技術用語解説 23『造粒 (Granulation)』

技術用語解説23『造粒 (Granulation)』

 造粒とは、粉状、塊状、溶液あるいは溶融液状などの原料からほぼ均一な大きさの粒子をつくることと定義されている。食品工業における造粒の応用例は非常に多く、食塩、砂糖などの結晶、金平糖、角砂糖などの成形、調味料、スープ、粉乳、コーヒーなどの顆粒化などがあり、形状についてもさまざまである。なお粉末状食品の造粒操作は顆粒化(agglomeration)、インスタント化(instantization)と呼ばれることがある。

1. 造粒の目的

 造粒により次のような種々の好ましい特性が生じる。
(1) 即溶性:粉末状食品を水や湯に素早く溶解するため粒子の沈降性、湿潤性、分散性などを付与できる。
(2) 流動性: 適当な形状の造粒を行うことによって、自動販売機などでの定量投入などに適し、見掛け比重が均一で、流動性のよい製品がつくれる。
(3) 飛散防止: 適当な大きさの造粒を行うことにより、粉塵の発生を防止できる。
(4) 吸湿性の改善: 造粒することにより、表面積を小さくし、吸湿性を少なくする。
(5) 商品価値の向上: 外観上の好ましい顆粒状とし、商品として消費者に好ましい印象を与える。

2. 造粒の方法と特徴

・造粒方法は、次の(1)~(3)の3つに大別できる。

(1) Size enlargement造粒法

 粉末を凝集(agglomerate)させて造粒する方法で、これには次の2つの方法がある。

① 湿式造粒法:

 粉末に水を添加して、粉体粒子表面を湿らせ、結着させる方法である。本法には、回転ドラム、振動板などで粉体を運動させながら水や結着剤溶液を噴霧し凝集させる転動造粒、粉末を混合攪拌羽根で攪拌しながら水を添加して凝集させる攪拌造粒、粉末を空気中に分散させ水を噴霧して凝集させる流動層造粒、粉体を気流中に分散させ水や蒸気を噴霧して造粒する気流造粒、さらには粉体を混練機で加湿し、スクリュー、ピストン、またはロール式の押し出し機によって、造粒する押出し造粒などがある。

② 乾式造粒法:

 水を添加しないで,物理的に粉体同志を結着させる方法である.粉末または顆粒を型に入れ、打錠機あるいはローラーで高圧成形して造粒する圧縮成形造粒がある。

(2) Size reduction造粒法

大きな塊を所定の大きさに解砕する造粒法である。粉末をローラーまたは打錠機で圧縮成形したものを解砕する解砕造粒,凍結乾燥品、ドラム乾燥品の破砕などがある。

(3) その他の造粒

 溶融液をノズルから噴射分散し、空気中、油中、水中で冷却、固化する噴射造粒、液状やペースト状食品を高温気流中に噴霧し、液滴を瞬間的に乾燥する噴霧乾燥造粒、その他マイクロカプセル化による造粒などがある。

・造粒法と製品の特徴

 転動造粒,攪拌造粒の製品は、グラニュール、ペレットなどと呼ばれ、数百ミクロンから2~3ミリの球状または不定形をしており、組織は比較的硬く、流動性は優れているが、即溶性は劣る。吸湿性の強い粉体には不適で調味料、スープなどに利用されている。
流動層造粒と気流造粒の製品は顆粒と呼ばれ、粒径は数百ミクロンの不定形で、組織は多孔質でソフト、即溶性に優れている。調味料、スープ、ココア、粉乳などに利用される。
押出し造粒、圧縮成形造粒のものは比較的大粒の製品が多く、球形、円筒形、碁石形、サイコロ状で、ブリック、ペレットなどと呼ばれ、組織は密で即溶性は劣る。
調味料、スープの素、お茶漬の素、菓子、角砂糖などに利用されている。
解砕造粒製品の中で小粒はグラニュール、大粒はフレークと呼ばれ、不定形で比較的硬く、調味料などに利用されている。
 噴射造粒の製品は球状で脂肪酸およびその誘導体の界面活性剤などに利用されている。
噴霧乾燥造粒は噴霧乾燥法とも呼ばれ、球形または球が壊れた不定形をしており、粒径数十ミクロンから数百ミクロン、粉乳、粉卵、調味料、果汁、デキストリン、カラメル、粉末豆乳などの各種噴霧乾燥食品に広く利用されている。

以上