2025/11/08
◇「JAPAN PACK 2023(日本包装産業展)」視察_2023.10.07 / 09
会場: 東京ビッグサイト東展示棟4~8ホール
主催:一般社団法人日本包装機械工業会
開催テーマ:「BEYOND|包むで創る人と未来と」
開催規模: 559社・団体 合計2073小間(10月06日 プレス発表)
開催期間: 2025年10月07日(火)~10日(金) 4日間
来場者数: 4日間 合計 33,464名(10月10日 速報値)
東京ビッグサイト展示棟前
JAPAN PACK 2025は「包装×DX・GX」をテーマに、持続可能性と自動化の最前線を体感できる展示会であった。以下に視察レポートにしてまとめる。
1. 1. 視察のポイント
(1) DX・GXの最前線
• DX(デジタルトランスフォーメーション):AI搭載の検査機、IoT連携によるライン監視、トレーサビリティ強化などが注目
• GX(グリーントランスフォーメーション):バイオマス素材、再生可能資材、CO₂排出削減型包装機が多数展示
(2) 注目技術・製品
• ハイブリッド型シュリンク装置「SUPER TORNADO」:熱風+蒸気+乾燥の3ユニット構成で、仕上がり品質と生産性を両立
• 自動フィルム挿入装置「SPIRAL」:TORNADO®との連携でグローバルスタンダードなライン構築を提案
(3) 出展企業の傾向
• 食品・医薬・化粧品向け:小ロット対応の多品種包装機、衛生設計の検査機器が多数
• 印刷・資材関連:環境配慮型インク、軽量容器、リサイクル対応素材が目立つ
• 自動化・効率化:ロボット搬送、AI検査、スマートパレタイジングなどが主流
2. 展示会から得られた知見
表1.に展示会から得られた知見について一覧に示す。
| 視点 | 知見 |
|---|---|
| 技術革新 | 包装機械は単なる「包む」から「価値を創る」へ進化中 |
| サステナビリティ | GX対応は企業評価の重要指標に。資材選定が戦略課題化 |
| 教育・人材 | 操作性・教育性を重視したUI設計が増加。現場教育との連携が鍵 |
3. 注目された分野別の企業と機械
注目された分野別の企業と機械を以下に概要をまとめる。各カテゴリで革新性・実用性の高い技術が披露されていた。
(1)食品・医薬・化粧品向け:小ロット・衛生設計
【注目企業と機械】
• ゼネラルパッカー株式会社:https://www.general-packer.co.jp/
➀ 機種:Smart Set Packer
➁ 特徴:ロータリー式給袋充填機。袋供給〜シールまで11工程を自動化。包材構成に応じた「自動シール条件算出機能」でGX対応フィルムにも最適化。
• アンリツ株式会社:https://www.anritsu.com/ja-jp/product-inspection
➀ 機種:AI+X線検査機
➁ 特徴:学習型AIによる異物検査。属人性排除と品質保証を両立。
• デュプロ精工株式会社:https://www.duplo-seiko.co.jp/
➀ 機種:ラベル検査装置・作業ログカメラ
➁ 特徴:印字不良検出、作業記録の自動化でトレーサビリティ強化。
(2)印刷・資材関連:環境配慮型インク・容器
【注目企業と素材・機器】
• RISO(理想科学工業株式会社):https://www.riso.co.jp/
➀ 機種:Integlide インクジェットプリントエンジン
➁ 特徴:小ロット対応。セーラー万年筆・ホリゾン・山崎産業と連携しFA化を推進
• NISSHA株式会社:https://connect.nissha.com/ecosense/molding/
➀ 製品:ecosense molding(Pulp Series/Biocomposite Series)
➁ 特徴:脱プラ対応の成形品。紙風合いとプラスチック機能を両立。医薬・化粧品・精密機器向けに展開
• TOPPAN株式会社(凸版印刷):https://www.toppan.com/ja/about-us/overview.html
➀ 製品:GL BARRIER、メカニカルリサイクルPET
➁ 特徴:世界シェアNo.1の透明バリアフィルム。再生材・バイオマス素材の活用でGX対応
(3)自動化・効率化:AI検査・ロボット搬送
【注目企業と技術】
• 大森機械工業株式会社:https://www.omori.co.jp/
➀ 展示:エシカル包装ライン
➁ 特徴:協働ロボット+AMRによるフィルム供給の自動化。GX対応資材との連携
• キーエンス株式会社:https://www.keyence.co.jp/products/vision/
