。展示は、包装にまつわる5つの課題である「生産性の向上」「地球環境への課題」「食料に関する課題」「安全安心の実現」「市場の拡大」をテーマに展開されていた。
 特に、前回の「JAPAN PACK 2019」から注目を集めている『自動化』関連の展示は、会場となる東京ビッグサイト西展示棟1ホールと南展示棟1ホールで展示されていた。さらに環境関連の展示は西展示棟4ホールを中心に行われていた。環境関連では、西展示棟4ホールで、2022年4月施行予定の「プラスチック資源循環促進法(プラ新法)」などの最新情報や、パッケージのライフサイクル包装工程ごとの課題や事例を可視化した展示が注目されていた。

◇注目したメーカーの製品・システムについて紹介する。
出展傾向としては、次の4つに分類されていた。
1. AI(人工知能)を駆使した自動化機械
2. ロボットを組み込んだ省人化・無人化技術
3. 環境負荷低減に向けたモノマテリアル包材・紙製化包材に対応した包装機械
4. 省資源に対応した包装材料・包装形態
などである。

【注目技術・製品】

1. 日本包装機械工業会 事業組織「IoT研究会」
https://www.jpmma.or.jp/
[注目]「クオリティAIチェッカー装置」特許出願中
 センサーで検出した不良品を自動排出する装置にAIと人の感性を融合させた装置である。
装置(写真1.)は、次のような構成でシステム化されていた。
①熟練者認証装置:熟練検品者と新人検品者を認識する
➁検品者:センサー装置を良品としてすり抜けた不良品は、検品者によって排除される
③センサー装置:検品者が不良と判定したデータをセンサー装置へフィードバック
④自動排出装置:徐々に検品者の感性を反映した自動排出が行われる
これにより検品工程の課題である安定的な品質が担保でき、検品精度・品質向上、検品工程の省人化、新人検品者の教育を可能とすることを提案していた。

写真1. 「クオリティAIチェッカー装置」
写真1. 「クオリティAIチェッカー装置」

2. 株式会社 イシダ
https://www.ishida.co.jp/
[注目]「縦ピロー包装機 INSPIRA」、「製封函一体型オートケースパッカー ACP-701」、「トレーシーラー QX-775FLEX」、「X線検査装置IXシリーズ IX-PD、IX-EN」など
 3つのソリューション「環境対応」「フードロス削減」「働き方改革」に分類したそれぞれの対応機械が展示されていた。

写真2. 縦ピロー包装機「INSPIRA-CTC(右上)と生産ラインへの設置例」
写真2. 縦ピロー包装機「INSPIRA-CTC(右上)と生産ラインへの設置例」
写真2. 縦ピロー包装機「INSPIRA-CTC(右上)と生産ラインへの設置例」

写真2. 縦ピロー包装機「INSPIRA-CTC(CTC:Charge Transfer Control)」は、これまで多少ばらけていた商品が供給されていたことで発生していたかみ込み削減や能力向上などの課題解決、減プラ効果による低コスト化を実現した包装機を注目した。

3. 株式会社 東京自働機械製作所 https://www.tam-tokyo.co.jp/
[注目]「TWFX縦型ピロー包装機」、「RBCⅡ段ボールケーサー」
 TWFX縦型ピロー包装機(写真3.)は、紙包装材仕様機に注目した。紙包装材仕様機は、環境を考慮し一次包装に紙包装材を採用可能とした仕様として開発されたもので、バリア性紙包材に対応できる。紙包材にダメージを与えにくいフォーマとエッジ切れ破損を防止するヒーターブロックピンホール対策を施すことができ、さらに袋の密封性を維持する。この他にポケットジップ仕様機、高速仕様機が出展されていた。

写真3. 「TWFX縦型ピロー包装機」(右)
写真3. 「TWFX縦型ピロー包装機」(右)

 RBCⅡ段ボールケーサー(写真4.)は、最大30ショット/分の能力があり、多種多様な箱詰めパターンに対応できる。多品目生のラインや組込みをコンパクトに図るために開発したと説明を受けた。製品バケットは製品サイズや個数の変更に柔軟に対応可能で、段ボールの高速搬送と確実な位置決めの機構が採用されている。省スペース化と自動化システムを提案していた。

写真4. 「RBCⅡ段ボールケーサー」
写真4. 「RBCⅡ段ボールケーサー」

4. 大森機械工業株式会社 https://www.omori.co.jp/
[注目]「高速横ピロー包装機 NSW-7000シリーズ」

4.	大森機械工業株式会社

 注目シリーズから、新型3機種が初出展されていたが、このシリーズの最大の特徴は、オペレータが作業しやすいようにフィルムセットを低位置に配置している。包装機本体は、各ユニット単位のモジュラー化が図られていることで着脱が容易で、メンテナンス性が考慮された設計がされている。コンベヤはフレームレスフィンガコンベヤを採用することでサニタリ性も向上させている。

展示ブースでは「NSW-7000MT」と「NSW-7600BX」の単体機械どうしをロボット供給でつなげたサスティナブル包装ライン(写真5.)としたデモを実演していた。

