技術用語解説75『食品表示制度 (Food Labeling System) 』

技術用語解説75『食品表示制度 (Food Labeling System) 』

1. 新しい食品表示制度のねらい

 食品の表示について一般的なルールを定めている法律には、食品衛生法、JAS法及び健康増進法の3法があった。しかし、目的が異なる3つの法律にルールが定められていたために、制度が複雑で、分かりにくいものにとなっていた。
 食品表示法は、上記3法の食品の表示に関する規定を統合したもので、食品の表示に関する包括的かつ一元的な制度を創設するものである。
 法律の目的が統一されたことにより、整合性の取れたルールの策定が可能となったため、消費者、事業者の双方にとって分かりやすい表示を実現することができるようになった。
 また、栄養成分表示の義務化も可能となり、消費者の日々の栄養・食生活管理による健康増進への寄与にも資する制度の実現を図ることができるようになった。
具体的なルールは、「食品表示基準」に定められている。食品表示基準は、これまで上記3法の下に定められていた58本の表示基準を統合したものである。

2. 新たな食品表示制度の施行はいつから

 新たな食品表示の制度は、2015年(平成27年)4月1日からスタートした。しかし、加工食品と添加物は5年間、生鮮食品は1年6ヶ月の間、以前の制度に基づく表示を認めるという猶予期間が設けられた。ただし、新たな機能性表示制度については、全くの新しい制度なので、猶予期間は設けられなかった経緯がある。
 食品の製造ラインは、消費者に商品を絶え間なく供給できるように常に動いているため、商品の在庫だけでなく、包装材(表紙ラベル)の在庫も抱えている。新しい制度のスタートと共に、これらの在庫を全て廃棄しなければならないとすると、大量のフードロスや資源の無駄が出てしまうことになる。
 消費者は、表示から様々な情報を得て、食品を購入しているので、食品関連事業者は、計画的に生産を行うなどして、消費者に新しい表示が届くように制度の切替えが進められた。

3. 主な変更点

 新たな食品表示の制度は、2015年(平成27年)4月1日からスタートした。しかし、加工食品と添加物は5年間、生鮮食品は1年6ヶ月の間、以前の制度に基づく表示を認めるという猶予期間が設けられた。ただし、新たな機能性表示制度については、全くの新しい制度なので、猶予期間は設けられなかった経緯がある。
 食品の製造ラインは、消費者に商品を絶え間なく供給できるように常に動いているため、商品の在庫だけでなく、包装材(表紙ラベル)の在庫も抱えている。新しい制度のスタートと共に、これらの在庫を全て廃棄しなければならないとすると、大量のフードロスや資源の無駄が出てしまうことになる。
 消費者は、表示から様々な情報を得て、食品を購入しているので、食品関連事業者は、計画的に生産を行うなどして、消費者に新しい表示が届くように制度の切替えが進められた。

(1) アレルギー表示が変わる

  1. ① 原則として、個別表記になる
  2. ② 特定加工食品及びその拡大が廃止される
    • <補足>特定加工食品とは
       特定加工食品とは、表記として特定原材料名又は代替表記を含まないが、一般的に特定原材料等を含むことが予測できると考えられてきたものをいう。
  3. ③ 一括表示する場合、別記様式内に、使用された全てのアレルゲンがまとめて表示される。

(2) 加工食品の栄養成分表示が義務化された

  1. ① 容器包装に入れられた加工食品には、熱量、タンパク質、脂質、炭水化物、ナトリウムの5成分が表示される。
  2. ② ナトリウムの量は、消費者にとって分かりやすい「食塩相当量」が示される(ナトリウム塩を添加していない食品にのみ、ナトリウムの量を併記することが可能である)。
  3. ③ 栄養成分表示を活用して、健康的な食事の摂取に役立てる。ただし、以下のものは、栄養成分の表示の省略が認められている。
    • ・表示可能面積が小さいもの
    • ・酒類
    • ・栄養の供給源としての寄与の程度が小さいもの
    • ・極めて短期間で原材料が変更されるもの
    • ・小規模事業者が販売するもの

(3) 新たな機能性表示制度が創設された

  1. ① 特定の保健の目的が期待できる(健康維持及び増進に役立つ)という食品の機能性を表示することができる「機能性表示食品」の制度である。
  2. ② 機能性表示食品は、消費者庁長官に届け出た安全性や機能性に関する一定の化学的根拠に基づき、事業者の責任において表示を行うものである。特定保健用食品(トクホ)とは異なり、消費者庁長官の個別の許可をうけたものではない。
  3. ③ 機能性表示食品の安全性及び機能性に関する科学的根拠は、消費者庁のWebサイト等に公開される。
  4. ④ 機能性表示食品は、疾病の診断、治療、予防を目的としたものではなく、また疾病に罹患している者、未成年者、妊産婦(妊娠を計画している者を含む)及び授乳婦を対象に開発された食品ではない。
  5. ⑤ 健康づくりのためには、十分な睡眠と運動に加え、バランスの良い食事が基本をすることが基本となる。機能性表示食品に頼るだけではなく、自身の食生活を見直すことが大切である。

以上

【参考文献】

  1. 「新しい食品表示制度」消費者庁資料
    https://www.caa.go.jp/policies/policy/food_labeling/pdf/syokuhin1441.pdf
  2.