食品機械の衛生安全設計

~ 衛生的な加工とプラント設計に関連する用語の定義 ~
Definitions of expressions relevant to hygienic processing and plant design

食品機械の衛生安全を加味させる設計指針となるEHEDG(European Hygienic Engineering and Design Group:欧州衛生装置工学設計グループ)の食品機械の衛生的設計基準において、キーワードとなる用語を以下にまとめる。

【無菌設備】
aseptic equipment

滅菌可能で、衛生的に設計された設備。微生物を通さず、無菌状態を維持できる工程のことである。

【無菌工程】
aseptic process

使用前に滅菌した設備を使用し、稼働中も微生物による二次汚染を防止する工程のことである。類似用語:ウルトラクリーン・プロセス[Ultra-clean process]

【接近可能】
Accessible

容易に接近が可能であること。類似用語:[Easily accessible]

【バイオエアロゾル】
Bioaerosol

気体中の環境に浮遊する生物体を含む粒子のことである。

【バイオコンタミネーション】
Biocontamination

材料、装置、個人、施設の床及び天井の表面、液体、気体、空気が微生物、胞子、小動物の卵、等によって汚染されることである。

【バイオフィルム】
Biofilms

表面に付着した微生物集合体のことである。
注記:これらはすべてではないが、多くの場合、細胞外ポリマーに包まれている。

【CCP(重要管理点)】
CCP(critical control point)

食品安全ハザードの防止、排除、または許容可能なレベルまでの低減のため、きわめて重要な管理可能な段階(1)。(CAC)

注(1):“段階(Step)”はコーデックス委員会により「原材料を含む一時生産から最終消費までのフードチェーンにおけるポイント、手順、取扱、段階」と定義されている。

【CIP(定置洗浄)】
CIP(cleaning-in-place)

生産ラインや個々の機械を、分解せずに閉鎖系を自動的に洗浄するシステムのことである。
注記:定置洗浄の効率は5T、すなわち時間[time]、温度[temperature]、濃度[titration]、乱流[turbulence]、テクノロジ[technology]に依存する。定置洗浄は、設計によって、水が周囲の環境に流出するのを防ぐ目的で、乾燥した区域で行うことができる。

【クリーナビリティ(洗浄・清掃性)】
Cleanability

容易な汚れの除去に関する設備の適切性のことである。
類似用語:相対的洗浄性[Comparative cleanability]

【クリーニング(洗浄・清掃)】
Cleaning

汚れ、食品残渣、油脂、その他の好ましくない物質を除去することである。

【クリーンルーム】
Cleanroom

空中浮遊粒子の濃度がコントロールされる部屋であり、粒子の侵入、発生、残留を最小限にするように建造され、利用される。また、温度、湿度、気圧などの、他の関連パラメータも必要に応じてコントロールされる。

【コーティング】
Coatings

ある物質の表面に別の物質を付着させてできた新たな層ことである。

【商業的滅菌】
Commercial sterilization

商業的滅菌は、公衆衛生に重大な影響を及ぼすあらゆる微生物を不活性化し、通常の条件での保存で腐敗しないようにすることである。
類似用語:滅菌[Sterilization]

【相対的洗浄性】
Comparative cleanability

基準と比較した設備のクリーナビリティのことである。

【意図する使用条件】
Conditions for intended use

製品や消費者に関してではなく、機械や部品、あるいは建物などの要素に関する条件のことである。
洗浄の条件も含む、通常の、または当然予想されるあらゆる稼働条件。
これは時間、温度、濃度などの変量の許容範囲を定めるものである。

【汚染物質】
Contaminant

意図に反して食品に混入した生物的因子、化学的因子、異物(物理的因子)、その他のあらゆる物質のことである。
これらは食品の安全性や適切性を損なう恐れがある。

【汚染】
Contamination

食品または食品製造環境に、汚染物質が侵入又は発生することである。

【コントロールされた環境】
Controlled environment

コントロールされた環境は、すべてのゾーニングを指すが、高度衛生事例との関連がより強いと思われる。
類似用語:ゾーニング[Zoning]