➀ 製品:画像処理センサー・AI判定ユニット
➁ 特徴:高速・高精度な外観検査。包装ラインの省人化に貢献
• SMC株式会社:https://www.smcworld.com
➀ 製品:空圧制御機器
➁ 特徴:搬送・パレタイジングの自動化に不可欠。省エネ設計でGXにも対応
4. DX・GX分野
DX・GX・IoT特設コーナー
DX・GX分野では、スマートファクトリー化と環境配慮設計の両立が大きなテーマとなっていた。以下に注目企業と機器を分野別に紹介する。
(1) DX(デジタルトランスフォーメーション)
【注目企業と技術】
• デュプロ精工株式会社:https://www.duplo-seiko.co.jp/
➀ 機器:ラベル検査装置・作業ログカメラ・ブランクス検査装置
➁ 特徴:
a)AI搭載で印字不良・バーコード・OCRを自動検出
b)作業ログカメラにより検品・梱包作業を自動記録しトレーサビリティ強化
c)吸着搬送式ブランクス検査で食品・医薬品パッケージに対応
• イーデーエム株式会社:https://www.edm-net.co.jp/
➀ 機器:製造状況可視化ソフト「MSV」、UVレーザーマーカー「VL1」
➁ 特徴:
a)ネットワーク接続でライン稼働状況・履歴・検査画像をリアルタイム表示
b)VL1は印字+検査を一括制御し、属人性排除と品質保証を両立
• IoT特別展示(JPack-Fmt標準)
➀ 内容:包装機メーカー間で機械データを統一フォーマット化
➁ 効果:工場全体の最適化とリモートメンテナンスの実現:
(2) GX(グリーントランスフォーメーション)
【注目企業と技術】
• トタニ技研工業株式会社:https://www.totani.co.jp/
➀ 機器:レーザー溶着ジッパーシール装置
➁ 特徴:再生可能資材対応。熱源不要でCO₂排出を抑制
• イーデーエム株式会社:https://www.edm-net.co.jp/
➀ 機器:環境配慮型ラベリングマシン
➁ 特徴:省資源設計。GX対応資材との組み合わせで食品ロス削減に貢献
• JAPAN PACK AWARDS 2025 ノミネート製品
➀ 評価軸:環境配慮設計、省エネ・省資源、安全性、新規性
➁ 展示:受賞製品は特設コーナーで紹介され、GXの実用化事例として注目
スマートファクトリー化に向けた将来構想の紹介パネル
DX特別展示コーナー: ISHIDA DX[株式会社イシダ]、リニア搬送システム[株式会社フジキカイ]、OMORIが描く未来動画[大森機械工業株式会社]
スマートファクトリー動画:https://www.japanpack.jp/project/special/dx/dx_video/
5. 総括と今後の展開
【総括】
(1) 「包む」から「価値を創る」へ
• 包装機械は単なる製品保護・輸送手段から、ブランディング・環境対応・情報伝達の手段へと進化。
• 包装=製品価値の一部と捉える企業が増加
(2)DXとGXの融合が加速
• AI・IoT・トレーサビリティといったDX技術が、GX(環境配慮)対応の実装基盤として機能
• 例:再生資材の使用履歴をAI検査+IoTで記録・可視化するラインが登場
(3)小ロット・多品種・省人化が標準要件に
• 食品・医薬・化粧品業界では、SKU増加・人手不足・衛生要求に対応する柔軟な包装機が主流
• ロボット搬送・AI検査・自動ラベリングが標準装備化
【今後の展開】
表2.に今後の展開予測と取組みについて示す。
| 項目 | 展開予測 | 取組み |
|---|---|---|
| GX対応資材 | バイオマス・リサイクル材の標準化 | 包材選定テンプレートの整備とLCA評価支援が重要 |
| スマートファクトリー | IoT+AIによるライン最適化が加速 | DX導入ステージ別の教育・評価指標の整備が有効 |
| 人材育成 | 操作性・教育性を重視した機器が増加 | 現場教育ツール(動画・チェックリスト)の整備が鍵 |
| 多品種対応 | モジュール式包装機・自動段取り替えが普及 | 工程設計・設備選定の支援に「柔軟性評価軸」が必要 |
以上
【参考引用先】
1. JAPAN PACK 2025公式Webサイト:https://www.japanpack.jp/
2. 10/06 No.3187「包装タイムス JAPAN PACK 2025特集」発行:日報ビジネス株式会社
3. 10/07特別版 会場配布「JAPAN PACK 2025」発行:日刊工業新聞社
4. 「注目企業・技術」各社HP (本レポート内URL先)製品紹介