技術用語解説31『クックチルシステム (CCC:Cook Chill Cook system)』

技術用語解説31『クックチルシステム (CCC:Cook Chill Cook system)』

 クックチルシステム(CCC:Cook Chill Cook system 図1.)はレディーフードシステムの1つで、配膳時に再加熱する他の調理法にはクックフリーズシステム(CFC:Cook Freeze Cook system)、真空調理システム、真空パックなど(図2.)がある。
 クックチルシステムは食材を予め加熱調理し、これを冷水または冷風で急速に冷却し、チルド状態で一定期間保存(または運搬)し、提供時に再加熱し、配膳、提供するシステムである。この時の冷却は90分以内に中心温度が3℃以下、または60分以内で4℃以下にするという基準があり、このような急速急冷を行うにはブラストチラーまたはタンブル(タンブリング)チラーが必要である。ブラストチラーはスチームコンベンションオーブンなどで加熱調理された食品をステンレストレーに載せ、強冷風で急速冷却する装置で、3℃で5日間の貯蔵が可能である。
 一方、タンブルチラーはプラスチックバッグに入れた食品を冷水(1~2℃)中で急速冷却する装置で、液状食品でも冷却が容易となる。食品を熱いうちにバックに入れる、またはバッグに入れたまま加熱調理をしてそのまま冷却するので、人の手や空気に触れなることがないため、氷温(-1℃)で貯蔵すれば、30~45日間の貯蔵が可能である。
 このクックチルシステムは食品の温度、調理時間の管理が徹底されるので、料理(製品)の衛生管理とともに品質管理が容易である。しかも、調理とサービスを時間的に分離させ、各作業の煩雑性を解消しうる点では効率の良いシステムといえる。ただ、調理してから提供までの時間の間隔が空いてしまうため、調理後の冷却、冷蔵、再加熱の温度や時間を決められた条件で行うことが、衛生管理上最重要になってくる。また、クックチルを行う厨房では、清潔区域として専用の部屋または区域を設け、一般調理(クックサーブ)と異なる工程で調理をする必要がある。
 クックチルシステムのメリットとデメリットについて以下に記す。

【クックチルシステムのメリット】

① 食材の大量購入、大量調理によるコストメリットがある
② 作業の煩雑性を解消し、従業員を効率よく活用できる
③ 従業員の出勤時間のカイゼンや休日勤務が軽減される
④ 料理(製品)の品質が標準化(熟練者でなくてよい)される
⑤ 加工食品を利用しなくてよく、喫食者に適した料理(製品)が提供できる

【クックチルシステムのデメリット】

① 設備やメニュー開発コスト(時間、教育・訓練)のための投資が必要になる
② 規模や施設の特性によりクックチルシステムがマッチしない場合もある
(例えば、すべてのメニューを調理するわけでない場合など)

図1. クックチルシステム 調理の流れ例(出典:株式会社カネ中商店H.P)
図1. クックチルシステム 調理の流れ例(出典:株式会社カネ中商店H.P)
図2. 従来のクックサーブと比較した調理から提供までのフローチャート比較
図2. 従来のクックサーブと比較した調理から提供までのフローチャート比較

以上