『Web3っていったい何のこと?』

『Web3っていったい何のこと?』

 インターネットの新しい使い方を提案する「Web3」というキーワードが注目を集めている。Web3は、次世代のインターネットを提唱する概念で、Web3.0とも呼ばれる。これまでのインターネットの問題点を解消できるのではないか、新しいビジネスにつながるかもしれないという期待が持たれている。

これまでのインターネットの流れでWeb1.0と呼ばれているものは、インターネットによる情報発信の始まりのことを指す。1995年頃のことである。最初は企業、研究者、行政などがホームページで情報発信されたのが始まり。それが先進的な取り組みといわれ、一般の人の発信はまだほとんどない状況だった。

次に出てきたWeb2.0は、SNSやブログなどを使って、多くの人が相互に情報を発信するようになったことを指す。2005年前後から始まったと言われている。何気ない会話をするだけでなく、インターネットを通じて政治や大企業などに対して意見を言いやすくなるなど、有権者や消費者のパワーが大きくなったという変化も出てきた頃である。スマートフォンを通じてインターネットを利用する人が爆発的に増えた時期にあたる。

日本国内で経済的な恩恵を受けた企業は少ない。恩恵の多くは、GAFAM と呼ばれる巨大IT企業、グーグル、アップル、今はメタという名前に変わったフェイスブック、アマゾン、マイクロソフトに集中した。グーグルは、ネット上で発信された数多くの文章や画像を収集して文章や画像を検索するサービスを展開し、多くの利用者を獲得している。また、フェイスブックやアマゾンは、利用者の閲覧履歴などをAI・人工知能で分析し、おすすめの商品や広告を表示して収益を上げている。しかしながら、GAFAMといった巨大IT企業にネットサービスが中央集権化されたことによる弊害も聴く。

それがWeb3という概念につながっている。ポイントは、集中ではなく分散だ。自分の発信した情報は自分で管理すること、そして、それによって生じる利益は自分のものにすべきだという考え方である。

活用されるとみられているのが、「ブロックチェーン」という技術だ。ビットコインなどの暗号資産の取引や、コンピュータ処理された絵画や音楽などのデジタルアートの取引管理をするNFTという仕組みに使われている。ブロックチェーンを使うと、管理会社を通さなくても利用者が相互に協力する形でサービスを利用できる。つまり、巨大IT企業の囲い込みの外で、自由に情報を発信したり、作品の配信が可能になるため、独占企業の思惑に左右されずに、個人間の取引も可能になる。

ただ、Web3 をとりまく現状についても、正しく知る必要がある。それは、定義がはっきりしていないこと、それにも関わらず、期待が先行し過ぎている点は注意しなければならない。Web3は目指すところは決まっているが、実用的なサービスのアイデアが出てくるのかどうか疑問もある。まだ漠然としている段階と言える。

Web3に関しては新しいネットビジネスへの広がりが期待できるが、Web3は構想の段階にまだある。今後の国内動向について期待はしつつも注視する必要がある。

以上