◇「第2回フーデテックジャパン東京」視察_2021.10.15

◇「第2回フーデテックジャパン東京」視察_2021.10.15

会場:千葉 幕張メッセ
主催:RX Japan(株) (旧社名:リードエグシビション ジャパン)
開催規模:フードテックジャパン 約150社出展 / ドリンクジャパン 約150社出展
同時開催:第6回ドリンクジャパン展
開催期間:2021年10月13日(水)~15日(金)

「第2回フーデテックジャパン東京」視察_2021.10.15
幕張メッセ展示場「フードテックジャパン」と同時開催「ドリンクジャパン」の入場受付

◇視察目的:
 フードテックジャパンおよびドリンクジャパンの両展示会それぞれのキーテーマに関連した新技術・新製品情報を入手するために現地視察を行った。

◇全般的な展示内容:
フードテックの主なキーテーマ:
「ロボット/AGV」「IoT・AIソリューション」「製造装置」「検査・測定装置」「HACCP」
ドリンクジャパンの主なキーテーマ:
「製造・醸造」「クラフトビール製造」「充填・包装」「IoT・自動化」「食品分析・品質管理」などに関連した展示が主であった。

◇注目したメーカーの製品・システムについて紹介する。
 主にキーテーマである「自動化・省人化・DX」への展開に用いられる製品・システムを中心に視察したので紹介する。

【フードテックジャパン】

1. 株式会社中西製作所:https://www.nakanishi.co.jp/

・「マルチワーカー」ロボットシステム
 焼き物や揚げ物など、連続式焼物機で調理した食品のピッキング ・中心温度の計測・食数の管理と詰め込み作業を自動化するロボット。ロボット運用プラットフォームを提供する株式会社チトセロボティクスと共同プロジェクトとして開発を進めている、大量調理施設で省人化を阻んでいた課題である「ダブルチェック」の問題を解決する製品として展示デモを行っていた。展示デモは、焼き上がった給食パンを仕分けるシステム。
 「マルチワーカー」4つの特徴は、主に次の4つになる。
① 柔らかい食品も正確に掴み、配置する
② 食品の中心を見極め、正確に温度を測定
③ QRコードを読み取り必要数を計測
④ 簡単設置・多品目対応
 作業スピードを保ったまま、揚げ物など繊細な食品も傷つけず持ち上げて食缶の中に配置を行う。 食品によって最適な取り方を導き出し、滑らかな動きを実現し、また、食缶に記載された2次元コードを読み取り、ロボットが必要な食数を自動で判断する。クラスごとに異なる食数であっても正確な数を食缶に詰め込むシステムとなっていた。

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写真⒈「マルチワーカー」ロボットシステム

2. THK株式会社:https://www.thk.com/

・ならいハンドユニット(参考出品)
 “掴む“ならいグリップハンドと“吸う”ならい吸着ハンドの2種類のロボットエンドエフェクタを参考出展していた。凹凸に柔軟に対応でき、ならい機構により異形状でも吸着・把持ができるハンドとして協働ロボットに最適とアピールしていた。

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写真⒉ならいハンドユニット(参考出品)

・搬送ロボット「SIGNAS」
 ”ルートテープレス”で今までにない新しい誘導方式を採用し内蔵カメラで目印となるサインポストを認識しながら自律移動する搬送ロボット。 展示ブースでは、磁気テープやコース設定が不要のサインポストを目印とした独自の誘導方式のデモを実施していた。

・自律搬送ロボット「Lifter付きSEED-Mover」
 「非接触でのおもてなし」対応!として自律型の走行台車と昇降リフターを組み合わせた自律搬送ロボット。 ブースでは、飲食店など狭所での移動を想定して、全方向移動、360°旋回しつつ、昇降リフターによりペットボトルの昇降、前後の引き出し動作を実演デモしていた。

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写真⒊ 搬送ロボット「SIGNAS」と直動ガイド組込みロボットシステム(厨房用)

3. 株式会社スター精機:https://www.stertec.co.jp/

・直交ロボットパレタイザー「PXW-1420」
 段ボール箱の積み付けロボットで限られた現場のスペースで動線が有効に使える直交型ロボットパレタイザー「PXWシリーズ」 を展示デモしていた。
「PXWシリーズ」には可搬重量(ハンド重量含む)20kg・35kg・50kgの3機種を揃えている。三品産業の包装工程後の導入・運用を低コストで実現できると強調していた。

