技術用語解説 27 『CA貯蔵 / MA貯蔵(Controlled Atmosphere Storage / Modified Atmosphere Storage)』

技術用語解説 27
『CA貯蔵 / MA貯蔵(Controlled Atmosphere Storage / Modified Atmosphere Storage)』

 青果物が生産者により収穫されてから消費者もしくは食品加工工場等に届くまでに流通経路で一定の期間を要する。追熟生理を持つ果物などは輸送等の期間に追熟が進行する。鮮度の高い商品を提供するためには、追熟を抑制する必要がある。青果物の貯蔵方法には、低温貯蔵、減圧貯蔵、疎水性ガスを用いた貯蔵の他に主題としたCA貯蔵 / MA貯蔵があげられる。

1. CA貯蔵 / MA貯蔵の定義

 CA貯蔵は、気密性の良い貯蔵庫を利用して外気を遮断し、庫内のガス組成(O2:CO2:N2)を人工的に調整し、青果物の鮮度保持と貯蔵期間の延長を計る目的で、この調整空気を利用して行う貯蔵法である。主な食材としてリンゴ、バナナ、トマト、マッシュルーム等について、この貯蔵法が利用されている。
 MA貯蔵は、しばしばCA貯蔵と同義語で用いられてきたが、その後、フィルムのガス透過性と青果物の呼吸によって作りだされる一種のCA条件下で、青果物を保蔵するプラスチックフィルム包装貯蔵法を、MA貯蔵と呼ぶようになった。

2. 方法

 CA貯蔵法は、次の3つに大別される。
(1) 気密性の高い貯蔵庫に青果物を入れ、青果物の呼吸を利用して、CA条件を作りだす方法で、普通CA貯蔵(Conventional CA Storage)と呼ばれる。
(2) 大気中の酸素を、酸素吸収剤(ゼオライト、モレキュラーシープ、特殊メンブラン等)で吸収させ、呼吸によって生じた二酸化炭素と組み合せて、CA条件を作りだす方法である。(3) 炭素または炭素化合物(プロパンガス等)を触媒として用いて燃焼し、生じたCA条件の調整空気を利用する方式で、このジェネレーター方式によるCA貯蔵法が世界的に広く普及している。
 何れの場合も、過剰な二酸化炭素とエチレンを活性炭等の吸収剤で除去し、新鮮空気を 補って、低温と組み合せて、CA貯蔵を行う。一般にガス組成は、酵素:二酸化炭素2~3%:2~5%で、最適ガス組成と許容されるガス組成の範囲は、青果物の種類、品種、熟度、季節、気候によって異なる。例えば、リンゴ「ふじ」はO2:CO2 = 3%:2.2~2.5%、,温度 / 湿度 -0.5℃ / 85~90%が一般的な指標となるが、その年の気候等によって多少の変動を加味して貯蔵する。
 MA貯蔵は、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリプタジェン及びそのゼオライト、セラミック粉粒包埋フィルム等の適当なガス透過性・吸着性を持つフィルムで、青果物を密封包装、ラップまたはダンボール内で風呂敷包みし、青果物の呼吸とフィルムのガス透過性を利用して、一種のCA条件を誘起させ、その条件下で保蔵する方法である。必要に応じ、エチレン、二酸化炭素、酸素、水分吸収剤を同封する。青果物の種類・品種・熟度・重量、フィルムの種類・厚さ・表面積及び温度が関係して、包装内部のガス組成が異なってくるので、あらかじめ、最適条件を決める必要があり、多くの研究例が見られる。

3. 原理と応用

 低酸素・高二酸化炭素条件は青果物の呼吸、エチレン生成・反応を抑制し、鮮度保持に有効である。このガス条件と低温の組合せによって、特にclimacteric rise型の果物・野菜では、呼吸のclimacteric riseが遅れ、pre-climacteric stageが延長され、それだけ貯蔵期間が延長できる。世界的にCA貯蔵が普及しているリンゴと西洋ナシはclimacteric型の果実に属する。他にもCA貯蔵の効果が報告されている青果物は少なくないが経済効果の点から、「富有柿」、「二十世紀梨」、「ニンニク」等、実用化の進んでいるものは一部に限られている。
 プラスチックフィルムによるMA貯蔵によって、最適ガス条件が誘起され、それが持続できれば,フィルムによる病源菌の感染の蔓延防止効果も加わって、ある種の青果物は秀れた貯蔵効果を示す。「富有柿」、「日本梨」、「キウイフルーツ」などの個装は、貯蔵目的によっては、低密度ポリエチレンフィルム(LDPE / LLDPE)を利用した密封包装によるMA貯蔵が行われたりする。ただ、現実には多くの青果物は、包装内部の二酸化炭素の過蓄積、極度の低酸素による生理障害の発生の危険性を避けて、開孔包装(perforated package)によって流通されることが多い。

以上

【参考文献】
1. 中島一郎著「初心者のための食品製造学」光琳
2. 日本食品工学会編「食品製造に役立つ食品工学事典」恒星社厚生閣