◇「FOOMA JAPAN 2021(国際食品工業展)」視察_2021.06.01 ◇

◇「FOOMA JAPAN 2021(国際食品工業展)」視察_2021.06.01 ◇

会場:愛知スカイエキスポ Aichi Sky Expo(愛知県国際展示場)
主催:一般社団法人 日本食品機械工業会
開催規模:出展社数 661社、来場者総数:22,420人(6/4プレス発表)
開催期間:2021年06月01日~04日(4日間)
テーマ:発想力が食の未来をかえていく。

愛知スカイエキスポ Aichi Sky Expo(愛知県国際展示場)前
愛知スカイエキスポ Aichi Sky Expo(愛知県国際展示場)前

◇視察目的:
 食品機械・装置および関連機器に関する最新技術ならびに業界情報など食品機械の最先端テクノロジー、製品、サービスの動向調査を目的に視察する。

◇全般的な展示内容
 44回目の今回は、食品製造加工分野をはじめとして、労働力不足・省人化を解決する自動化の最先端「エンジニアリング・ロボット・IoT分野」HACCP導入に役立つ「衛生対策・管理分野」など全19分野に合計661社が出展していた。
出展分野は大きく分けて、原料処理、エンジニアリング・ロボット・IoT(モノのインターネット)、鮮度管理・品質保持、包装・充填、保管・搬送・移動、計測・分析・検査、衛生対策・管理、環境対策・リサイクル、設備機器・技術・部品、情報サービス・団体、食品製造・加工の11分野。「食品製造・加工」分野はさらに細かく9分野に分けられていた。これら全19分野の中でも、「エンジニアリング・ロボット・IoT」と「衛生対策・管理」は食品業界全体が関わる分野で注目されている。

◇注目したメーカーの製品・システムについて紹介する。
 ウィズコロナの時代を迎えて、自動化・省人化は食品製造現場の喫緊の課題となることから、主に「エンジニアリング・ロボット・IoT」「衛生対策・管理」に注視し最先端の技術を活用したソリューションについて詳述する。

□「エンジニアリング・ロボット・IoT分野」注目した主なメーカー □

1. 株式会社アールティ https://rt-net.jp/

主な展示製品:
・人型協働ロボット「Foodly」
・野菜投入システム「NEKONOTE Vegepicker」

「Foodly 」スズモコラボモデルは、鈴茂器工社製のロボットとコラボ!海苔巻き製造を自動化する人型協働ロボットで、本来は人が手作業で行う具材供給や機械操作を、人型協働ロボットFoodlyが担当。既製ロボットとの連携/セル生産対応カスタマイズの参考展示でとなっていた。人の作業の置き換えではなく、反復作業の補助として活用すれば効果が得られると感じる。
「NEKONOTE Vegepicker」は、AIによる高度な画像認識でばら積みの野菜をひとつひとつ認識してピッキングし、フードスライサーなどに投入するロボット。野菜は1台に複数登録可能で選別しながらの人手作業の補助として活用が期待できる。

写真:「Foodly」(左)と「NEKONOTE Vegepicker](右)
写真:「Foodly」(左)と「NEKONOTE Vegepicker](右)

2. アルトリスト株式会社 http://www.altruist.co.jp

主な展示製品:
・新規開発の省人化装置「枡形計量ハンド」
・「被せケーサー(オールインワンロボットケーサー)」

「枡形計量ハンド」は、惣菜工場などにおいて最も人手を要する盛付けラインでの使用を想定した手動タイプの省人化装置で、従来バラ物、粒物(豆やコーンなど)の盛付けは計量スプーンや容器、はかりなどを用いて人手を介して行っていた。それらを使用せず定量計量ができるように開発された装置である。ワンタッチで分解・組立を可能にし、洗浄性にも優れ枡サイズを変更することで多品種の計量が可能とアピールしていた。
「被せケーサー」は、製函:封函、箱詰め、荷抜け検査などの工程を1台で担う自動化システムとして被せケーサーをPETボトルで実演展示していた。同製品はドレッシングやたれなどのボトル製品を整列させ、ロボットハンドで箱を作り、ボトルに箱を被せ、上下面を折り込んで封函する。ロボットハンドは製品自体には触れない。ラインにはウエイトチェッカーや製品切替えの際の周辺装置などの交換作業もロボットが自動で行うため品種切替もタイムロスが少なくできる点が特長である。