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写真⒋ 直交ロボットパレタイザー「PXW-1420」

4. 株式会社ショウワ:http://www.e-showa.net/

・ロボット搬送オリコン洗浄機システム
 オリコン洗浄システムとして、ロボットを組込んだコンテナ容器の専用洗浄システムを展示デモしていた。「作業員ゼロ」「スペースの有効活用」「処理能力の向上」を特長に、ワークの搬送をロボットで自動化したものとなっていた。

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写真⒌ ロボット搬送オリコン洗浄機システム

5. 株式会社徳永製作所:http://www.tkng.jp/

・ボトル供給装置(高速タイプ)BFR-1000-SC / BFRシリーズ BFR-1000
 フィーダー内のボトルをロボットで直接ピックアップすることで、非常にコンパクトなパッケージとなっている。100mℓ~1.8ℓボトルまでを一台で兼用でき、品種替えの手間も大幅に削減させたボトル供給装置。従来では困難であった丸、扁平、角などの容器も簡単に兼用が可能で、約100品種を登録することが可能。品種替え操作も非常に簡単で、型替え部品も極めて少なくなっていて、現場オペレータでも簡単に操作できることをアピールしていた。ピッキングはABB製パラレルリンクロボットが組込まれた展示デモ機での実演がされていた。脱プラスチックとしてアルミ缶や紙容器に対応した機種の開発を期待したい。

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写真⒍ ボトル供給装置(高速タイプ)BFR-1000-SC

6. 関東混合機工業株式会社:https://kanto-mixer.co.jp/

・泡立て専用首振りミキサーSMi-50AS / ヘッド昇降式縦型2軸ミキサーKDM-90
 速度や首振り角度を細部まで自動で再現できるミキサー。ケーキ作りに最適な中型タイプのミキサーで製菓・製パンなどのミキシングに向いた2軸縦型ミキサー。

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写真⒎ 泡立て専用首振りミキサーSMi-50ASと高速多連充填機Multi Station

・高速多連充填機Multi Station
 高速多連充填機とコンベヤを組合わせたシステムとすることで、材料供給~ミキシング~移送~充填まで自動化を可能にする製品を出展していた。従来手作業となっていた粉、水、油、液卵等の供給を自動で計量し、計量ミスを無くすと共に作業品質の安定を目的としたミキサーを中心としたラインシステムを積極的にアピールしていきたい意向であった。

7. 伏虎金属工業株式会社:https://www.fukko.com/

・撹拌機能付二軸スクリューポンプ ブレンディングポンプ
 複数の液体同士、または液体と粉体を混合しながらインラインで移送可能な二軸スクリューポンプ。「撹拌機、混合機を使用してのバッチ処理が不要で連続式の生産により生産リードタイムが大幅に削減できる」「生産現場の省スペース化とコストダウンが可能」「CIP洗浄が可能で、洗浄時間の大幅短縮が可能」であることをアピールしていた。ブースでは展示デモ機を行っていた。

・脱泡機能付二軸スクリューポンプ デフォーミングポンプ
 高真空によるマイナス10mからの高自吸力を発揮しつつ、脱泡移送が可能な二軸スクリューポンプ。「液中の気泡を抜きつつ脱泡移送を行うので、エア噛みによる充填不良問題の解消など生産性の大幅改善に貢献」「高自吸力により今まで仕方なく手作業で運んでいた高粘度液のインラインでの送液が可能で、また、非接触式ポンプでコンタミフリー」「完全ドライ状態からの稼働が可能で、ドライ運転によるポンプ破損の懸念がない」「完全ドライ状態から高自吸力を発揮」などをアピールしていた。

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写真⒏ 新開発二軸スクリューコンベア&ポンプ(ストレスフリータイプ)

8. 株式会社ヴァンガードインターナショナル:http://www.vanguard-intl.jp/

・スコットターボンミキサー社製「ハイドローリックラムミキサー」
 据置型はバッチサイズ20L~45,000Lに、移動式モデルは20L~1,100Lに対応可能な油圧昇降型ミキサー。既にドレッシング、マヨネーズ、その他ソース類の製造に数多く実績がある。 ミキサーヘッドを攪拌時に上下動させることが可能で、バッチサイズの変更や粘度の変化に対して最適なミキシング対応をすることを可能としている。

