『鉄道開業150周年の歴史を感じて』

『鉄道開業150周年の歴史を感じて』

 令和4年(2022年)は、東京・新橋と神奈川・横浜(桜木町)の間を結ぶ鉄道が開業してから150周年の節目の年にあたる。明治5年5月3日(1872年6月8日)品川 – 横浜間で鉄道が仮開業し、同年9月12日(1872年10月14日)には、新橋 – 横浜間の全線が開業し、現在も10月14日は鉄道記念日となっている。

休日の時間を使って、横浜(桜木町)の周辺を散策して当時の面影をたどってみた。当初の横浜駅(現・桜木町駅)があったところで、現在の駅は少し移動したところにあり、記念碑は三角柱になって当時の場所に設置されている。台石は動輪の形、鉄板のつなぎ目に双頭レールがはめ込んである。記念碑から少し離れた歩道に鉄道発祥記念碑の円い原標点が歩道に埋め込まれているが、足元を気にして歩いていないと見落としてしまう原標点だ。行き交う人は誰も気にしていない。

野毛に行く地下道入口の、横の壁に開業当時の横浜駅長室跡の石板プレートがはめ込んであり、こちらもわかりにくい所であるが当時の面影を感じることができた。JR桜木町駅の改札内には立派な絵が飾られている。そこには「横浜ステーション蒸気入車之図 並 海岸洋船燈明台を眺望す 横浜商館 並二 弁天橋図」とある。横にあった説明書きには、次のように書かれている。

 横浜駅に入車する蒸気車。
 駅舎は二階建ての洋風建築が二棟並んだ堂々たる姿である。
 米国人ブリジェンスの設計により、明治4年に完成。
 この横浜駅が現在の桜木町駅にあたる。
 ここから海岸を望むと、大岡川に架かるアーチ形の弁天橋、
 その先には明治7年に初点灯したレンガづくりの燈明台が見える。
 まさにこの場所から日本の近代が開かれたのである。

駅の壁を見渡すと、昔の横浜駅の駅舎のイラストや歴代の桜木町駅の写真、駅の歴史年表などがあり、何度も利用した駅でありながら気が付いていなかった風景がそこにはある。簡単に桜木町の歴史についても触れておく。

歴史メモ
 明治5年(1872) 横濱停車場が開業
 大正4年(1915) 横浜駅は移転、桜木町駅に改名
 大正12年(1923)関東大震災にて初代駅舎消失
 昭和2年(1927) 2代目桜木町駅舎が完成
 昭和39年(1964)根岸線開通に伴い、駅舎を改築
 平成元年(1989) 3代目駅舎は高架下駅となる

桜木町駅には何度も来ているが、こうして歴史にスポットをあてて、駅の構内や周辺をめぐってみると、新しい発見があることに気づく。歴史の記憶が残る駅として、ちょっとした歴史散歩ができる。桜木町駅が鉄道発祥の地ということを念頭に駅をまわると楽しめる。少し時間がある時には、こうした鉄道の歴史があちこち転がっている駅も観光スポットにしては如何…。是非、今度は新橋駅で当時の歴史を感じたいものである。

以上