2025/10/06
自然な文章やイラストを出力する人工知能「生成AI」が利用できるようになり、AIを用いた様々なサービスが提供されている。その一方、生成AIの導入が企業内で進めば、経営者は従業員の削減も進めるのではないかという懸念もある。生成AIの活用が進む現状とともに、AI時代でも欠かすことのできないものは何なのかについて考えてみよう。
生成AIが一般に公開されてから3年程度が経つ。この間、AIサービスを提供しているIT企業などは、業務で活用している企業の事例を紹介しながら、自社のAIサービスを利用しようと宣伝している。導入事例を見ると、会議などで使う資料をAIに要約させたり、英文の翻訳を指示したり、仕事のアイデア出しやプログラミングなどをAIに任せたりしている企業が多い。
生成AIが出てきたころは、回答の内容や使い方に様々な課題があったたが、徐々に改善されてきている。生成AIは当初、データとして取り込んだ数年前の古い情報までしか出てこないという問題があった。これを改善しようと、最近は、「検索連動型」というAIが出てきた。これは、AIが質問の意図を分析してネット検索を自動で行い、その結果を根拠として回答を作り上げるというもの。現在公開されているネット情報を利用するため、新しい情報も答えることができるようになった。
生成AIは、大企業だけでなく、人材不足に悩む中小企業の業務改善にも役立てることができる。現場の課題を細かく洗い出すとともに、AIでどう解決できるか具体的に検討することが重要だ。その一方で、日本企業は生成AIの利用が遅れているという調査も出ている。今年の7月に公表された国の情報通信白書によると、利用経験のある人の項目を見ると中国は81.2%、アメリカは68.8%なのに対して、日本は26.7%にとどまっている。
利用しない理由は、自分の生活や業務に必要ない、使い方がわからないという答えが多くなっている。こうした結果から、日本企業は生成AIの利用率を高めるべきだという意見がある。AIの活用が広がれば、人の仕事がなくなると懸念する人は少ない。しかしながら生成AIには限界があり、人間の代わりとして位置づけることはできないという研究結果もある。画期的なイノベーシヨンを起こすには、人間が持っている感性が必要であり、感性は言葉では表現しきれないためにAIの学習データには存在せず、答えを出せないというものである。
生成AIは、完全に正しい答えを出すことは不可能である。このため、情報が正しいかどうか見極める読解力や一般常識が今まで以上に必要となるってくる。そうした力を伸ばすためには、いくら効率化の時代だからと言っても、アイデア出しを最初からAIに任せることは避け、まずは自分の頭で考えることを怠ってはいけない。
以上