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写真⒐ スコットターボンミキサー社製ハイドローリックラムミキサー

 ミキサーヘッドは3つで、ヘッドモデルAは細く薄切りされたシアエレメントタイプで高せん断力を発揮、ヘッドモデルBはブレード周端に歯を持つシアエレメントタイプで高粘性製品のミッドシアに適す、ヘッドモデルCはブレードエレメントによるせん断を低減させ製品ダメージを低減に有効としたタイプを標準ラインナップしている。非常に興味深いミキシングヘッドであった。展示ブースではヘッドモデルCでの撹拌デモを実施していた。

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写真10.ミキサーヘツドモデルA ~ モデルC

9. 株式会社ヤナギヤ:https://ube-yanagiya.co.jp/

・ボールカッターBC40C
 加熱、冷却、減圧条件下で高速回転ナイフによる撹拌混合が可能。加熱冷却仕様ではない通常タイプのボールカッターは1Lタイプから1000Lタイプまで11機種のバリエーションがある。

・搾汁機ツインマイスター
 100ミクロンのロール状ろ過フィルター2本で圧搾することにより、連続的に固液分離が可能です。能力に合わせて「ワイルドマイスター」「ツインマイスター」「ツインマイスターJr.」「エコノマイスター」と、4タイプの連続搾り機をラインナップしている。

・連続式スチームオーブン
 蒸気での蒸し工程と光加熱による焼き工程を合わせた 1 台 2 役のスチームオーブン。従来の熱風式のスチームオーブン構造とは異なり、蒸気雰囲気中で光加熱により直接照射して仕上がりを自由にコントロールできることを強調していた。

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写真11. ボールカッターBC40C

10. 株式会社YE DIGITL:https://www.ye-digital.com/jp/

・AI画像判定サービス・オンプレミス検証パッケージ MMEye Box
 ”MMEye”はAIを搭載した、製造現場でリアルタイムにAI画像判定を行うサービス。

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写真12. AI画像判定MMEye Boxw展示デモ機

 画像をクラウドに保存する事が難しい検査工程でのオンプレミスで検証可能な判別モデルを作成するAIエンジン”MMEye Box”を展示デモ紹介していた。 MMEye Box の特徴 は「社外(クラウド)にデータを持ち出さずに社内で判別モデル作成」「判別モデル作成に回数制限がなく多様な視点で検証可能」「手軽に複数製品の検証ができる」「モデル作成回数制限がないため、使えば使うほど賢くなる」とアピールしいた。

11. 株式会社セントラル科学貿易:https://cscjp.co.jp/

・培養機能付きリアルタイム自動コロニーカウンターScanStation(スキャンステーション)
 ScanStationは100枚~300枚のシャーレの培養・コロニー検知・コロニーカウントまでを全自動で行う測定ステーション。結果を正確に予測でき、生産のワークフローをより早くすることを可能としている。コロニーの生育はリアルタイムで記録され、培養プロセスの始めから30分又は1時間ごとに画像を記録し、コロニーは発現の時点から検知されカウントされていく。 従来法の約1/3で結果の予測が可能で、文字や残渣とコロニーを区別することができるため、結果をより早く・より大量に・より正確に出すことが可能であると紹介していた。

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写真13. 自動コロニーカウンターScanStation(スキャンステーション)

12. 株式会社たけびし:https://www.takebishi.co.jp/

・酒蔵タンク管理システム
 本システムは醸造タンクに取り付く温度調節器からデータを取得し、事務所PCや遠隔地からのスマートフォンからタンクの品温の確認と温度設定を変更ができる製品。日本酒醸造において重要な温度管理のサポートができる。もろみ造りで一番重要な品温管理。発酵が進むにつれて温度が上昇するもろみを最適な発酵に導くために、造り手の経験と勘、分析データをもとに管理しているが、もろみ醸造期間中は、24時間体制で現場に張り付く必要があり、本システムは酒造メーカーの課題を解決するため実際に酒造メーカーの意見を基に製品化したと説明を受けた。導入メリットは他にもあり、「税務署への提出義務のあるもろみ経過簿の作成」「タンクだけでなく温度調節器を使用する設備については、全て対応が可能」「ランニングコスト『0円』」と強調していた。

