『食品・飲料向け液体殺菌vsレトルト殺菌に用いる殺菌機の競合メーカー比較』

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『食品・飲料向け液体殺菌vsレトルト殺菌に用いる殺菌機の競合メーカー比較』
“A Comparison of Competing Manufacturers of Sterilization Machines Used for Liquid Sterilization vs. Retort Sterilization of Food and Beverages”

液体処理、レトルト処理などに用いる殺菌機について、国内外競合メーカー別に比較を行う。

1.液体殺菌

1-1.比較対象

対象は次の6社。

  • 国内:岩井機械工業、イズミフードマシナリ、日阪製作所
  • 国外:Tetra Pak、SPX(APV)、Krones

1-2.各社の基本的な立ち位置

【国内メーカー3社の位置づけ】

(1)岩井機械工業(IWAI)

  • 乳機器メーカー発祥で、「殺菌」「洗浄」「制御」を三本柱とする総合プラントエンジニアリング企業。牛乳分離機からスタートし、いまは食品・飲料・医薬向けのライン全体を提案する立場にある。
  • 殺菌機単体というより、調合タンク・プレート式熱交換器/各種熱交換器・UHT/HTST 殺菌装置・CIP・自動制御を組み合わせた「工場ライン一式」の設計・施工が主戦場。
  • とくに乳飲料・清涼飲料・調味液など「液体連続殺菌+CIP+自動運転」が必要なラインで、製品ごとの運用に合わせた設計に強みを持つメーカー。

「連続殺菌(HTST/UHT)」「チルド・常温LLC」の方でプレゼンスが高いポジション。

(2)イズミフードマシナリ

  • 食品プロセス機器の総合メーカーで、タンク、混合機、乳化・分散機、プレート/チューブ式熱交換器、殺菌機、アイスクリーム装置などをラインで提案するスタイル。
  • プレート式・チューブラー式熱交換器シリーズを持ち、それを核に「加熱・泠却・殺菌ユニット+タンク・マゼラー+CIP」という“モジュールを組み合わせる”構成が特長。
  • マヨ、ドレッシング、クリームスープなど高粘度品を含むラインの設計ノウハウが厚く、連続殺菌だけでなく、前後の調合・乳化・冷却工程まで含めてまとめるのが得意領域。

「プレート/チューブ式殺菌機+タンク」の連続プロセスで強みを発揮するタイプ。

(3)日阪製作所(食品機器/プロセスエンジニアリング)

  • プレート式熱交換器の老舗メーカーで、食品分野ではレトルト殺菌機+液体連続殺菌装置(UHT/HTST)+濃縮・冷却装置 を中核とする総合食品機器メーカー。
  • レトルト殺菌機(RCSなど)は「国内レトルトの定番」として有名で、同じ事業部でプレート式殺菌装置(お茶、ミネラルウォーター、めんつゆ、醤油、液卵など比較的低粘度品向け)、UHT 系の液体連続殺菌装置(LLC向けなど)も展開しており、「バッチレトルト+連続殺菌」を両輪で持つのが大きな特長。
  • 自社開発試験室で HTST・真空蒸気殺菌・レトルトGGG システムなどの条件検証ができるため、製品設計段階から殺菌方式を選びやすいポジション。

レトルト(バッチ)と連続殺菌(プレート/チューブ)を両方持ち、「どこまで連続で殺菌し、どこからレトルトにするか」を含めた全体設計を強みとするメーカー。

【国外メーカー3社の位置づけ】

(1)Tetra Pak(テトラパック)

  • パッケージメーカーとして有名ですが、実態は「プロセッシング+パッケージング」を一体供給する巨大システムインテグレータである。アルファ・ラバルの液体プロセス部門を取り込んで、熱交換・UHT 技術も自社に抱えている。
  • 殺菌機としては、Tetra Pak Indirect UHT unit(プレート/チューブラー間接式)、Tetra Pak Direct UHT unit(スチーム直接噴射・インフュージョン式)などが主力ラインナップ。
  • 乳製品・飲料向けUHT/HTST ユニットを標準化し、プレート式/チューブラー式熱交換器を組み合わせたラインを展開している。「UHT 殺菌+無菌充填+紙容器包装」の一気通貫が最大の強みで、殺菌機単体というより、UHTライン全体の“標準設計”を売るメーカーという立ち位置。