写真5. サスティナブル包装ラインのライン設備
写真5. サスティナブル包装ラインのライン設備

 NSW-7000MTは、トップシール機構が2段構えになっていて、高速密封包装を可能としている。さらにNSW-7600BXは、逆ピロー包装機での紙フィルム包装を可能とした新型機で、ヒートシールとホットメルトの兼用仕様となっていることから、紙包装材の選定範囲が広い点が特徴になっている。
また、高速シュリンク包装機「NSW-7000HSR」リボルバー式フィルムスプライサを搭載した新型シュリンク包装機も出展されていた。

5. 株式会社フジキカイ https://www.fujikikai-inc.co.jp/
[注目]「高速超音波加熱シール横形ピロー包装機 FUW3400/WKα8」、Fuji Smart Module~ロボット集積包装ライン~

5.	株式会社フジキカイ

 FUW3400/WKα8(写真6.)は、最大処理能力400包/分の高速超音波加熱シール横形ピロー包装機。生産性に優れ、超音波加熱シールにより製品やフィルムに与える熱ダメージを効果的に抑える特徴を持っている。そのため、包装機の待機状態が多い包装ライン、熱に弱い製品の包装に有効である。特にモノマテリアル包装材による高速・密封包装にも試用ができる。またフィルム密着にヒーターを使用しないことから周辺温度、室内温度などの辺かの影響をほとんど受けることがない。

そのため、熱制御・熱管理が必要ないなど安定稼働が可能である。この他にも運転立上げ時のウォームアップ時間の削減、カットピッチの短縮による安全性向上、資材コストの低減など省エネ、省資源など環境対応にも効果があると説明を受けた。

写真6. 「高速超音波加熱シール横形ピロー包装機 FUW3400/WKα8」
写真6. 「高速超音波加熱シール横形ピロー包装機 FUW3400/WKα8」

 Fuji Smart Moduleロボット集積包装ラインは、ピッキング・段積み・整列・包装までの全自動化を省スペースで実現する自動化ラインの展示がされていた。
Fuji Smart Module特徴は、次の5つである。
①同じ形状のフレームを使用することにより設備の統一感が生まれる
②同じ形状のフレームを使用することにより搬入時の据付時間の短縮
③ロボット・包装機の組み込みによる省スペース・省人化
④制御盤が上部にあるため、メンテナンス時の作業性・清掃性が向上
⑤大型の透明カバーによる視認性・安全性の向上

6. 静甲株式会社 http://www.seiko-co.com/
[注目]「ロボット式容器整列機USR-150-L」
 ロボット式容器整列機(写真7.)は、多品種兼用、簡易型替、省スペース、ロボット台数で幅広い能力に対応することが可能な容器整列機を展示していた。パラレルリンクロボットと、最新技術のリニア搬送の組合せにより、安定したハンドリングを実現している自動化システムである。対象容器は樹脂容器(主にPETボトルやスクイズボトルなど)で、生産能力は125本/分(ロボット1台)250本/分(ロボット2台)。
 パラレルリンクロボットの搭載で省スペース化、多品種の兼用化が図られている。パラレルリンクロボットは2台まで搭載することができる。
ハンドリングは、ロボットからリニア搬送ユニット、次にコンベヤまで連続的に安定搬送される。リニア搬送ユニット部の容器保持チャッキング機構はエアーを必要としない構造(特許出願中)となっている。

写真7. 「ロボット式容器整列機USR-150-L」
写真7. 「ロボット式容器整列機USR-150-L」

7. 株式会社美木多機械 http://www.mikitakikai.co.jp/
[注目]「ロボットケーサー MKD-Rbシリーズ」
 産業用ロボットを活用した新型段ボールケーサー「ロボットケーサー MKD-Rbシリーズ」に注目した。ロボ・ケーサーMKD-Rb(写真8.)は、2ライン以上の包装ラインを1台の段ボールケーサーで梱包を可能にすることをコンセプトに開発されたシリーズである。多関節ロボットを利用して、段ボールの取り出しから製函までを一連で行うためコンパクトなレイアウトとなっている。ケースサイズの切り替えが数値データで変更でき、ワークサイズ、入目についても数値データおよびプログラム変更で瞬時に対応する。処理能力は、5~10ケース/分としている。「2L1C(2Line 1Caser )」のコンセプトを掲げ、供給装置やマガジンを増設する事により異なる段ボールサイズ・異なる系列の混在生産を実現。タッチパネルにW・H・L寸法を入力するだけのオートサイズチェンジ機能も搭載。多関節ロボットを利用する事で様々な供給方向・供給段数に対応可能となっている。