写真:「枡形計量ハンド」(左)と「被せケーサー」(右)
写真:「枡形計量ハンド」(左)と「被せケーサー」(右)

3. OMC株式会社 http://omc.jpn.org/2012

主な展示製品:
・「ドラム缶ハンド+OMC密閉蓋(OSL)+ロボット式ノズル吸引システム+蓋・バンド脱着システム+セパレートコンベアライト」を組み合わせた自動化ラインシステム

「OMC製造ライン自動化システム」(ロボットハンドリングシステム・ロボット式脱着システム・ロボットミキシングシステム・ロボット式洗浄システム・クロスミキサー・コンテナミキサー・コンテナ計量システム・セパレートユニットコンベア・自動開袋機・各種制御システム他)など最適レイアウトで設置した装置工程間を自動搬送車(AGV)がパレット搭載容器を搬送するラインシステムを実演デモ展示していた。粉体ハンドリンクや調合のラインでの自動化など活用が見込まれる。人手で行っているロボットコンテナシステムについても蓋・バンドの自動化を積極的に取り入れたシステムとなっている。

写真:「OMC製造ライン自動化システム」
写真:「OMC製造ライン自動化システム」

4. オムロンフィールドエンジニアリング株式会社 https://www.omron-fe.co.jp/

主な展示製品:
・食品・化学業界向け作業支援・トレーサビリティシステム「QITEC」
・外観検査ソリューション「視覚検査システム」

「QITEC」は、作業ミス ” ゼロ ” とトレーサビリティ構築を同時に実現するサポートシステム。不良品を作らない・流さない・突き止められる「 安心・安全な工場 」を実現するコンセプトにシステム構築がされている。このシステムの特長は、1つ目が原料や作業情報を2次元コードでラベル化し照合する事で、作業ミス ” ゼロ “を実現、2つ目が製造実績を一元管理し、トレーサビリティを実現、3つ目が課題解決したい工程からシステムを導入し、段階的に他工程のシステムを追加導入可能とできることであるとアピールしていた。
「外観検査ソリューション」は、画像処理による各種外観検査機で不良品を流さないラインとするため、現場ニーズに応じた検査方法で、高品質生産を支援する。
このソリューションの特長として、1つ目は、工程の上流から下流まで、検査内容/検査対象物/速度等の各種条件に合わせた最適な検査装置を提供、2つ目は、検査に必要な搬送/払い出し等の付帯設備も含め、検査工程を一括制御できることにある。

 図:「 QITEC 」(左)と外観検査ソリューション (右)イメージ
図:「 QITEC 」(左)と外観検査ソリューション (右)イメージ

5. ストーブリ株式会社 https://www.staubli.com/ja-jp/

主な展示製品:
・「6軸ロボット(TX2-60HE)」
・「小型・高速スカラロボット(TS2-60)」

「6軸ロボット(TX2-60HE)」は、包装前の食材や食品を扱う工程で衛生的に使用できる食品製造に特化したロボットシリーズで、[ジャケットやカバーなしでロボットを使用したい]、[衛生的な観点から作業後にロボットを丸洗いしたい]という要望に応えるために開発されたロボット。防水性・防錆性に優れ、酸性洗剤やアルカリ性洗剤による洗浄にも耐える要求、湿度が高い環境下やロボット自体の衛生維持が求められる工程での使用可能な性能要求にも対応している。これまで衛生性の観点からロボットの導入が難しかった工程にも対応できることから、製造ライン内での自動化検討が可能になっている。展示ブースでの実演デモでは、洗浄機による洗浄性、防水性のデモンストレーションを行ってアピールしていた。
高速ピッキングの小型・高速スカラロボット「TS2-60」の展示がされていた。

写真:「TX2-60HE」(左)と「TS2-60」(右)
写真:「TX2-60HE」(左)と「TS2-60」(右)

6. ダイドー株式会社 http://www.daido-net.co.jp

主な展示製品:
・「シュマルツ:フィンガーグリッパーによるマルチハンドリングロボット(フィンガーグリッパーOFG)」

写真:フィンガーグリッパーOFG
写真:フィンガーグリッパーOFG

「シュマルツ :フィンガーグリッパーOFG」は、革新的デザインにより、デリケートなワークの搬送に対してその能力を発揮。衛生的デザインのタイプは食品の安全と衛生に関する最も厳しい要件を満たしており、標準タイプではオプションの吸着パッドを取り付けることで保持力が上がり、より速いピック&プレイスが可能である。展示ブースでは、リンゴのハンドリングやカップ容器の商品を把持して指先のような感度でハンドリングができることをアピールしていた。