「連続UHT+アセプティック充填」が主戦場。紙容器ロングライフ飲料では“ほぼデファクト”の位置づけ。

(2)SPX FLOW(APVブランド)

  • SPX FLOW はプロセス機器のグローバルメーカーで、その中核ブランドが APV。APV は1923年にプレート式熱交換器を発明した会社の流れをくむ老舗。
  • 殺菌機分野では、「APV UHT システム」を看板に、Infusion UHT(直接噴流式)、Injection UHT(直接噴射式)、Tubular UHT(多管式)、PHE UHT(プレート式)、SSHE UHT(スクレーパ式、高粘度対応)といった多様な方式を、乳製品・飲料・食品向けにラインアップ。
  • 熱交換器単体(ParaFlow プレート、ParaTube チューブラー等)から、パスチャライザ/UHTラインまで、構成要素を細かく選べるのが特長で、「プレートかチューブか、SSHEか」を製品特性に合わせて最適化しやすいポジション。

「間接UHT/HTST+高粘度対応」など連続殺菌システムの選択肢がとても豊富なメーカー。

(3)Krones(クローネス)

  • ドイツの大手飲料機械メーカーで、本来的な主力は「吹瓶機・充填機・ラベラー」を含むボトリングライン全体。
  • 殺菌機としては、アセプティック充填用の UHT システム「VarioAsept シリーズ(J/M など)」を展開し、飲料・乳製品向けの製品UHTラインを供給している。VarioAsept J:ジュースや清涼飲料向け、VarioAsept M:乳製品向け、チューブラー/プレート式熱交換器+ホールディング+脱気・ホモ・CIP をモジュール化。
  • ポジションとしては「UHT 殺菌機+アセプティック充填機+ブローモルド」を一体で納める飲料ラインメーカーであり、殺菌機単体より“ラインとしての整合性(圧力・温度プロファイル・CIP/SIPシーケンス)”を強みとしている。

「PET/紙容器アセプティック飲料ラインの前段殺菌」としての UHT 装置が主戦場。

1-3.競合メーカー比較(プレート式殺菌機およびチューブラー式殺菌機)

表1.にプレート式 / チューブラー式殺菌機の競合メーカー比較比較表を示す。

表1.プレート式 / チューブラー式殺菌機の競合メーカー比較比較表

観点 岩井機械工業 イズミフードマシナリ 日阪製作所 Tetra Pak SPX
(APV)
Krones
立ち位置 乳機器のプラントメーカー 食品プロセス機器メーカー プレートHE老舗+食品機器 プロセス+包装トータル プロセス機器総合(APV) 飲料ライン総合(充填中心)
主力分野 乳飲料・飲料全般 乳製品・飲料・調味料 飲料・乳製品・ビール等 乳業・飲料・食品全般 乳業・飲料・食品全般 清涼飲料・乳飲料等
プレート式HE 自社採用、ライン内要素 自社プレート式シリーズ 自社FXシリーズ中核 自社PHE(Plex C等) APV
ParaFlow等多様
UHT内のPHE/チューブ選択肢
プレート式殺菌装置 HTST・UHT含む殺菌ユニット 殺菌機+タンク等と一体提案 連続殺菌装置を標準展開 UHT/HTSTユニット標準 UHT/HTSTシステム多数 VarioAseptシステム
チューブラー等との組合せ 粘度に応じて選定 プレート・チューブ両方保有 プレート・チューブ・レトルト プレート・チューブ・直接加熱 プレート・チューブ・SSHE チューブラー+直接加熱併用
得意なシステム構成 受入〜調合〜殺菌〜CIP一括 タンク・乳化・殺菌の一体構成 殺菌+レトルト+周辺含め提案 受入〜プロセス〜充填まで一体 プロセス機器を組み合わせ設計 UHT〜アセプティック充填一体
国内サポート 国内本社・エンジ会社 国内本社・食品特化 国内本社・全国サポート 日本法人・代理店経由 日本法人・代理店経由 日本法人・代理店経由
案件の典型像 国内乳業・飲料既設更新 調味料・飲料を含む多品種ライン 飲料・レトルト含む多用途工場 UHT+紙パック一貫案件 熱交換最適化寄りの案件 飲料アセプティック新設案件
強みのイメージ 乳系プラントの総合力 高粘度含む食品プロセス対応 殺菌方式全体の選択肢の広さ 教科書的なUHT設計と一体供給 熱交換構成の自由度 充填設備との親和

