『日本が誇るフルーツブランドの海外流出が止まらない!』

『日本が誇るフルーツブランドの海外流出が止まらない!』

 日本が誇るフルーツブランドの海外流出を食い止められるか。日本国内で開発されたブドウやイチゴなど農作物の新品種について、海外への持ち出しを規制する方針が示されたが、その後、流出は止まったのか。種子や苗木の国外流出が相次ぐブランド果物の保護を強化するのが狙いで、種苗法の一部を改正する法律(令和2年12月2日)が成立したが、歯止めが利かない状況ではないだろうか。

今年7月、農林水産省は高級ブドウ「シャインマスカット」が中国に無断で持ち出され、損失が年間100億円にものぼるという試算が発表されている。シャインマスカットは茨城県つくば市にある農業・食品産業技術総合研究機構(農研機構)が2006年に品種登録した。試験開始から登録まで33年という長い月日をかけて開発した日本が誇るブランドである。 シャインマスカットは2017年ごろから中国で広く栽培されているのが確認され、『陽光バラ』『香印翡翠』などの中国名で販売されていると報道があった。シャインマスカットは国内の高級百貨店では1キロ1万円を超えるものもある高級品として販売されている。それが、中国では日本の30倍以上の大規模な農地で栽培されていることもあり、1キロ400~600円ほどで安売りされ、中国製として幅広い層に浸透しているという。品質は国産より見劣りするが、安さが後押ししていて、中国だけでなく、韓国内でも栽培、販売されていることが確認されているというから驚きである。

なぜ日本の果実がここまで中国に流出するのか。国内で長年の時間と労力をかけて開発した新品種でも、苗木を海外に持ち出せば、簡単に栽培ができてしまう点にある。日本の果実は中国でも人気なので、作れば売れると考えるのも普通なのだろう。一部の報道ではあるが、年間1000億円超の被害額がでているのではないかという指摘があるが、決して的外れな数字ではないと感じる。

今年4月、改正種苗法が施行されたが、これにより、新品種の育成権利者の許諾なしに指定された地域以外で栽培したり、無断で海外に持ち出したりした場合は、生産・販売の差し止め対象とすることが可能になった。10年以下の懲役、1000万円以下の罰金を科すこともできる。また、来年には育成者権の管理や活用などを専門に扱う育成者権管理機関も設立予定で、やっと国も育成者の権利保護に本腰を入れ始めた。

世界に向けてブランディング戦略を構築しておくことが重要であり、特にフルーツの伸びしろを考えるとまだまだ上を目指せる。日本が誇るフルーツブランドを世界に発信し続けることが大切である。

以上