『食品機械・機器(検査・検品装置)の基礎知識』

『食品機械・機器(検査・検品装置)の基礎知識』
“Food Machinery and Equipment (Inspection and Quality Control Equipment) Basic Knowledge”

【Ⅰ】. はじめに

 食品製造工程別にラインを構成する「食品検査・検品」に関連する代表的な食品機械・機器(検査・検品装置)について製品別に解説する。

1. 金属検出装置

 金属検出器とは、製品(被検査物)に金属製の異物が混入していないかを検査する装置。食品製造工場で製品の品質、安全性を保つためには、異物が混入していないことを確認すること、万が一混入した場合はいち早く発見することが大切である。金属検出器は多くの食品製造現場で製品の品質保証装置として、異物混入製品の発見、流出防止を徹底するための施策の一つとなっている。万が一、品質異常品が市場へ流出していることが発覚した場合該当製品の範囲特定、製造ラインの総点検といった社内業務だけでなく、製品回収による莫大な費用損害、企業の信用失墜に繋がることになる。品質保証の観点からも金属検出器はHACCPの重要管理点(CCP:Critical Control Point)となっている。。

2. X線検査装置

 X線検査装置とは、製品に(被検査物)に硬質異物が混入していないかを検査する装置。硬質異物とは、プラスチック等樹脂片、ガラス、金属、石などを指す。食品製造工場では製品の品質、安全性を保つために異物が混入していないことを確認すること、万が一混入している場合はいち早く発見し発生源の追求や再発防止に繋げることが重要である。X線検査装置は多くの食品製造現場で製品の品質保証機器として、異物混入製品の発見、工場外への流出防止するための施策の一つとなっている。万が一、品質異常品が市場へ流出していることが発覚した場合、該当製品の範囲特定、製造ラインの総点検といった社内業務だけでなく、製品回収による莫大な費用損害、企業の信用失墜に繋がる。X線検査装置は、HACCPの重要管理点(CCP:Critical Control Point)となっている。

3. 重量検査装置

 重量検査装置は良品と不良品を分別する選別機と組み合わせて使用する場合が多く、ベルトコンベヤ上を搬送される被検査品(製品)を、搬送しながら計量し、予め設定した閾値(上限値と下限値の間の重量)であることを確かめる合否判定を行う検査機である。別名には、ウエイトチェッカ、オートチェッカ、重量検査機と呼ばれる。

4. 画像検査装置

 画像検査装置とは、食品工場内でも多くの検査工程や方法があるなかで製品の外観検査を行う手法の一つである。画像処理装置を用いて検品、検査を行っている工程も数多くあるが、食品製造工場で代表的な検査工程として賞味期限印字検査では広く採用されている。画像検査装置を採用する理由として、自社製品で外観キズや欠陥のある製品が流通してしまった場合、クレームの発生事故に繋がる可能性もあり、顧客からの信用も失ってしまうことに繋がりかねない。これまでは「製品に傷やへこみがないか、異常がないか」という検査は人の目視により行われていた。人の目による目視検査のメリットとして、様々な異常に対して適切に対応ができるという点で、装置で自動化してしまっては判定できない異常や良否判定が難しい製品も検査が可能である。しかし、一日に何千何万といった製品の検品を検査員だけの目視検品に頼っていては人手不足や人件費の高騰、人為的ミスの影響も受けてしまう可能性が高くなる。検査を自動化することで製品の品質面担保、検査効率アップ、省人化に繋げていくことができる。

5. AI画像検査装置

 AI画像検査装置とは、製品のキズ、へこみ、異物検査などの異常をAIで学習させて自動検知できるAIソフトウェアパッケージ。製造現場や倉庫などで行われている目視検査であるが、その検査基準、品質は様々で熟練の検査員が支えている製造現場も少なくない。そのような長年の経験と技術をAIに学習させて蓄積していくことで目視検査のレベルを継承していくことが可能になる。AI検査機は、疲労による検査精度の低下や判断ミスは起こらない。設定や学習した不良や欠陥製品はほぼ認識ができることから検査漏れやミスによる不良品の出荷リスクを軽減することができます。ただし、AIに不良画像を学習させる期間が必要であるため導入直後から完全な良否判断をできるということではないため、検査精度をモニタリングしながら導入を進めていく必要がある。

6. 噛込み検査装置

 噛込みとは、包装工程で製品のシール部分に内容物が挟まっている状態や、包装フィルムがシワになって2重になっている状態のことをいう。噛み込みが発生すると包装内の気密性、密封性が損なわれ内容物の劣化が早まるなど品質を保持できない場合がある。噛込み検査装置は充填包装後のシール部分に内容物が挟まっている状態を発見する装置である。食品工場で噛込み検査を人の目視検査で対応している工場も多いのが現状である。嚙込みの異常品が工場工程内で発見されず市場流出するとと、内容物によっては急速に劣化が早まり市場製品回収という可能性もある。嚙込み検査装置は、HACCPの重要管理点(CCP:Critical Control Point)となっている。

7. 異物選別装置

 金属検出器、X線検査装置、噛込み検査装置も異物選別機に含まれるが、それ以外にも様々な用途で異物を選別除去する選別機がある。色味の違いで異常品を排除する色彩選別機、製品の比重の違いで異常品を排除する風力選別機、磁気のある異物を付着して排除する磁力選別機なども異物選別機として導入されている。様々な異物混入リスクを想定しながら市場への流出を防止する策を講じていく必要がある。異物検査装置は、HACCPの重要管理点(CCP:Critical Control Point)となっている。

【Ⅱ】. 最後に

 次回は『食品機械・機器(ロボット・IoT・効率化システム)の基礎知識』として食品製造工程別にラインを構成する代表的な食品機械・機器(装置)について製品別に解説する。

以上

【参考文献・レポート】

1. 「食品設備・機器事典」編集:食品設備・機器事典編集委員会 発行:産業調査会
2.  技術レポート「食品機械・機器(加工・製造装置)の基礎知識」木本技術士事務所HP
  https://www.kimoto-proeng.com/report/4751
3.  技術レポート「食品機械・機器(充填・包装装置)の基礎知識」木本技術士事務所HP
  https://www.kimoto-proeng.com/report/4765