2025/12/01
レアメタルを含む海底鉱物資源~「マンガンノジュール(マンガン団塊)」に関する調査が進められている。南鳥島周辺海域に眠っている海底鉱物資源でマンガンノジュール、またはマンガン団塊と言われている。深海の海底に存在する球状の凝結塊で、コアの周りに水酸化鉄と水酸化マンガンが層状に凝結したもの。コアは微化石や燐灰石などのリン酸塩鉱物に置換されたサメの歯、玄武岩のデブリ、または既に形成されていた別の団塊(ノジュール)の破片であることもある。
マンガンノジュールには様々な大きさがあり、小さいものは顕微鏡で観察するような微粒子、大きいものは20cm以上の大きさとなるが、直径5cm – 10cm程度の大きさのものが最も多い。マンガンノジュールの表面は通常平滑であり、底面側は海底の堆積物に埋まっているため、上部より粗面となる。
マンガンノジュールの成長は地質学的な現象の中でも遅いものの一つで、放射性同位体元素の分析によれば1cm成長するために数百万年単位の時間を要するとされている。凝結する金属の由来には様々なものが知られており、海水からの化学的沈殿、海水中のマンガンの垂直移動、火山活動に伴う温泉水から派生した金属、玄武岩デブリの分解、微生物の活動による沈殿などである。
マンガンノジュールは、マンガン(27% – 30%)、ニッケル(1.25 – 1.5%)、銅(1 – 1.4%)、コバルト(0.2 – 0.25%)を含む。これらの金属は、電子機器や電池などの製造に重要な役割を果たすものである。そのため、マンガンノジュールは経済的に価値があるとされている。
マンガンノジュールは、深海の底に広範囲に分布していて、特に、深度4,000 – 6,000mの深海平原に高密度に分布してい。。また、南鳥島周辺の排他的経済水域(EEZ)には、マンガンノジュールが密に分布していることが確認されている。しかし、深海での採掘は、数万kmにも渡って深海生態系に影響を及ぼす可能性も懸念されている。
そのため、マンガンノジュールの採掘と利用には、環境への影響を最小限に抑えるための配慮が必要だ。また、海底資源の開発は人類の共有財産として扱われ、収益は開発国と残りの国際社会で配分されるべきだという主張もある。このため、マンガンノジュールの採掘と利用には、法的な規制も存在する。これらの規制と環境への配慮を考慮しながら、マンガンノジュールの持つ資源を効果的に利用する方法が求められることになる。
資源のほとんどを輸入に依存している日本は、「海底鉱物資源で資源大国になる⁉」かもしれない。レアアースの調達先として中国に依存している現状を考えると、レアアースの確保に向けた今後の動向に期待したいものである。
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