【管理手段】
Control measure

食品安全に関するハザードの防止、排除、または許容可能なレベルまでの低減のために用いられる、あらゆる処置と活動のことである。
注記:広義では、安全ではない属性を確実に許容レベルに維持するのに必要な点を管理するための措置も含む。
類似用語:予防処置[preventive action]

【COP(分解洗浄)】
COP(cleaning-out-of-place)

機械を分解し、手作業で洗浄することである。
注記:機械の主要部分はその位置に固定したまま、部品を取り外して他の場所で洗浄してもよい。
類似用語:ウェット洗浄[Wet cleaning]

【是正処置】
Corrective action
CCPにおけるモニタリングの結果が、管理基準から逸脱している場合にとるべきあらゆる処置のことである。
注記:基準からの逸脱が発見された後、その再発を防止、または最小限に抑えるために、不適合、欠陥、その他の有害な状況の原因を排除、または低減する処置。
品質モニタリングシステムのすべての管理点は、基準逸脱が生じた場合にとるべき是正処置を含まなければならない。

【隙間】
Crevice

汚染物質が侵入しやすい開口のある割れ目のことである。
例えば材料本体か、あるいはフランジとガスケットのように、ぴったりはめ込まれる部品の間の細い開口や割れ目。通常、隙間の深さは開口部の幅の20倍以上である。
隙間には、汚れや微生物が付着しやすく、洗浄剤が届きにくい。また構成材の腐食が早まり、隙間が急速に拡大する可能性がある。

【ダイアフラム】
Diaphragm

無孔性の仕切りを形成する薄い隔膜。一例として加圧した媒体と測定センサの間の仕切り等をいい、材質は金属やフッ素樹脂などが用いられる。

【消毒剤】
Disinfectant

洗浄後の面に残って生存するある種の微生物を、ある程度まで殺すために用いる化学物質のことである。
注記:消毒剤は、胞子を含むあらゆる種類の微生物を、すべて殺すよう求められるわけではない(類似用語:滅菌[sterilization])。
それでも米国では、消毒剤は無生物の表面の細菌胞子を殺すわけではないが、感染性真菌や栄養型細菌を100%殺す薬剤であると定義されている。

【消毒】
Disinfection

化学薬品や物理的方法によって、環境における微生物の数を食品の安全性や適合性を損なわないレベルまで、減少させることである。
注記:BSI 5283による消毒の定義:消毒は微生物の駆除を意味するが、通常は対象として細菌胞子を含まない。
消毒は、すべての微生物を殺すわけではなく、定めた目的で許容可能なレベルまで減少させる。
たとえば人の健康や、腐りやすい食品の品質に対して、害を及ぼさないレベルにする。
特に米国の食品産業では、sanitizer(殺菌剤)とsanitization(衛生化)の方がよく使われる。
類似用語:殺菌剤[sanitizer]/衛生化[sanitization]

【ドライ・クリーニング】
Dry-cleaning

水を一切使用しない洗浄。この手法は、設備と環境において、微生物の発生リスクを減少させる予防措置として利用できる。
さらに、たとえば古い、または変質した製品残渣によって汚染されるリスクも減少させる。
通常、ブラシや掃除機を使って、手作業で行われる。

【容易に、又は難なく接近可能】
Easily or Readily Accessible

作業者が作業区域(床、プラットホーム等)から安全に到達できる場所のことである。

【容易に、又は難なく取り外し可能】
Easily or Readily removable

機械から難なく分離できること。必要に応じて汎用工具を用いる。汎用工具とは、作業者(整備、操作、洗浄を行う)が使用するドライバ、レンチ、ハンマ等の道具のことである。

【食品衛生】
Food hygiene

フードチェーンのすべての段階で、食品の安全性と適切性を保証するのに必要な、あらゆる条件と措置のことである。

【食品の安全性】
Food safety

食品を、意図する使用に従って調理、飲食したとき、消費者に害が及ばないという保証のことである。

【食品の適切性】
Food suitability

食品が意図する使用に従って、消費されることが補償されていることである。
注記:この語は、次第にwholesomeness(健康適合性)より好まれるようになっている。

【GHP(適正衛生規範)】
GHP(Good hygiene practices)

