『国内ジェネリック医薬品、普及はしたが信頼と供給で行き詰まっている!』

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 国内のジェネリック医薬品をめぐる状況は、いま大きな転換点にある。かつては「安価で医療費を抑える切り札」として普及が推進され、数量シェアは80%超に達した。しかし、その成功の裏側で積み重なってきた構造的な歪みが、ここ数年で一気に噴き出している。品質不正、相次ぐ行政処分、そして長期化する供給不足。これらは単なる一企業の不祥事ではなく、産業全体の持続可能性を揺るがす深刻な問題である。

まず、最も顕在化しているのが供給不安の長期化である。医療用医薬品の不足は4年以上続き、特にジェネリック医薬品の供給不安が深刻化していると報じられている。医療現場では「いつもの薬が入らない」「代替薬を探すために処方を組み替える」といった混乱が常態化し、患者の不安も高まっていまる。医薬品は代替が効かないケースも多く、供給不安は医療の質そのものを揺るがす問題である。

供給不安の背景には、産業構造の脆弱さがある。日本のジェネリック産業は小規模メーカーが乱立し、少量多品種を抱えることで生産効率が低く、設備投資や人材育成に十分な資金を回しにくい構造になっている。さらに、薬価制度の毎年改定により収益性が悪化し、多くの企業が「不採算品目の製造中止を余儀なくされる緊急非常事態」にあると業界団体も指摘している 。安さを追求するあまり、企業体力が削られ、結果として安定供給が損なわれるという逆説が起きている。

品質問題も深刻だ。承認書と製造実態の齟齬、データ改ざんなどの不正が相次ぎ、行政処分を受ける企業が続出した。日本ジェネリック製薬協会も「品質確保を最優先とする企業文化」が課題であると明確に示している 。医薬品は生命関連産業であり、品質への信頼が揺らげば、どれほど安価であっても社会的価値は失われる。

さらに、原薬の大部分を海外に依存している点もリスクだ。NPO法人ジェネリック医薬品協議会は、原薬供給の脆弱性や規格差による供給支障の可能性を指摘し、国際調和や変更管理の迅速化を提言している。地政学リスクが高まる中、原薬調達の多様化や国内回帰の議論は避けて通れない。

こうした課題を受け、政府は「安定供給の確保を基本としたロードマップ」を策定し、業界も「安定供給責任者会議」や「品質文化醸成のための教育研修部会」などの取り組みを始めている 。しかし、制度改革・産業再編・品質文化の定着といった根本的な改善には時間がかかる。医療現場の混乱が続く中で、どこまでスピード感を持って改革を進められるかが問われている。

いま必要なのは、「安さ」だけを価値基準とする発想からの脱却である。ジェネリック医薬品は医療費抑制の手段であると同時に、国民の健康を支えるインフラでもある。品質と供給の安定性を確保しつつ、持続可能な産業構造をどう再設計するか。これは医薬品産業だけでなく、国全体の医療政策に関わる重要なテーマである。

ジェネリック医薬品の信頼回復と産業の再構築は、これから数年にわたる大きな課題である。いま起きている問題を一過性のトラブルとして片付けず、構造的な改革に踏み込めるかどうか。まさに日本の医療の底力が試されている局面だと言える。

以上