1-4.メーカー選定の視点
 たとえば、同じプレート式殺菌機でも、どこを重視するかで候補の「軸」が変わる。

  • 「乳業・飲料を既に確立されたやり方でまとめたい」→ 岩井機械工業、日阪製作所
  • 「調味料や飲料ラインで、タンクや乳化機も含めて構築したい」→ イズミフードマシナリ
  • 「UHT+紙パックの王道構成で、海外標準も踏まえたい」→ Tetra Pak
  • 「熱交換の組み合わせを細かくチューニングしたい」→ SPX(APV)

 など考え方は、いくつかある。

2.連続殺菌方式の整理(乳飲料・清涼飲料)

2-1.プレート式(間接加熱・HTST/UHT)

  • 薄いプレートを多数重ねる構造で、伝熱効率が高く、熱回収率を取りやすい
  • 牛乳・乳飲料・ジュースなどの連続 HTST/UHT 殺菌に標準的に用いられる方式
  • 乳飲料 HACCP 手引書でも、HTST・UHT の代表例としてプレート式熱交換器が挙げられている

2-2.チューブラー(シェル&チューブ、多管式などの間接加熱)

  • チューブの中に製品、外側に温水・蒸気を通す方式
  • 粒入り・高粘度・スケールしやすい製品向き
  • 熱効率はプレートよりやや劣るが、目詰まりや焼付きに強い

2-3.直接加熱(インジェクション/インフュージョン)

  • 高温蒸気を直接製品に噴射(インジェクション)
  • 蒸気雰囲気中に製品を液膜として流下(インフュージョン)
  • 非常に短時間で高温にできるため、風味保持に有利
  • 国内では日阪の試験機などでインジェクション/インフュージョンが紹介されている

2-4.国内3社の方式別の「得意ゾーン」

(1)岩井機械工業

  • プレート式・チューブラー式の熱交換器を組み込んだ HTST/UHT 殺菌ユニットを、乳・飲料プラントの一部として設計する立場
  • 牛乳・乳飲料・ジュースなど、比較的低粘度の液体連続殺菌にプレート式 HTST を中核として使うのが基本
  • 粘度や固形分が増える場合は、チューブラーを組み合わせて対応する「プレート+チューブ ハイブリッド」を取りやすい

位置づけ
日本の乳・飲料メーカーと感覚の近い、プレート式HTST/UHT 中心のプラントインテグレータ。

(3)日阪製作所

  • プレート式熱交換器 FX シリーズをベースにした液体連続殺菌装置(UHT)を食品分野で展開
  • 食品用プレート式熱交換器 FX と、UHT 殺菌装置を組み合わせた HTST/UHT ラインを標準ラインナップ
  • さらに、液体連続殺菌試験機 RMS などで、プレート式 HTST/簡易UHT・直蒸気インジェクションなどの条件検証ができる

方式別の得意ゾーン

  • プレート式間接 HTST/UHT:
    牛乳、乳飲料、お茶飲料、めんつゆ、しょうゆ、液卵など比較的低粘度の連続殺菌に適す
  • チューブラー/SSHE など(グループ含む):
    粘度や固形分が高い製品にはチューブラーなどを選択
  • 直接加熱(インジェクション/インフュージョン):
    風味保持が重要な高付加価値品向けの高温短時間殺菌用途で試験・適用

