技術解説用語15「バリデーション:適格性確認(IQ、OQ、PQ)」

技術解説用語15
『バリデーション:適格性確認(IQ、OQ、PQ)』

 分析機器が、適切な環境のもと正しく動作し、仕様に沿った品質に保たれているか検証し、文書化することである。

◇バリデーションとは

 医薬品の製造や品質管理において、分析試験に対する要求の一つが「バリデーション」である。 手順、製品、試験方法などが期待された結果を与えることを検証する作業のことを「バリデーション」という。 ポイントは、「文書化」された「期待される結果」が得られることを「文書化」 された方法により「検証」し、結果を「文書」で記録することである。「期待される結果」とは、機器に必要とされる性能・機能のことで、機器の「期待される結果」が得られていることを確かめる作業(検証)を次の3つのステップで行うことである。

1. 据付時適格性確認(IQ)

 据付時に装置が正しく据え付けられていることを確認する。
目的は、据え付けた機器に関する詳細な記録を作成することにある。納品・設置された機器が、注文書通りで過不足なく電源を投入して正常に起動すれば、完了である。
新規に設置された機器が仕様に基づいて正しく納品され、また、その設置が適切に実施された確認を行い、文書化することである。

2. 稼動性能適格性確認(OQ)

 装置に期待されている機能、性能が得られていることを種々の試験を通して確認する。
目的は、据え付けた機器が所期の性能・機能を有していることを確認し、記録することである。機器の機能・性能仕様書から試験項目・基準を選ぶ。機器メーカーが供給する標準業務手順書によることも可能である。(定期点検)
稼動性能適格性確認では、正しく設置された機器が、実使用に問題の無い範囲で正常に動作することが確認できる内容を規定し、その検査結果を記録とするものある。

3. 稼動時適格性確認(PQ)

 使用時に、その試験の期待される結果が得られていることを確認する。 目的は、機器が日常の試験に必要とされる性能を維持していることを記録することである。(日常点検)
稼動時適格性確認では、機器が一貫して使用目的に適した性能を維持していることを検証し、その結果を文書化する。これにより、日々の計量において、機器が一貫して信頼性の高い、正確な計量を行なっていることを確認する記録とすることである。
適格性確認には、IQ、OQ、PQの前にDQ(設計の適格性確認)があり、試験に必要な機器の性能、機能とメーカーに対する要求事項を文書化する作業が必須である。

以上のように、本管理手法の要点は、機器が正しく、設置され、所期の性能・機能を維持しているかどうか、 記録を残すということが重要なポイントとなる。

以上