『食品包装資材・容器の市場動向』

『食品包装資材・容器の市場動向』
Market trends for food packaging materials and containers

1.はじめに

 (一財)日本包装技術協会の公表している22年の包装産業出荷統計報告と過去のデータを基に「食品包装資材・容器の市場動向」についてレポートとする。

2.2018 ~ 22年の包装資材・容器統計数値の推移を基に23年以降の動向

 包装容器の出荷額はバブル期(1980年代)8兆円規模であったが、バブル崩壊に伴い生産量も減少し、近年は、環境対策による包材の薄肉化、簡素化が進み、金額ベースで5兆円台、重量ベースでは1,900万トン台(紙が66%を占める)で推移している。
 2020年の新型コロナ感染症の拡大によって紙は増加し、プラスチックは減少傾向になったが、その後は増加に転じている。一方、金属缶は数量を大きく減少している。
 2021年の包装資材構成(金額ベース)は紙、プラスチック、金属、ガラス、木、その他で、金属が前年より減少、プラスチックは増加する結果となった。
 食品用途の包材は、用途別の包装機械の数量等から全体の6割程度と推定されている。食品は、種類(農産、畜産、水産品とそれらの加工品)、形状(固体、粉体、液体等)、水分特性(多水分、中間水分、乾燥食品)、品質変化の特性(腐敗、カビ、酸化、変色、吸湿、破損等)、製品の価格帯、流通温度帯などきわめて多様であり、その包装にも、個包装、内装、外装や消費者包装、輸送包装など多岐である。食品の輸送、保管中の変質については、多様な機能性包材によって品質、特性が保持されるが、包装の種類は多様であることから、応用面では機能性包材や高度な技術が用いられている。

3.市場の方向性と今後の課題

 現在の方向性、課題は次の4つになる。

(1) 包装食品のロングライフ(LL)化による食品のムダ(食品ロス)の削減
 包装食品をLL化することにより『食品ロス』を削減し、災害に備え、今世紀の後半に起こるとされる大規模な食糧危機を回避するために食糧資源を大切に使うことが非常に重要な課題と位置付けられている。これには、食品包材メーカーをはじめ、流通業者や消費者の理解が不可欠である。現在は、国や地方自治体も含めた『食品ロス』への取組みも重要であり、19年10月に施工された「食品ロス削減推進法」により取組が強化され、商慣行などの見直しや改善、消費者の理解も浸透することで今後の取組みなども期待される。
(2)包装資材の安全性確保
 日本で生産されている食品用プラスチック包材の安全性は、民間団体のポリオレフィン等衛生協議会が、1973年以来FDAのルールに則りポジティブリスト制度(PL制度)を運営してきたが、2018年6月の「食品衛生法」改正によりPL制度が法制化されて20年6月より施工され、日本も欧米並みになった。これまで明確に規定されていなかった脱炭素剤や抗菌剤などのアクティブ包材、副資材の使用についても明確に規定された。
(3) 輸入包材と輸入包装食品の安全性確保
 近年、輸入される包装食品や包装資材の増加に伴い、日本の安全基準に適合していない包材が増加し、それらの衛生管理が重要な課題になっている。20年の「食品衛生法」の改正では、このような輸入品に対して法令を適用する目的もあり、今後、順次法整備とそれによる包装資材等の安全管理が実施されると考えられる。
(4) 環境問題に対する包装業界の取組みと今後の展望
① プラスチックの分別回収とその利用

 プラスチックは加工が容易で、計量、安価で丈夫であるため、建築資材、乗り物、家電や電子機器、衣類や靴、家庭雑貨、家具、玩具、医療器具、農林水産業などの包装等さまざまな資材、包装など、身近な生活の必需品となっている。現在流通している総量は、年間1,000万トン程度で、その中でも量的に最も多いのが約1 / 3を占める包装資材であり約6割の200 ~ 230万トンが食品用プラ包材は薄くてかさ張るものが多く、そのまま破棄されるので、廃棄物として存在が注目され、西欧では資源として再利用することが進められている。日本もリサイクルプラ、グリーンプラなどの利用を推進しているが、実際には大部分をごみ焼却している。プラ包材をごみの助燃材として有効利用し、その時に発生する熱を利用した熱回収システムやごみ発電に活用されている。
 ちなみに、日本のCO2排出は世界全体の3%であり、ごみ焼却で排出されるCO2は日本全体の約3%である。
➁ プラスチック廃棄物による海洋汚染
 近年、環境問題として取り上げられている「海洋プラスチック問題」があり、紙製の包材や生分解性包材などが見直され注目されている。特にSDGsの考え方の浸透もあり、今後この方法で包装資材の見直しが進み、取組が強化されるであろう。
 海洋プラスチック問題は、特にアジア圏の中国、インドネシア、フィリピン、ベトナムなどでプラスチックの分別・回収が進んでおらず、埋め立て地のプラスチックごみが洪水などで流出し、海洋に放出されるなどの問題が発生している。海洋への流出量は、毎年800万トンを超えるプラスチックごみが海洋に流出し、海流に乗って日本近海やハワイ近海に集まっているなどの報告もある。
 今後発生するごみはしっかりと分別・回収をしていけば海洋への流出は低減できる。そして、これまで海洋に流出したプラスチックごみは分解せずに海洋に残り続けるので、国際的な協力により回収することが必要である。アジア圏のプラスチックの廃棄物の分別・回収を普及することと海洋プラスチックの回収について日本の指導力が重要となると考える。

以上

【参考引用先】

  1. 「2022年日本の包装産業出荷統計」公益社団法人 日本包装技術協会HP
    https://www.jpi.or.jp/toukei/2023.html
  2. 「容器包装材料の環境対応とリサイクル技術」発行:技術情報協会
  3. 「食品容器包装の新しいニーズ、規制とその対応」発行:技術情報協会