7. 株式会社ファクシム http://www.faxcim.co.jp

主な展示製品:
・「FA1900K ボトル自動集積ロボットシステム」

写真:FA1900K
写真:FA1900K

「FA1900K ボトル自動集積ロボットシステム」は、バラ積みされた透明のボトル容器を起立排出するロボットシステム。画像処理とロボットの融合によるロボットビジョンシステムで容器をピッキング、整列、起立排出する装置が実演デモを行っていた。装置がコンパクトで、容器にやさしい整列を行えることやシステム構成を変更する事により、多品種容器の要望に合わせた供給部、レイアウトに対応できるとしていた。

8. ベッコフオートメーション株式会社 https://www.beckhoff.com/ja-jp/

主な展示製品:
・空中浮遊で自由自在に動作するリニア搬送システム「XPlanar」
・防水型高速リニア搬送システム「XTS Hygienic」

「空中浮遊で自由自在に動作するリニア搬送システムXPlanar」は、浮遊型リニア搬送システムとロボットによる同期動作で、IoT・省人化を見据えた生産システムとして提案されていた。システムは、自在な軌道を活かした搬送ワークの追越、可動子とロボットの同期動作によるタクトタイム向上、非接触搬送によるコンタミレス、メンテナンスレス、IoTシステムとの連動によるマスカスタマイゼーションの実現などを特長として提案していた。
「防水型高速リニア搬送システムXTS Hygienic」は、食品・薬品業界で不可欠な設備の洗浄が可能でメンテナンス性を高めた高速リニア搬送システムとして提案されていた。搬送システムは、周回軌道上で可動子を個々に制御、既設設備との同期・制御も可能、IP69Kの防水規格で高圧洗浄が可能、過酸化水素等の薬液洗浄により設備の清潔度を維持、オールステンレス製、メンテナンス性を考慮した設計を特長としていた。

写真:「XPlanar」(左)と「XTS Hygienic」(右)
写真:「XPlanar」(左)と「XTS Hygienic」(右)

9. 株式会社日立プラントサーピース https://www.hitachi-hps.co.jp/

主な展示製品:
・「多品種変量生産に対応するハイジットL」
・「プロセス異常の早期発見、要因解析を効率化する予兆・診断システムBD-CUBE」

「ハイジットL」は、立体自動倉庫連結型液体調合システム多品種・小ロット製造を支援する液体調合システム。ハンドリングしやすい小型の移動タンクを複数台同時に搬送しながら、各原料を順次調合する。これにより、従来の課題であった品種切り替え時間を短縮し、多品種・ジャストインタイム生産を実現。自動化・省人化設備として再注目。システム構成移動タンク、スタッカークレーン、搬送コンベヤ、立体自動倉庫により自動調合である。このシステムは多品種・ジャストインタイム生産を実現、移動タンクの増設で、さらなる多品種生産に対応、ロット切り替え時間を短縮可能、配管・バルブ数を減らせるので洗浄作業低減など特長がある。

図:システム構成例
図:システム構成例
図:システム構成例

「予兆・診断システムBD-CUBE」は、「監視・制御システムでは捉えられない」「いつもと違う状態を検知」をコンセプトにつくられたシステムで、生産工場における機器・装置・システムから得られたビッグデータを利活用し、装置・設備の異常状態を早期に検知するというものである。たとえば「立ち上がりが遅い」、「回転数が低い」など通常とは異なる動作の挙動を捉えることが可能である。そのため装置・設備の異常状態を早期に検知することで、安全・安定へ早めの対応が行えるということをアピールしていた。

10. 株式会社安川電機 http://www.yaskawa.co.jp/

主な展示製品:
・人協働ロボット「MOTOMAN-HC10DTF」(食品仕様)
・多用途適用型ロボット「MOTOMAN-GP8」(食品仕様開発中)
・AI画像判定ソリューション「Y’s-Eye」