位置づけ
プレート式を軸に、チューブラー・直接加熱まで揃った「方式フルラインナップ型」の国内メーカー。

2-5.国外3社の方式別の「得意ゾーン」

(1)Tetra Pak

  • Tetra Pak Indirect UHT unit(間接式):
    プレート式/チューブラー式熱交換器を組み合わせた間接加熱 UHT ユニット
    牛乳、フレーバーミルク、クリーム、飲むヨーグルトなど乳・飲料全般に適用
  • Tetra Pak Direct UHT unit(直接式):
    スチームインジェクション/インフュージョンで超高温短時間殺菌を行うユニット 風味保持が重要な乳製品・飲料向けに展開
  • Dairy Processing Handbook で「プレート/チューブ/スクレーパ/直接加熱」の選択指針を包括的に提示し、自社UHTに落とし込んでいる立場

位置づけ
乳・飲料向け連続殺菌では、プレート式間接 UHT と直接 UHT の両方を標準メニューとして持つ“教科書的グローバル標準”。

(2)SPX FLOW(APV)

  • APV UHT systems として、Plate UHT(プレート式間接)、Tubular UHT(チューブラー間接)、SSHE UHT(スクレーパ式、高粘度)、Infusion/Injection UHT(直接加熱)を揃え、乳・飲料・食品向けに提供
  • それぞれの方式を単品ではなく「APV ParaFlow(プレート)、ParaTube(チューブ)、SSHE」などの熱交換器シリーズとして持ち、製品特性に合わせて最適構成を組むスタイル

位置づけ
方式間の“スイッチング自由度”が最も高いタイプ。乳・飲料でも、低粘度・高熱回収重視:プレート UHT、粒入り・高粘度:チューブラー/SSHE UHT高品質志向:Infusion/Injection UHTと設計ベースから比較しやすいメーカー。

(3)Krones

  • VarioAsept シリーズで、飲料/乳製品向けの UHT 殺菌装置を展開:
    プレート式/チューブラー式熱交換器から選択し、ホールディングチューブ、脱気、ホモ、バッファタンクまでモジュール化
  • 直接加熱モジュール VarioAsept D もラインナップし、インフュージョン型の超高温短時間殺菌に対応する構成を追加

位置づけ
「充填機と一体化した UHT」として、プレート式/チューブラー間接 UHT、直接加熱 UHT(VarioAsept D)を飲料ラインの一部として最適化するタイプ。

2-6.方式 × メーカー比較表

表2.に方式 × メーカー比較表を整理して示す。

表2.方式 × メーカー比較表

方式 岩井機械工業 イズミ 日阪製作所 Tetra Pak SPX
(APV)
Krones
プレート式 HTST/UHT ◎ 乳・飲料の基本 ◎ 食品全般 ◎ FXシリーズ+UHT ◎ 間接UHTの柱 ◎ Plate UHT 〇 VarioAsept構成要素
チューブラー式 〇 高粘度・粒入りで併用 〇 高粘度系で活用 〇 高粘度・粒入り向け ◎ 間接UHTのもう一つの柱 ◎ Tubular UHT ◎ 飲料UHTで頻用
直接加熱(インジェクション/インフュージョン) △ 要案件対応 △ 要案件対応 〇 試験機・一部案件で適用 ◎ Direct UHTの主力 ◎ Infusion/Injection UHT 〇 VarioAsept Dモジュール

評価基準:◎=標準ラインナップかつ得意、○=対応あり/案件次第、△=メーカー側と要相談レベル

2-7.実務での選定観点(乳飲料・清涼飲料)

 方式とメーカーを選ぶ際、次の3点を決めておくと絞り込みやすくなる。

  • 粘度と粒の有無
    粒なし・低粘度ならプレート中心、粒入り・高粘度ならチューブラーやSSHE中心。
  • 熱履歴と風味保持の重要
    高品質志向なら直接加熱(Tetra Pak / APV / Krones の Direct/Infusion 系)も比較検討。
  • ライン全体か殺菌機単体か
    プラント一式なら岩井・日阪(国内)や Tetra Pak/Krones、熱交換方式を細かく比較したいなら SPX(APV)や日阪が候補になる。