人間による消費に対して、食品が安全で適切であることを保証するために、(一次生産から最終消費者までを含む)フードチェーンの全体にわたって適用できる基準。GHPはGMPの一部である。

【GLP(適正試験所規範)】
GLP(Good laboratory practices)

試験施設における成績、安全性、能率の精度と信頼性を確保するために定められた、試験施設で行う作業の計画、実行、監視、記録の方法である。

【GMP(適正製造規範)】
GMP(Good manufacturing practices)

品質と安全性の目標が、一貫して確実に達成されることを目的とした、すべての手順、工程、基準、活動。GMPは、食品の供給チェーン全体にわたって適用しなければならない。どのHACCPシステムでも、GMPの適用が前提条件である。(HACCPの項参照)
注記:GHPはGMPの一部である。

【HACCP(危害分析重要管理点)】
HACCP(Hazard Analysis Critical Control Point)

食品の安全性にとって重要なハザードの特定、評価、管理のためのシステムのことである。
注記:HACCPシステムは、新製品と新製法の開発中に実施しなければならない。
新しい設備も対象である。現在の生産ラインや製品に変更が加えられた場合も実施する。特定したすべての重要管理点を監視し、基準逸脱があった場合は是正処置を講じなければならない。

【ハザード(危害/危険源)】
Hazard

健康に悪影響を及ぼす可能性のある、食品中の生物的、化学的、物理的な各因子、または食品の状態のことである。

【危害(危険源)分析】
Hazard analysis

食品の安全に対して重大であり,HACCPプランで対処すべきものを決定するために危害、および危害を発生させる条件に関する情報を収集し、評価する一連のプロセスのことである。
注記:危害分析は、HACCPプランを実施する上で必須の手順である。リスク分析と混同しないこと。

【高度管理区域】
High care areas

類似用語:ゾーニング[Zoning]を参照

【空洞構造】
Hollow body

洗浄が及ばない空洞。汚染の原因となりうる構造のことである。

【衛生】
Hygiene

類似用語:食品衛生[Food hygiene]を参照

【衛生区域(低、中、高レベル)】
Hygiene areas

類似用語:ゾーニング[Zoning]を参照

【衛生設備クラスI】
Hygienic equipment class I

CIPが可能で、分解せずに汚れを取り除くことができる機器,装置のことである。

【衛生設備クラスII】
Hygienic equipment class II

分解後に洗浄が可能で、再組み立て後には、汚れが取り除かれている設備のことである。

【衛生統合】
Hygienic Integration

衛生性を一体となって達成するため、2つ以上の組織を合併又は協調し、活動するプロセスのことである。
注記:組織とは食品衛生管理システム並びに機器の衛生設計を担う組織を指す。

【意図する使用条件】
Intended conditions of Use

類似用語:本来の目的のための条件[Conditions for intended use]を参照

【定置洗浄性】
In-place cleanability

分解せずに洗浄が容易にできることである。
類似用語:CIP(定置洗浄)[CIP(cleaning-in-place)]

【低管理区域(基本的)】
Low (Basic) care areas

類似用語:ゾーニング[Zoning]を参照

【分解による洗浄】
Manual cleaning

設備の一部、または全体を分解して汚れを除去することである。

【機械洗浄】
Mechanical cleaning

機械的手段によって、化学洗剤の溶液と水洗浄液を面全体に循環させ、通過させるだけで洗浄することである。

【中レベル管理区域】
Medium care areas

類似用語:ゾーニング[Zoning]を参照

【メンブレン】
Membrane

薄い、フレキシブルな多孔性のシートのことである。

【微生物不透過性】
Microbial impermeability

細菌、酵母菌およびカビが、外部(環境)から内部(生産区域)へ侵入するのを防ぐ、設備の性能のことである。

【微生物(病原性)】
Micro-organisms (pathogenic)

ヒトと動物の、疾病・疾患の原因となりうる微生物のことである。
注記:病原性微生物は、GHPの逸脱を判定する指標微生物とは区別する。この微生物の数は、製品がある病原菌によって汚染される確率と関係があると考えられる。
類似用語:関連微生物[Relevant micro-organisms]

