技術用語解説82『純 水(pure water)』

技術用語解説82『純 水(pure water)』

1. はじめに

 三品産業(食品・医薬品・化粧品)における純水は「品質の安定」「安全性の確保」「設備保護」の三本柱で活用されいる基盤資源である。特に飲料や薬品の希釈水、化粧品の基材水、製造設備の洗浄水として不可欠である。
 食品では風味と衛生、医薬品では安全性と精度、化粧品では成分安定性を支える役割を果たしている。

2. 純水の基本的な性質

• 不純物が極めて少ない:
カルシウムやマグネシウムなどの硬度成分、塩類、有機物を除去。
• スケールが発生しない:
蒸発後も白い水垢が残らず、熱交換器や配管の効率低下を防止。
• 溶解力が高い:
微量の不純物を溶かし込み、製品や設備の洗浄に有効。

3. 食品産業での活用

• 飲料の割り水:
濃縮還元ジュースや乳飲料の希釈に使用。不純物が少ないため風味や品質が安定。
• 製造設備の洗浄水:
乾燥後に水垢が残らず、衛生的な環境を維持。
• ボイラー用水:
蒸気を利用する食品工場で腐食やスケールを防ぎ、安定稼働を支える。

4. 医薬品産業での活用

• 注射用水・製剤用水:
超純水レベルまで精製し、微細な不純物も排除。安全性と有効性を確保。
• 薬品の希釈水:
成分の安定性を維持し、変質や沈殿を防ぐ。
• 分析用ブランク水:
微量分析において正確な数値を得るため、純度の高い水が必須。

5. 化粧品産業での活用

• 基材水(主成分水):
化粧水や乳液のベースとして利用。不純物が少ないため成分の安定性が高い。
• 希釈水:
香料や有効成分を均一に分散させるために使用。
• 製造環境の洗浄水:
残留物やウォーターマークを防ぎ、製品の見た目や品質を守る。

6. 設備・環境面でのメリット

• 省エネ・コスト削減:
スケール防止により熱効率が向上し、エネルギー消費を抑制。
• 環境負荷低減:
薬品を使わない純水製造システムの導入でクリーンな作業環境を構築。
• 安定供給:
RO膜やイオン交換樹脂を組み合わせたシステムで、工場全体に安定的に供給可能。

7. 純水の管理基準の代表例

 純水の管理は「導電率」「比抵抗」「TOC(全有機炭素)」「微生物数」などで規定される。
表1. に純水の管理基準を整理して示す。

表1. 純水の管理基準

指標 一般純水基準 超純水基準 備考
導電率 1.0 μS/cm以下 0.055 μS/cm(25℃) 不純物イオン量の指標
比抵抗 0.1~1.5 MΩ·cm 18 MΩ·cm近く 高いほど純度が高い
TOC 0.5~1 mg/L以下 0.05 mg/L以下 有機物汚染の指標
微生物数 100 CFU/mL以下(食品) 10 CFU/100mL以下(医薬品) 製品用途により厳格化

注記:基準はJIS、ISO、ASTM、日本薬局方などで用途別に規定されている。

8. 管理の実務ポイント

• 連続モニタリング:
導電率・比抵抗をオンライン計測し、異常を即検知。
• 定期試験:
TOC・微生物検査を定期的に実施し、トレンド管理。
• 設備保守:
RO膜・イオン交換樹脂・EDI装置の交換周期を明確化。
• 分岐管理:
用途別に配管を分け、食品用・医薬品用で交差汚染を防止。
• 教育・チェックリスト:
工場チームに「純水の用途と基準」を明示し、日常点検を習慣化。

以上