技術用語解説64『生タイプ即席めん (Fresh Type Instant Noodle』

技術用語解説64『生タイプ即席めん (Fresh Type Instant Noodle』

1.生タイプ即席麺の定義

 生タイプ即席めんの定義については、平成9年3月に制定された日本農林規格の中で次のように定められている。(最終改正 平成20年8月29日農林水産省告示第1360号) 「小麦粉又はそば粉を主原料とし、これに水、食塩又はかんすいその他麺の弾力性、粘性等を高めるものを加えて練り合わせたものを製めんした後、蒸し又はゆで、有機酸溶液中で処理したものを、加熱殺菌したものの内、添付調味料を添付したものであって、簡便な調理操作により食用に供するものをいう」この規格が制定されるまでは、一般的にはLLめん (Long Life)、生タイプLL麺などと呼ばれていたが、今では生タイプ即席めんの呼称で統一されている。

2.生タイプ即席めんの特徴

 製めん工程自体は他のめん類と大きな違いは無いが、有機酸処理と加熱殺菌を併用することで、常温でも長期間保存できることが特徴である。

3.生タイプ即席めんの製造技術

 即席めん類は油揚げや熱風による乾燥によって保存性が付与されているのに対して、生タイプ即席めんは湿潤状態で保存性を高めなければならないから、相応の微生物制御が必要となる。そのための基本的条件は以下の3つになる。

(1) pHの制御
 製品pHを4.5以下にすることによって、有胞子耐熱性細菌の増殖を抑える。具体的には生めんをゆで又は蒸し後、有機酸に浸漬する。一般的には味・臭いや価格などを考慮し、乳酸、酢酸、リンゴ酸、クエン酸、アジピン酸等が用いられている。ただし、pHが4以下になると酸味を強く感じるようになるので、4.0 ~ 4.5が実用範囲である。
(2) 加熱殺菌
 非耐熱性細菌や真菌類は加熱によって殺菌する。加熱温度は麺の中心温度が90 ~ 93℃ 位で5分間以上が目安となる。コンベヤによる連続式殺菌の場合は比較的速く製品温度も上 昇するが、バッチ式の蒸熱殺菌庫の場合は庫内と製品の温度上昇にかなりの差があり、全 体として30 ~ 40分を必要とする。また、めんの配置場所によって温度ムラが生じないように注意する。
(3) 密封状態
 上述の(1)(2)の条件が十分であっても少しでも密封系が崩れれば、たちまち外から細菌が侵入し2次汚染の原因となる。シール部分への麺線や水などの付着が原因のシール不良、シール時に袋中の空気が過多だったために起こる加熱殺菌時のパンク、その他の外的な損傷など原因はいろいろ考えられ、十分な管理が必要である。
<これら3条件が十分にクリアされて初めて常温長期間の保存が可能となる。

4.生タイプ即席めんの製造工程とチェックポイント

表1.生タイプ即席めんの製造工程ごとのチェックポイントを示す。

表1.生タイプ即席めんの製造工程ごとのチェックポイント

以上

【参考文献・引用先】

  1. 「生タイプ即席めんの日本農林規格(JAS規格)」改正 平成20年8月29日農林水産省告示第1360号
  2. 「日本即席食品工業協会」http://www.instantramen.or.jp/