3.レトルト殺菌機

3-1.対象は次の4社。

  • 国内:日阪製作所、TOSEI、三浦工業、サムソン

3-2.各社の基本的な立ち位置

(1)日阪製作所

  • 1975年にレトルト殺菌装置の製造を開始し、食品機器部門の中核製品として位置づけ。説明資料では「店頭のレトルト食品の約7割で日阪のレトルト殺菌装置が使われている」と紹介されるなど、大規模レトルト工場でのシェアが高いメーカー。
  • RCS 型レトルト調理殺菌機など、ホットウォータースプレー方式を中心に多様なレトルト方式を展開。惣菜や乾燥品向けの短時間調理殺菌装置など、周辺の殺菌・調理機も保有。

(2)TOSEI

  • 真空包装機と小〜中量向けレトルト殺菌器を中心に、セントラルキッチンや外食産業向けの高温高圧調理・殺菌機を展開するメーカー。
  • 小〜中量生産用レトルト殺菌器 RKZ シリーズや、小型高温高圧調理機「達人釜」など、試作・小ロット・多品種向けのレトルト・真空調理ソリューションに強みがある。

(3)三浦工業

  • ボイラで有名な三浦工業は、食品機器分野で「レトルト殺菌機 JQ シリーズ」を展開し、ボイラ・水処理と組み合わせた加熱・殺菌ソリューションを提供している。
  • レトルト殺菌機 JQ は、熱水スプレー方式による容器入り食品(レトルトパウチ、缶詰、瓶詰など)の殺菌装置として、導入事例も多数紹介されている。

(4)サムソン

  • 食品機器分野で「調理殺菌装置(レトルト機)SGC 型」などを展開する国内メーカーで、缶詰やレトルト食品など容器入り食品の調理と殺菌を同時に行える装置を提供している。
  • 調理機(釜)・ボイル槽など、前後工程機器も扱っており、中小規模のレトルト・惣菜工場での実績が多いポジションにある。

3-3.レトルト殺菌機の競合メーカー比較

表3.にレトルト殺菌機の競合メーカーごとの比較を整理して示す。

表3.レトルト殺菌機の競合メーカー比較表

観点 日阪製作所/strong> TOSEI 三浦工業 サムソン
位置づけ 大手〜中堅向けレトルト調理殺菌装置の代表格 小〜中量向けレトルト・高温高圧調理機 ボイラ+レトルト殺菌機のトータル供給 調理殺菌装置(レトルト機)メーカー
主な装置例 RCS 型レトルト調理殺菌機など レトルト殺菌器 RKZ、達人釜 FCS-KM77 等 レトルト殺菌機 JQ シリーズ 調理殺菌装置 SGC 型 等
対象製品 レトルトパウチ、缶、トレイ、含気容器など幅広い市販レトルト食品 パウチ食品、レトルト調理品、小ロット商品 パウチ、缶、瓶詰など容器入り食品 レトルト食品、缶詰、瓶詰、惣菜類
方式の特徴 熱水スプレー方式中心、含気容器向け圧力制御システム(GGG 等)も保有 バッチ式高温高圧、調理を兼ねた殺菌に強み 熱水スプレー方式レトルト殺菌機、ボイラ技術との相性良 調理と殺菌を同時に段階的に昇温、食品にやさしい加熱
想定規模 大〜中規模のレトルト食品工場、PB・OEM 含む本格量産 セントラルキッチン、外食チェーン、小ロット工場、試作ライン 中〜大規模工場(自家ボイラとの連携前提が多い) 中小規模の缶詰・惣菜工場、地域加工場
エネルギー面 近年、省エネ型加熱殺菌・滅菌装置を開発し蒸気使用量最大50%削減を訴求 小型・高効率な高温高圧調理で省人・省スペース寄り 自社ボイラ・水処理との組合せで蒸気利用最適化 節水型仕様や熱水再利用型などの仕様も選択可能
開発・試験支援 自社の開発試験室でレトルト条件の最適化試験を実施可能 小ロット機を用いた自社・ユーザー側の試作がしやすい 導入事例や試験機を自治体・研究機関経由で利用する例あり 自治体の加工センター等への納入実績多数