写真8. 「ロボットケーサー MKD-Rb」
写真8. 「ロボットケーサー MKD-Rb」

8. アンリツ株式会社 https://www.anritsu.com/
[注目]「落下型金属検出機」
 ドライ製品の包装前検査に適用できる検査装置(写真9.)で、自由落下で投入される製品の検査に特化したヘッド構造と信号処理により高感度検出を可能としている。周辺機器からの外乱となる振動やノイズへの耐性も高いため、生産ラインに組み込でも安定した運用が可能と説明を受けた。受入原料工程に異物検査を導入することで生産ライン内での異物の混入・拡散や流出リスク低減に有効である。検出ヘッド、指示器、選別部(オプション)は個々に独立した構造でユニット化されていて既設ラインへの組み込みが容易になっている。

写真9. 「落下型金属検出機」(右)
写真9. 「落下型金属検出機」(右)

9. 大和製衡株式会社
https://www.yamato-scale.co.jp/
[注目]「自動計量システム TSD-N3+Foodly」https://www.yamato-scale.co.jp/
 TSD-N3+Foodlyは、協働ロボットを活用した自動計量システムとして展示デモ(パスタ麺の定量供給作業)を視察した。食材の定量詰め作業を安定的に行うことを可能とするため、計量機(組合せはかり)と協働ロボットが連動した新しい自動計量システムとして提案していた。組合せはかりに協働ロボットが食材を載せるシステムで人の手が必要だったセミオート計測分野での包装工程に組み込みライン構築する。
 展示デモ「TSD-N3+Foodly」(写真10.)は、組合せはかり「TSD-N3」と双腕型協働ロボット「Foodly」で構成される自動計量システムで、「TSD-N3」は片側に7個の計量部とコンベヤが並列に計14個配列されている。本体中央には搬送コンベヤが配置されていて、14個の計量コンベヤの中からターゲット重量に対し、最適な組み合わせができる計量コンベヤを選択して搬送コンベヤ排出される。排出された食材は包装工程の包装機等に搬送され、パック包装される。

写真10. 展示デモで組合せはかりと連動する協働ロボット「Foodly」
写真10. 展示デモで組合せはかりと連動する協働ロボット「Foodly」

 展示デモで組合せはかりと連動する協働ロボット「Foodly」は、双腕のロボットで「TSD-N3」に向き合う形で2台を配置し、製品を番重容器から特殊なハンド(トング形状)で食材を取出し「TSD-N3」の計量コンベヤに供給する動作を繰り返し行っていた。定量供給が可能となることで、25~30/分ショットの定量計量作業ができ、作業員の補助として活用する。ハンド部分は交換が可能で衛生面を考慮し、各種食材に対応が可能である。

10. 日本製紙株式会社 https://www.nipponpapergroup.com/
[注目]環境に優しい紙製バリア素材「SHIELDPLUS (シールドプラス)」、ヒートシール紙「LAMINA (ラミナ)」
 紙に水系塗工技術によるバリア層を付与した”紙なのに酸素・香りを通さない”紙製バリア素材「SHIELDPLUS」は、印刷基材とバリア基材として2つの機能を持つため、包材全体としてプラスチック使用量を削減。このシールドプラスは、木質素材100%からなる紙を基材に静止用水系塗工技術を活用したバリア塗工層で環境にやさしい素材である。
さらに紙に水系塗工技術によるヒートシール層を付与した”紙だけでパッケージができる”新素材「LAMINA」は、優れた環境適合性とリサイクル性に加え、ラミネート工程が不要となり大幅な生産工程の短縮も可能。バリア性を必要としないさまざまな軟包装の「紙化」(写真11.)を提案していた。

写真11.CLOMA展示コーナー「日本製紙(株)ブース」紙包装展示
写真11.CLOMA展示コーナー「日本製紙(株)ブース」紙包装展示

11. 包装ライフサイクル展示コーナー
[注目]「脱プラ」に向けた取組みモノマテリアル包材と紙製包材
 パッケージのライフサイクル工程ごとの課題や事例を可視化した企画展示として注目した。ライフサイクル全体で二酸化炭素(CO2)やゴミの排出ゼロに向けた現状を伝える展示がされていた。モノマテリアル包材と紙製包材をプラスチック包材とライフサイクル全体でCO2排出量を比較したパネルや関連企業・団体が取り組んでいる状況(写真12.)を展示していた。

写真12.包装ライフサイクル展示コーナー
写真12.包装ライフサイクル展示コーナー

◇最後に
 包装にまつわる5つの課題である「生産性の向上」「地球環境への課題」「食料に関する課題」「安全安心の実現」「市場の拡大」をテーマに包装機械では自動化による展示が前回に引続き生産ラインとしてのデモ展示がされていた。労働人口減少に関連して人手不足が業界全体の課題になっていることから具体的な解決策が各種提案されることが今後も期待できる。
 環境関連全般では、「樹脂の利用が多い包装分野においては、廃プラスチックの削減やカーボンニュートラルといった持続可能な社会の実現に向けて何ができるか問われていることから、包装機械とそのサプライチェーンでの取り組みについては課題がまだまだ山積していると感じる展示会であった。

以上

【参考引用先】
1.「JAPAN PACK 2022」日本包装産業展HP:https://www.japanpack.jp/
2. 各社HP 製品紹介ほか