人協働ロボット「MOTOMAN-HC10DTF」(食品仕様)は、6軸垂直多関節ロボットで人と共に作業する、人協働ロボット外部から加わる力を検知してロボットが自動で停止する、”安全運転”で人との共同作業が可能アーム部の隙間を確保した”安全設計”で、手や指の挟み込み防止アームを直接持って動かしながら動作をティーチングする”ダイレクトティーチング”により、直感的なロボット操作が可能簡単な操作でロボットの教示が出来るスマートペンダント対応が主な特長となっている。

 写真:「MOTOMAN-HC10DTF」(左)「MOTOMAN-GP8」(中央)「Y‘s-Eye」(右)
写真:「MOTOMAN-HC10DTF」(左)「MOTOMAN-GP8」(中央)「Y‘s-Eye」(右)

多用途適用型ロボット「MOTOMAN-GP8」(食品仕様開発中)は、6軸垂直多関節ロボットで可搬質量を従来の5 kgから8 kgにアップし、適応範囲を拡大クラス最高レベルの動作速度を実現し、生産性向上に貢献全軸IP67を標準とし、耐環境性を向上
手首部の干渉半径やS軸(1軸目)旋回時の干渉半径を最小化し、設備のコンパクト化に貢献できるように現在食品仕様を開発中となっていた。
「Y’s-Eye」は、AI技術(ディープラーニング)を活用した画像判定サービスを採用することで、複雑なNGパターンも人並みに精度よく自動判定できる。AIや画像処理の専門知識が要らないインターフェースなため導入の敷居が低くなり、追加学習を繰り返すと検知精度を更に向上させ、検査の効率化・品質の安定化を確保することができることが特長である。不良品と判定された製品をロボット等が排除するようなオプションもあり、産業用ロボットのメーカーとしてトータルソリューション提案を行っている。食品業界の更なる需要として、異物混入検査、トッピング(盛り付け)漏れ検査、包装・外観検査など様々な検査工程があり、この技術の応用を通じ、食の安全に貢献できると強調していた。

□「衛生対策・管理」注目した主なメーカー □

1. アイカ工業株式会社

主な展示製品:
・「硬質ウレタン樹脂系塗り床材ファブリカ抗菌」
・「ウレア樹脂系床材抗ウイルスクリアトップコート」

「硬質ウレタン樹脂系塗り床材ファブリカ抗菌」は、クラック追従性や抗菌性能を有し、耐熱水性を要求されない箇所に最適な塗り床材である。このファブリカ抗菌は硬質ウレタン樹脂系材と同等の機械物性を有し、抗菌性能が付与されており、SIAA(抗菌製品技術協議会)認証を取得している。同認証は耐水、耐候性など使用用途に応じた抗菌の評価だけでなく、食品工場床材で極めて重要な安全性評価も認証対象となっている。SIAAの国内認証は業界初と強調していた。
「ウレア樹脂系床材抗ウイルスクリアトップコート」は、食品工場でも特に衛生面で抗ウイルス性能を要求される箇所に最適な塗り床材である。この抗ウイルス性能のあるクリアトップコートもSIAA認証の取得に向けて準備を進めていると説明を受けた。クリアコートなので既存下地を残したまま簡易的に塗り替えができるとアピールしていた。

2. 赤門ウイレックス株式会社 https://a-willex.com

主な展示製品:
・「空調ダクトクリーニング(IAQ工法)」

「空調ダクトクリーニング(IAQ工法)」は、工場のIAQ(室内空気質)を改善する独自の工法でダクト内での虫やカビの発生源対策,清浄度や空気質の維持管理として独自の清掃技術であるIAQ工法を用いたダクト清掃を提案していた。各種フィルター交換、空調機洗浄、空調機メンテナンスも幅広く対応。展示会ブースでは実際の食品工場に見立てた、空調ダクトや配管など天井裏の構造も再現して、環境改善技術の実演デモを行っていた。ダクトクリーニング(IAQ工法)だけでなく、空調・排気・給排水設備メンテナンス、アスベスト対策、IPM、食品・環境微生物検査、クリーンエリア清浄度維持管理、高所清掃・生産設備清掃、施設・設備改修工事(リニューアル工事)など強みを持っている。