【モニタリング】
Monitoring
CCPが管理されているかどうかを評価するための管理パラメータについて、一連の計画した監視または測定を行うことである。

【非吸収性材】
Non-absorbent materials

意図する使用条件下で、接触する物質を内部にとどめない材料のことである。

【製品非接触面】
Non-product contact surfaces

製品接触面以外の、露出した面のことである。類似用語:製品接触面[Product contact surfaces]

【無毒性構成材】
Non-toxic construction materials

意図する使用条件下で、毒性物質を放出しない材料のことである。

【殺菌】
Pasteurization

有害な微生物数を、健康に重大な危害を及ぼさないレベルまで減少させるための熱殺菌処理のことである。
注記:殺菌は、食品だけでなく設備にも適用する。

【製品接触面】
Product contact surfaces

意図的又は非意図的(飛沫など)を問わず、製品と接触するすべての面。(滅菌されていない包装材などの面を含む)。それらの面から製品や凝縮物が、製品本体や容器に落下、流入することにより二次汚染が生じる。
注記:リスク分析は、二次汚染の可能性のある区域を定めるのに役立つ。

【関連微生物】
Relevant micro-organisms

製品の汚染や製品中での増殖、生存が可能で、消費者の健康や製品の品質に害を及ぼす微生物のことである。

【取り外し可能】
Removable

類似用語:容易に取り外し可能[Easily or Readily removable]を参照

【リスク】
Risk

食品に存在するハザードによって生じる健康への悪影響を及ぼす確率と、その重大性の程度の関数のことである。
リスクは「許容できない食品安全上の基準逸脱が起こる可能性」であるが、品質上の基準逸脱を含む場合もある。

【リスク分析】
Risk analysis

リスクアセスメント、リスクマネジメント、リスクコミュニケーションの3つの要素からなる過程のことである。
注記:危害分析は食品製造業者が責任を持って行うが、リスク分析は公衆衛生の問題である。

【リスクアセスメント】
Risk Assessment

リスクアセスメントは、ハザードとリスク因子が特定/同定(2)され、リスクが算出される、リスク分析手順の科学的な部分である。
リスクのエンドポイントの算出とは別に、開発されたリスクモデルは、リスクに最も寄与するフードチェーンの部分を決定し、フードチェーンを通じて手順や工程を変えた場合のリスクレベルに及ぼす影響を明らかにすることに役立つ。
リスクアセスメントは次の4つの要素からなる。

① ハザードの特定/同定。製品または工程における、危害や汚染物質の特定/同定
② エクスポージャアセスメント。消費者におけるハザードの摂取状況の評価
③ ハザードの特徴付け。多くの場合、量-反応関係を用いたハザードへの暴露状況と公衆衛生に対する(病気・死亡などの)影響との関連付け
④ リスクの特徴付け。暴露(摂取)状況と、量-反応評価(影響)を用いたリスクの算出

注(2):この用語は“Identify”の和訳である。機械類の安全性を定めるJIS規格では,Identifyを“同定”という用語に統一して使用している。しかし衛生管理関連文書では“特定”と訳されることが多いことから、ここでは併記する。

【リスクマネジメント】
Risk Management

リスクマネジメントとは、リスクの許容性を評価すること、また必要に応じて、このリスクを低下させる措置を実施することである。

【リスクコミュニケーション】
Risk Communication

リスクコミュニケーションは、リスクアセッサ(科学者)とリスクマネージャ(規制管理者、産業界、政府機関など)の透明なコミュニケーションを含む。リスクアセスメントとリスクマネジメントの結果は、より広く、消費者を含む利害関係者に伝えるべきである。

【リスクゾーン】
Risk zone

類似用語:ゾーニング[Zoning]を参照

【衛生(米国)】
Sanitation

食品産業の一般的用語である衛生[hygiene]と等しい。
SanitizingまたはSanitization:衛生化(米国)洗浄した面に行う処置。
多量の熱湯、熱風、水蒸気又は、EPA 登録殺菌剤を、仕様書の指示に従って使用することによって、最も抵抗力のあるヒト病原菌の数を、少なくとも99.999%~99.99999%減らす。
衛生化は、熱湯、熱風、水蒸気、又は承認された殺菌剤を用いて、機械的な方法又は手作業による方法で実施される。