3-4.メーカー選定の指針

  • 「本格的なレトルト食品事業の中枢設備」
    → 日阪製作所(RCS 系、含気容器、ライン全体の設計含めて比較軸に)
  • 「セントラルキッチンや外食で、調理兼レトルトで小〜中ロット」
    TOSEI(真空包装機との組合せ、達人釜などを含めた運用で検討)
  • 「ボイラも含め工場ユーティリティまでまとめて見たい」
    三浦工業(既設ボイラ・水処理との整合を取る観点で評価)
  • 「中小規模工場で、調理とレトルト殺菌を一体で考えたい」
    サムソン(調理殺菌装置 SGC で多品種惣菜を見据えた検討)

4.各社レトルトの基本イメージ

 たとえば、パウチ主体のカレー・スープ工場でイメージを考える、各社のレトルトの「得意なレンジ」がかなりはっきり分かれる。
 日阪・TOSEI・三浦・サムソンを、その前提で整理すると以下のようになる。

4-1.各社レトルトの基本イメージ

表4.に各社レトルトの基本イメージ比較を整理して示す。

表4.各社レトルトの基本イメージ比較

観点 日阪製作所 TOSEI 三浦工業 サムソン
想定規模 中〜大規模量産 小〜中量・多品種 中規模〜(ボイラ前提) 小〜中規模・多品種
主力方式 熱水スプレー式 RCS バッチ式(蒸気+加圧冷却) 熱水スプレー式 JQ 熱水噴流式 SGC
対象 業務用・市販レトルト全般 惣菜・カレー・スープ少量生産 レトルト食品全般 カレー・スープなど調理兼殺菌

(1)日阪製作所(RCS:パウチ大量処理向き)

  • 熱水スプレー式レトルト殺菌装置 RCS シリーズで、パウチ、缶、トレイなど幅広い容器に対応。
    トレイ中心部まで水流を分散させてムラの少ない殺菌が可能と紹介されている。
  • カタログでは、パウチ専用ラックの収容個数が詳細に示されており、RCS-120 型で1車あたり 700〜900 袋レベルなど、大量処理に適した構造。
  • 熱水貯湯式と比べ保有水量が少なく、プレート式熱交換器標準装備によりランニングコスト低減をうたっており、エネルギー面も量産工場向き。

パウチ惣菜工場での位置づけ
ライン中枢の主レトルトとして「カレー・スープなどの主力品を1バッチ数千パウチ規模で回す」用途に最適。大手・大規模OEMを想定した設備。

(2) TOSEI(RKZ:小〜中量・多品種向き)

  • 小〜中量生産用レトルト殺菌器 RKZ シリーズを展開し、RKZ-40II は「レトルトパウチや缶・瓶詰などの生産に最適」と紹介されている。
  • RKZ-40II の事例では、110℃・54分でレトルトパウチ60袋を殺菌する例が紹介されており、多種少量生産に向くと明示されている。
  • メーカーサイトでは、セントラルキッチンでのスープや温かい料理のレトルト化を想定した提案がされており、真空包装機との組み合わせで小ロット多品種を回す運用に強みがある。

パウチ惣菜工場での位置づけ
新商品立ち上げや少量多品種ライン、サテライト工場・セントラルキッチンでのカレー・スープ製造に適合。将来日阪や三浦の大型機にスケールアップする前段階としても使いやすいクラス。

(3)三浦工業(JQ:ボイラと一体の中〜大規模志向)

  • レトルト殺菌機 JQ シリーズは、パウチ・缶・瓶詰など容器入り食品を「熱水スプレー」により高効率に殺菌する装置と説明され、パウチサイズ 130×170×20mm で 130〜2900 個/バッチのラインナップが示されている。
  • 三浦はボイラメーカーであり、JQ と自社ボイラ、水処理装置を組み合わせた省エネ・省スペースのトータル提案を特徴としている。
  • 納入事例では、中華ソースやラーメンスープなど粘度のある液体のレトルト殺菌への適用が紹介されており、カレーやスープにも近い用途。

パウチ惣菜工場での位置づけ
すでに三浦ボイラを使用している、あるいは新設でボイラからまとめたい中規模工場向け。
処理規模は日阪RCSとやや重なりつつも、ユーティリティ面での一体最適が売り。