3. 株式会社エクシール http://www.exseal.co.jp/

主な展示製品:
・靴底の汚れを取り除く粘着マット「ステップマット」
・フォークリフトの車輪の汚れを取り除く粘着マット「リフトマット」
・指先用粘着ゲル「ティップリムーバー」

「ステップマット」は、水やクリーナーでごみやほこりを拭取ることができ、何度も繰り返し使用ができる。モップと水さえあれば、ごみを出さず、2~3年程度使用可能で、ランニングコストを抑えられる。靴底汚染物質の除去試験では90%以上の高い除去率であると強調していた。
「リフトマット」は、高強度のウレタンゲルを使ったフォークリフト用粘着マットである。タイヤの汚れを90%以上除去する。総重量3~4トンまでのフォークリフトや無人搬送車(AGV)、ハンドリフトなどにも対応できるとしていた。
「ティップリムーバー」は、軟らかい粘着ゲルを握ることで汚れや埃を吸着させるニトリル系手袋向け専用ツールとなっていた。吸着した汚れを水または専用洗剤で洗うことで繰り返し使用が可能である。異物混入対策として有効であるとアピールしていた。

写真「ステップマット」(左)「リフトマット」(中央)「ティップリムーバー」(右)
写真「ステップマット」(左)「リフトマット」(中央)「ティップリムーバー」(右)

4. 株式会社クレオ http://www.a-creo.co.jp

主な展示製品:
・「コンテナ洗浄ラインと無人搬送車(AGV)を組み合わせた自動化ライン」

「コンテナ洗浄ラインと無人搬送車(AGV)を組み合わせた自動化ライン」は、配送から戻ってきたコンテナの投入から段ばらし、洗浄、脱水、段積み、AGV移載、低温仕分け室への搬送まで自動で行うライン。洗浄脱水後、コンテナ15段×3列をAGVで自動搬送する。AGVはコンベヤが搭載されているタイプで洗浄・脱水・段積み後と、低温仕分け室側にもコンベヤを設置することで、コンテナの自動移載を可能にしていた。さらに障害物を検知するセンサが温度差で結露しないように、内部に送風ファンを搭載している。これまでは、段積みしたコンテナを人手で搬送台車に載せて運搬する必要があったがAGVが担うことで、省人化・省力化と作業負担の軽減を図るものである。今後の展開として工場内で使用する内番重の洗浄に関連した省人化装置、洗浄機だけでなくAGVをはじめ洗浄機前後の自動化開発にも注力する考えを強調していた。

図:コンテナ洗浄脱水ラインとAGVを組合わせた自動化ライン。囲み内が移載コンベヤ
図:コンテナ洗浄脱水ラインとAGVを組合わせた自動化ライン。囲み内が移載コンベヤ

◇今後の展開
 食品製造業において「原材料の選別」、「食品製造・加工」、「充填・包装」は現在も人海戦術による人を中心とした工程である。その対応策の提案として人・専用機械をコンベヤや自動搬送車(AGVやAMR)などが工程をつなぎ、そのライン間や保管・倉庫内搬送・移動にロボットが導入されることで生産の連続化が自動化ライン構築技術の中心になりそうである。

◇所見
 全19分野すべてにおいて取り上げることができないが、今回の展示会においては「衛生対策・管理」と「エンジニアリング・ロボット・IoT」の両分野が注目されていた。
 「衛生対策・管理」分野では施設・機器などの洗浄装置や除菌装置、異物混入防止装置などが、改正食品衛生法により食品関連事業者に義務づけられた食品衛生管理基準「HACCP」に基づく衛生管理が、1年間の猶予期間を経てこの6月から本格施行となったが、新型コロナの流行により、中小規模の食品製造業者は昨年からはじまった準備も十分でないように感じる。そのため、食品産業の新たな動きを補完対応する新技術やサービスが多く見られた。
 「エンジニアリング・ロボット・IoT」分野では工場設計・設備エンジニアリング、協働ロボット、生産管理・支援ソフトなど出展されていた。
 外食産業では数年前から人手不足が深刻な問題となり、自動化・省人化が求められてきた。特に新型コロナが流行してからは非対面・非接触ニーズが高まり自動化・省人化に期待が寄せられていると感じる展示会であった。

以上

【図・写真出所】
「FOOMA JAPAN 2021(国際食品工業展)」H.P出展社情報および各社H.Pより引用転載
https://www.foomajapan.jp/exhibitor_info/index.php