【殺菌剤(米国)】
Sanitizer

機械装置の表面における微生物汚染を、公衆衛生にとって安全であるとみなされるレベルまで減少させる物質。
食品接触部に用いる殺菌剤の公式なテストによると、殺菌剤とは、基準となる2つの微生物、黄色ブドウ球菌と大腸菌の数を、25°Cで、30秒以内に99.999%減少させる化学物質である。
食品非接触部の殺菌剤は、5分以内に99.9%、菌数を減少させなければならない。

【汚れ】
Soil

設備や工程環境に残った必要としない物質。微生物を含む場合も含まない場合もある。

【溶液】
Solutions

水洗、洗浄、すすぎ、消毒に用いられる、水及び洗浄剤や消毒剤と水の均一な混合物のことである。

【飛散部】
Splash contact surfaces

通常の使用で汚れがたまりやすい製品非接触部。製品本体や容器へ、汚れが落下、流入するのを防ぐため、日常的な洗浄が必要である。

【滅菌】
Sterilization

細菌胞子を含む、あらゆる種類の微生物を取り除く、または殺すことを目的とするプロセスのことである。

注記1:米国における商業的滅菌は、公衆衛生に重大な影響を及ぼすあらゆる微生物を不活性化し、通常の条件での保存で腐敗しないようにすることである。
注記2:英国では、今でも消毒の意味で用いられる。注記3:滅菌は食品に対する処理にも適用される。

【SIP】
Sterilization-in-Place(SIP)

生産ライン及び個々の機械を分解せずに行う滅菌のことである。

【表面破断】
Surface rupture

表面処理において,ショットブラストやビーズブラストの媒体が衝突することにより、表面が割れたり裂けたりする,不適切な状態をもたらす現象。拡大して観察すると、表面の損傷は一般に魚鱗に似た形状をしており、その下の開口部は、投射剤やビーズの元の方向に向いている。これらの開口部は、汚れや微生物が付着する事があり,その場合,洗浄が困難となる。

【表面処理】
Surface treatment

表面における、化学的特性や機械的特性を変える処理のことである。

【ウルトラクリーン・プロセス】
Ultra-clean process

事前に消毒した設備を用いて行うプロセス。稼働中も設備は、製品の安全性と適合性を損なう恐れのある微生物によって再汚染されることから守られる。
注意:最初の微生物負荷を低減し、再汚染を防ぐ措置は、無菌工程で行われるプロセスほど厳格でなくてもよい。完全滅菌や無菌は、環境ではなくプロセスラインを指す。

【妥当性確認】
Validation

HACCPプランの構成要素が効果的であるという証拠を得ることである。
食品における特定の危害をコントロールするために選択した食品衛生管理措置が、危害を、指定したレベルまで抑えられるという証拠を得ることである。
注記:ISO 9000-2000では、このプロセスは適格性確認[qualification]と呼ばれている。妥当性確認は、たとえば「洗浄の妥当性確認」のように、より広い意味で使われる。
一般に妥当性確認は、特定の工程があらかじめ定めた目標を一貫して満たすことを保証する文書化された証拠の確立が目的である。
洗浄工程の場合:洗浄された設備で加工される次のロットの製品が、食品接触部に悪影響を与える恐れがある微生物、化学物質、異物、環境の残留物に汚染されないことを確認することである。

【検証】
Verification

HACCPプランの順守を判定するためのモニタリング、方法、手順、テスト、その他の評価の適用のことである。
注記:ISO 9000-2000では、この措置は妥当性確認[validation]と呼ばれており、混乱を招くかもしれない。
より広い意味では、監査、レビュー、検査、調査、テスト、照合などを含む活動を表すことがある。これらは、製品、工程、サービス、文書などが、品質、特に、たとえば HACCPプランに見られるような食品の安全に関して、指定された要求事項を満たしているかどうかを示す。