(4)サムソン(SGC:調理+殺菌を重視)

  • 調理殺菌装置 SGC は「パウチ、缶詰、瓶詰等の容器入り食品を高温・高圧で殺菌する熱水噴流式調理殺菌装置」とされ、カレー、シチュー、デミグラスソース、パスタソース、スープなど多種の調理殺菌用途が明記されている。
  • 60〜130℃まで制御できるため、チルドレトルト食品にも対応できるとされ、幅広い温度レンジでの調理・殺菌が可能。
  • 生産計画に応じた設備設計・機器選定から工事・メンテナンスまで一貫対応を掲げており、地域の加工場や中小規模工場のメインレトルトとして導入されるケースが多い。
  • 2024年に SGC と Web 通信サービス「さはれこ」をリニューアルし、視認性・操作性を高めたとされている。

パウチ惣菜工場での位置づけ
「煮込み〜レトルト」まで一貫して品質を作り込みたい中小規模のカレー・シチュー・スープ工場向き。
レトルト殺菌だけでなく“調理プロファイル”をコントロールしたいときに有利。

4-2.パウチ惣菜工場向け比較

表5.にパウチ惣菜工場向けメーカー別の比較を整理して示す。

表5.パウチ惣菜工場向けメーカー別の比較

観点 日阪 RCS TOSEI RKZ 三浦 JQ サムソン SGC
典型規模 数千〜万パウチ/日 数十〜数百パウチ/バッチ 数百〜数千パウチ/バッチ 数百パウチ/バッチ中心
温度レンジ 常温〜130℃クラス 60〜121℃ 〜130℃クラス 60〜130℃チルドも含む
主な媒体 熱水スプレー 蒸気+加圧冷却 熱水スプレー 熱水噴流
強み 大量処理と省エネ、含気容器対応も可 多品種・小ロット、セントラルK向き ボイラ含めた省エネ設計 調理+殺菌の一体制御
向く工場像 大手・大規模レトルト惣菜工場 小〜中規模セントラルK・新規事業 既存三浦ボイラベースの惣菜工場 地域惣菜工場・6次化施設など

4-3.選定時に考慮すべき技術ポイント

 設定として取り上げた、パウチ主体のカレー・スープ工場だと、次のような観点が重要になる。

  • パウチ枚数とロット構成
    1SKU 当たりのロットサイズ、日産数量、SKU数からバッチ容量を逆算して「RCS級か、JQ級か、RKZ/SGC級か」がほぼ決まる。
  • 目標品質と加熱プロファイル
    具入りカレーやシチューか、ポタージュ系スープかで昇温プロファイル・F値設計が変わるため、調理機との組み合わせも含めて検討が必要になる。
  • 将来のスケールアップ
    まずはTOSEIやサムソン級で立ち上げ、将来 RCS や JQ クラスの大容量機に展開するシナリオも現実的である。

以上

【参考引用先】
1.岩井機械工業:HP
https://www.iwai.co.jp/?utm_source=openai
2.イズミフードマシナリ:HP
https://www.izumifood.shi.co.jp/product/equipment/#type01
3.日阪プロダクツ:HP
https://www.hisaka-products.co.jp/product/sterilization-system/?utm_source=openai
4.テトラパック:HP
https://www.tetrapak.com/content/dam/tetrapak/media-box/global/en/processing/technology-area-general/heat-treatment/documents/heat-exchangers-tetra-pak-portfolio-c.pdf?utm_source=openai
5.spxflow:HP
https://www.spxflow.com/searchresult/?query=UHT&utm_source=openai
6.krones:HP
https://www.krones.com/en/products/machines/thermal-product-treatment-for-aseptic-filling-processes.php?utm_source=openai
7.TOSEI:HP
https://tosei-corporation.jp/retort-pot/?utm_source=openai
8.三浦工業:HP
https://www.miuraz.co.jp/product/food/case/01/pickup/01.html?utm_source=openai
9.サムソン:HP
https://www.samson.co.jp/product/food/sgc.html?utm_source=openai