九回裏2死からの大逆転「高校球児の夢叶う」

九回裏2死からの大逆転「高校球児の夢叶う」

新型コロナウイルス感染拡大の影響で夢を絶たれた高校球児に、大逆転のような吉報がもたらされた。日本高野連は中止になった今春の第92回選抜高校野球大会の出場32校を8月に甲子園球場に招待して1試合限定ながら、試合ができることになった。

選抜大会の中止が発表されたのは、3月11日であった。高校野球を取り巻く状況は、悪化の一途をたどっていた。4月上旬には緊急事態宣言が発令され、その後も感染がなかなか収まらず夏の甲子園大会と出場権を懸けた地方大会も中止に追い込まれた。すでに出場が決定していた32の選抜大会出場校への救済措置としての代替大会はできないのだろうかという想いもあった。

交流試合の決定は新たな挑戦に向かう高校球児へのメッセージと受け止めることができよう。球児の安全・安心に最大限配慮しながらの甲子園交流戦である。
選抜出場校のない一部の地区もあるだろうが、今回の措置は高校3年生にとっての集大成となる大会である。チームによっては人数制限により3年生であってもベンチに入れない球児もいることだろう。しかし、甲子園の土を踏みしめることはできる。

試合は各校1試合に限定される。熱気を生み出す大観衆や、風物詩ともなっているアルプス席を彩るブラスバンドもない。従来の甲子園とは大きく風情は異なることになる。それでも最大の目的である高校球児の夢の実現にこぎつけたのであるから最後は球児のために精一杯の応援をすることにしよう。

甲子園交流戦初日はくしくも8月10日、夏の甲子園大会の開幕予定日だったはずである。新型コロナウイルスに翻弄されてきた全国の高校生球児の代表として、その特別な日に勝ち負けを度外視した全力プレーを見せてもらいたい。九回の裏2死からの大逆転となった大会開催である。高校球児には記憶に残る最高の大会にしてもらいたい。
甲子園のグラウンドに立つ球児には全国の高校球児の代表として財産となるような全力プレーを期待する。