【ウェット洗浄】
Wet cleaning

(CIPに対するものとしてのCOP。特にCIPを参照)
ウェット洗浄は、設備や加工環境の洗浄を意味する。製品が露出せず、使用する水の量と拡散が制限される場合にのみ実施される洗浄の手順ウェット洗浄の主な目的は、微生物の有無にかかわらず汚れを取り除くことである。
注記:目的は、基本的に、使用する水の量を可能な限り減らすこと、また洗浄後、すばやく可能な限りドライな状態にさせることである。これは特に、アイスクリーム、チーズ、冷蔵製品の加工区域における、リステリア菌数の増加リスクを減少させることを目的とした手順である。
これは、『Controlled wet cleaning』とも呼ばれる。

【ゾーニング】
Zoning

プラントにおける異なる衛生レベルの作業区域を物理的、または視覚的に区分けすることである。

関連する用語と説明。以下は、EHEDGにおける使用の提案である。

Controlled environment:コントロールされた環境は、すべてのゾーニングを指すが、高度衛生事例との関連がより強いと思われる

すべてのプラントや工程において,部分的な影響が常に関与することから、明確にゾーニングすることはできない。最も重要なことは、工程と消費者の安全要求事項を考慮した、ゾーニングが,危害の発生予防のための衛生管理プログラムに適合することである。

➢ 高レベルの衛生(High hygiene) = 高度管理または高リスク

IDFの説明:汚染や微生物の増殖が起こりやすい製品や材料の加工、処置、処理、保存が行われる,プラント内の重要な衛生区域。
次の製品と材料が加工または貯蔵される、プラント内の区域。自然のままのもの、またはすぐに消費できるもので、健康にきわめて影響を受けやすい消費者(高齢者,乳幼児等)向けのもの、あるいは冷蔵設備のある流通過程で扱われ、リステリア菌などの病原微生物が増殖しやすいもの。

注記::「高リスク区域」も、たとえば新鮮な肉や鶏肉、生カカオ豆、生乳、野菜などを扱う、病原菌が増殖する区域に用いる場合がある。これらの区域は、他の加工区域に高リスクをもたらすため、病原菌の拡散を防ぐ適切な仕切りを設けるべきである。

➢ 中レベルの衛生(Medium hygiene) =中レベル管理または中リスク 汚染されやすいが健康に影響を受けにくい消費者向けの製品、また、流通過程において、微生物の増殖が不可能な製品の加工区域。さらに、高レベルの衛生区域に至る中間区域であるが、ある種の仕切りを通過しなければアクセスできない区域を指す場合がある。

➢ 基本レベルの衛生(Low(Basic)hygiene) = 基本レベル管理または低リスク
前記に比べて低いレベル(基本的)であるが、最低限のGHPは適用しなければならない区域。基本レベルの衛生区域は、乾燥材料に関するEHEDG Doc. 26(現在は廃止)が示すように、さらに細かく分割できる。
製品が汚染されにくく、最終包装で保護される区域。原料が、熱加工処理(CCP)の前に手で扱われる区域となる場合がある。

全ゾーニングの洗浄に関連して、次の表に例をいくつか示すが、これらはガイドラインに過ぎない。各事業所は、産業団体、消費者団体、関係機関、法令に基づいて、独自のゾーニング計画を作成しなければならない。

【事例】

洗浄に関するゾーニング計画の例
  高レベルの衛生 中レベルの衛生 基本レベルの衛生
ウェット洗浄 冷蔵パスタ生産などわずかなケース ➢ 瓶詰め区域
➢ UHT充填
➢ アイスクリームと冷凍食品の充填/盛りつけ区域
➢ 新鮮な生乳の受乳
➢ 殺菌前の調合
ドライ洗浄 乳児用調製粉乳充填区域 ➢ 乾燥スープ、コーヒーの充填、チョコレート成型 ➢ 倉庫

【参考文献・引用】
・「EHEDG用語集」バージョン2004
・EHEDG Doc. 45-1 食品産業におけるクリーニングバリデーション一般原則 2016
・EHEDG Doc. 8 衛生的装置の設計基準 2018
・EHEDG Doc. 26 乾燥粉体材料処理プラントの衛生工学 2003(廃止)