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写真14. 酒蔵タンク管理システム

・環境監視ソリューション
 建物内の環境情報をクラウドで一元管理するソリューション。 モバイルネットワークを活用することで、面倒な設置工事が不要になり、コストの削減と短期間での導入が可能である。また、ソラコムのクラウド上でサービスを提供することで、安価で導入しやすいソリューションを実現している。
〔機能〕
① 見える化:オムロン製環境センサを活用する事で温度、湿度、総揮発性有機化学物量、二酸化炭素濃度、 照度、騒音レベルをパソコンだけでなく、オプションでスマホやタブレットでも確認が可能
➁ ロギング機能:40日間の環境データを保存(最長731日)
③ アラート通知:温度異常や湿度異常、異臭検知、二酸化炭素濃度警報、照度異常検知のアラートをメールやSNSに通知できる
と紹介していた。

【ドリンクジャパン】

1. 株式会社シバタ:https://www.src-g.com/

・MSフィルター
 独⾃のフィルターエレメントを採⽤したキャンドル式ろ過機を展示していた。飲料・液体食品では醤油や酢など食品業界から医療・科学領域まで多彩な用途で100箇所以上の納入実績がありプレコート性と逆洗性に強みを持っている。
 近年ではPETボトル飲料や液糖など、ニーズに合わせたカスタム対応で、⽣産性・作業性の向上や省⼈化、作業標準化に最適と紹介していた。

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写真15. MSフィルター

 フィルターエレメントは、巻線技術を応用したステンレスワイヤを一定間隔でらせん線巻きすることで、精密かつ均一なスリット(隙間)を形成し、高精度のろ過と逆洗再生ができることを展示デモしていた。

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写真16. フィルターエレメント

2. 株式会社フロンティアエンジニアリング:http://www.frontier-eng.co.jp/

・撹拌ジュール加熱装置
 主に加熱途中で粘度変化が起きる食品を、焦がさず連続加熱調理する装置。ジュール加熱管に撹拌羽根を装着しており、加熱する食品に対して、適切な羽根の形状や回転数を選定する。この装置を使用することで、今までニーダーで加熱調理していた製品も、連続的に調理することが可能になり、焦げの心配や、作業者による仕上がりのムラ、現場の環境改善(蒸気放射が起きない)、清掃時間の大幅削減を実現できると紹介していた。

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写真17. 撹拌ジュール加熱装置

3. 株式会社イズミフードマシナリ:https://www.izumifood.shi.co.jp/

・VMIX攪拌槽
 低粘度から高粘度流体(数万mPa・s)に対しての攪拌に効力を発揮するとした撹拌槽が展示されていた。。 変量撹拌対応、粘性変化対応、短時間混合、空気の巻込みにくい、CIP洗浄が可能。また分離しやすい液体や浮き沈みする固形物などの均一攪拌も“VMIX”が有効である点をアピールしていた。

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写真18. VMIX攪拌槽

・固形物対応シェル&チューブ
 長い繊維質の目詰まりを独自設計した新管板形状により防止するタイプ。 従来のシェル&チューブと同じ設置面積で入替えが可能で繊維等のブリッジや詰まりを解消する設計がされていた。小口径チューブの場合、チューブ間ピッチが狭いためパルプ繊維がブリッチを起こして堆積してしまう問題があった。そのためチューブ間凸部の周長を繊維長さよりも大きくとることで繊維の引っ掛かりを無くす工夫がされていた。ブース展示では管板部分を可視化できるデモ機で紹介していた。

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写真19. 固形物対応シェル&チューブ右写真の新管板形状(左)と従来形状(右)の比較展示

◇所見
 現在、食品業界では人手不足解消や労働環境の改善を目指し、食品製造・調理の自動化・効率化が急激に推し進められている。本展は『食品製造の自動化・効率化』を実現するための展示会として、食品製造機械やロボット、IoT・AIソリューションなどを扱う出展社と、自動化・効率化を目指し来場する食品メーカーや外食チェーンなどが商談する場となっている。また飲食店向け展示として人手不足問題の解消と非接触での接客手段として配膳ロボットが注目されていた。
 コロナ禍で規模は前年に比べ縮小されていたが、緊急事態宣言解除後の商談展示会でもあり、人出は戻り始めているように感じた。

以上